追放鍛治師の成り上がり〜ゴミスキル『研磨』で人もスキルも性能アップ〜家に戻れ?無能な実家に興味はありません

秋田ノ介

文字の大きさ
43 / 69
ダンジョン

第36話 三つ巴の戦い!? 

しおりを挟む
僕は揺られていた。

鍛冶の街グレンコットに向かうために公爵専用の豪華な馬車だ。

窓から眺める風景にため息が漏れる。

その横でアリーシャとイディアが揉めていた……。

「何をするんですか!! これはお兄ちゃんに作ってきたから、ダメです!!」
「いいではないか!! 少しくらい。減るものではないし」

彼女たちが言い争っているのは、食事だ。

イディアはアリーシャの食事をとても気に入ってしまったみたいだ。

僕は再び、大きなため息を付いた。

ああ、鍛冶がしたい。

考えてみれば、公爵様から工房を預かったものの、何かと用事を頼まれる。

その度に鍛冶が中断される。

そして、今回も……。

僕は本当に実力をあげることが出来るんだろうか……。

漠然とした不安がのしかかっていた。

「そのため息は私のため?」

ん?

なんか、聞いたことがある声が……。

いや、ありえない。

今回の旅には彼女は……。

「フェリシラ様!?」

窓にフェリシラ様が映っていた。

「早く、中に入れて欲しいのですけど……」
「は、はい!!」

……どうして、こうなった?

僕は思い出していた……。

「ライル君。今回はフェリシラを連れては行かせられない。その理由は分かっているね?」
「はい……」

僕も仕方がないと思った。

今回はダンジョンに入るかもしれない。

そんな危険な場所には連れていけないもんな。

「フェリシラ様は?」
「うむ。どうしても行きたいと駄々をこねるからな。部屋に閉じ込めている」

やはり、妹愛の強いお兄さんだな……。

……。

……あの問答は何だったんだ?

妹さん、思いっきり脱走していますけど?

「あの……フェリシラ様? いいんですか?」
「何が、ですか?」

めちゃめちゃ怖いな。

え? 怒っているの?

「デルバート様が心配していると思いますよ。今からでも戻った方が……」
「ふん!! いいのよ。お兄様はすこし私に過保護すぎますから。それとも、ライルは私がいては不満なのかしら?」

えっと……。

正直に言えば、フェリシラ様と一緒に行動できるのはとても嬉しい……

だけど……

「今回の判断はデルバート様の方が正しいと思いますよ。これから行くのはとても危険な場所で……」

ダンジョンはモンスターが出没すると聞いている。

さすがに、そこに連れていくのは……。

「ライルもお兄様も私を甘く見すぎですわ。これを見てください」

……杖?

「杖……ですか? もしかして、フェリシラ様は魔法を?」
「ええ! これでも学園にいた頃はそれなりに優秀だったんですよ?」

そうだったのか……。

それなら、僕よりも戦闘力があるってことなのかな?

「お嬢様!」

声デカっ!

「な、なによ」
「その考えは命取りになります。ダンジョンでは経験豊富な冒険者でも命を落とす場所なのです」

……そんなに危険な場所なの?

実はなんとかなるんじゃないかなぁ、くらいのつもりだった。

女戦士もいるし、まぁ、大丈夫だろうと……。

命……落とすの?

めちゃくちゃ、怖い場所じゃん!!

なんだか、急に恐怖が湧いてきたぞ……。

「わ、分かっていますわ! ただ、ライルが私を除け者にしようとするから」

ぼ、僕のせいですか?

僕はこの件については完全に巻き込まれた方で……。

「分かりました。お嬢様の覚悟は……」

今の話のどこで?

出来れば、帰るように説得してくれたほうが助かったんだけど。

「ただし! 実力を見させてもらいます。ライル殿に相応しいかどうか……」

うん、うん。

さすがはイディア様だ。

これでフェリシラ様が諦めてくれれば……

ん?

僕に相応しい?

何、言ってんだ?

「分かったわ。これは絶対に引けないわね。馬車を止めてください!!」

なんだ、この展開は……。

風が吹く草原で、二人の美女が立つ。

エルフ女剣士と女神な公爵令嬢……。

なんて、眼福な光景なんだろうか。

「ねぇ、私も加わってもいいかな?」
「ダメだぞ。入ったら、怪我するかもしれないから」

気持ちは分かる。

なんだか、楽しそうだもんな。

だけど……。

戦いが始まると、それは壮絶なものでした。

フェリシラ様の魔法は自慢するだけはあって、凄かった。

連弾のように火の玉がイディア様を襲う。

それをなんなく避け、一気に間合いを詰めようとした。

あれは……結界魔法というやつか?

イディア様の攻撃をなにかで弾いたように見えた。

その衝撃で、イディア様が吹き飛び、攻守は逆転する。

……いい勝負だな。

「アリーシャもいつかはああいう戦いが出来るといいな」

獣人は高い身体能力を持つ。

戦闘力という点では人間やエルフを大きく凌駕するかもしれない。

「……アリーシャ?」

いない。

どこに……。

……僕は信じられない光景を目の当たりにしていた。

うそ、だろ?

「ひええええええっ!! 私の剣がぁぁぁぁぁ、折れたぁぁぁぁぁ!!」
「私の杖が砕けてしまいましたわ」

へなへなと座り込む二人の前に悠然と立つ一人の美少女獣人。

片手に短剣を持ち、もう片方には折れた杖を握っていた。

えっと……。

うそ……。

僕に近づいてくる!!?

えっ……どうしよう……。

剣……そうだ、剣を……。

なんとか、剣を持つと目の前に……美少女が。

「ちょっ!!」

襲い来る短剣での攻撃。

僕はかろうじて剣で防御はするが……。

こんなの……勝てるかぁ!

僕は剣を投げ捨てた。

「よし、来い!」

剣での戦いなんて僕に出来るかぁ!!

今まで、鍛冶でちょっと握ったくらいしか経験がないんだ。

まだ、組み合ったほうがマシだ。

再び、襲いかかってくる美少女。

今だ!

鍛冶師を舐めるなよぉぉ!

鍛え上げた、この両腕から逃げられると思うな。

一気に間合いを詰め、美少女に抱きつき、締め上げる。

「これで剣も振れまい」
「うううっ……苦しい……お兄ちゃん」

……僕もどうかしていた。

アリーシャに痛い思いをさせるなんて……。

「大丈夫か?」
「うん。お兄ちゃん、強いんだね」

そう、かな?

「でも、急にどうしたんだ?」
「えっとね……戦いを見るととても興奮するの。居ても立ってもいられなくて……」

僕は分かってしまった。

きっと、そうなんだろう。

そう、彼女は……

古より存在する戦闘狂……バーサーカーなんだと。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

処理中です...