追放鍛治師の成り上がり〜ゴミスキル『研磨』で人もスキルも性能アップ〜家に戻れ?無能な実家に興味はありません

秋田ノ介

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ダンジョン

第49話 錬金術って何?

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ベローネ館の執務室。

ここにも大きな釜があるのか……。

本当にこの人は何者なのだろうか?

「昨日は久しぶりに楽しめた。礼を言うぞ」

呼び出されたのは僕とフェリシラ様だけだった。

アリーシャはウィネットちゃんと遊ぶことを選び、イディア様は付き人に徹していた。

「いいえ。色々と用意してもらって、恐縮しています」

食材を用意したのはこっちだが、酒がないのはつまらないと秘蔵の酒をいくつか提供してもらった。

イディア様は秘蔵アイテムを取り出す度に、卒倒しそうなほど驚いているのは……。

鬱陶しかった。

もう少し、声を静かに出来ないものか……。

「ふむ。さて、呼んだのは他でもない。お主にずっと礼を言ったかった」

ん?

「先程、聞きましたが?」
「そうではない。我が娘のことだ……遅くなったが、本当に感謝しておる」

そういって、ベローネ様は頭を下げた。

ああ、僕はダメな男だ。

どうして……。

胸に目が行ってしまうのだろうか?

「ちょっと! ライル」

おっと……。

「頭をお上げ下さい。ベローネ様。僕はやるべきことをやったまで。そこまで、やって頂く必要はありません」
「これは私がしたかったからだ。さて……」

それは……。

デルバート様からの手紙だ。

「こやつは本当にふざけたやつだな。私に存外な要求をしてきおった」

フェリシラ様と目を合わせたが、彼女も手紙の中身までは知らないみたいだ。

「えっと……何が書いてあったか、教えて頂けませんか?」
「錬金術師を一人、派遣してほしいと書いておった。本当に馬鹿げておる!!」

……?

僕には全く分からなかった。

そもそも、錬金術ってなんなんだ?

ここに来るまではおとぎ話の世界だと思っていた。

だが、現実にあると分かっても、それが何かは分からない。

僕がどんな顔をしていたか分からないが、ベローネ様が物を投げてきた。

「それが何か分かるか?」

「……ネックレス、ですか?」

かなり大きめの宝石が付いていて……高価そうだ。

「そうだ。だが、それは錬金術によってスキルが付与されておる」

……?

それって、魔道具ってことか?

なるほど……魔道具技師を昔ながらに錬金術師と呼んでいたということか。

分かってきたぞ。

しかし、ネックレスにスキルを……。

一体、どんな?

「お主は『鑑定』スキルが使えるんじゃろ? それで覗いてみよ」

どうして知って……

イディア様か……。

何の疑いもしないまま、『鑑定』メガネを装着した。


ネックレス
品質: A
耐久度: 7499/7500
スキル: 回復
ランク: スペシャル級
熟練度: ☆3

……品質、高いな!

いや、それも見るべきはそこじゃない。

回復スキル?

それも重要だが、なによりも……

ランクが高い。

普通の魔道具技師ではこれは不可能だ。

なにせ、使用するのはスキル玉だ。

それは全てレギュラー級の☆1だ。

それに例外はないと聞いたことがある。

「どうじゃ? 何かわかったか?」
「はい。これがとんでもない物であるということが……」

だけど、どうやってこれを作っているんだ?

ベローネ様が手を拱いている。

ああ、返せということか。

「錬金術って一体……」
「一言で言えば、合成じゃな」

合成?

……なるほど。

それならば、説明は付くな。

おそらく、価値の小さなスキル玉を合成することで、価値を大きくしていく。

それを魔道具として作り変える……。

そんなところだろう……だけど。

「そんなことが可能なんですか?」
「それが錬金術という秘術なんじゃ。分かるか? この価値が」

それは凄いことだろう。

なにせ、有力なスキルを量産することが出来る。

その結果は……力と富の独占……。

それが可能なほど、錬金術は価値あるものだ。

「あやつが錬金術を欲しがる理由も分かるであろう? だが、これだけは譲るわけにはいかぬ。たとえ……」

全てのエルフを根絶やしにしても……。

その覚悟の前に、僕は足が震えた。

ベローネ様が持っている技術は世界を変えてしまう。

その危険性は痛いほど感じてしまう。

そして、僕はふと思ってしまった。

僕の能力も同じなんだと。

能力の高い武具の作成は軍事力に大きな影響を与える。

ただ、一級品程度で済めば、まだかわいい。

これから王国級やゴッド級といった伝説の武具にまでも作れたら、どうだろう?

世界を一変させてしまうのではないか?

そして、僕は新たな能力……特性付与を得た。

これによって、更に信じられない力を持つ武具を作成することが出来る。

だから……。

フェリシラ様は悲しい顔をしていたんだ……。

僕の力が恐ろしいほどの可能性を持ち……暴走することを危惧して。

そして……。

「お兄様には内緒……」

その言葉の裏には、僕の力を利用するデルバート様の姿があったのだろう。

僕にも分かる。

あの人は、目的を達成するためにはどんな手段も厭わない。

世界を破滅に招こうとも……。

「ライル? しっかりせい!!」
「すみません。考え事をしていて……」

僕とベローネ様の立場は、ある意味似ているんだ。

特殊な能力を持った同士なんだ……。

「あやつには、錬金術師の派遣はせぬ。それを伝えてもらえぬか?」

当然だ。

デルバート様にだけは渡してはならない気がする。

「フェリシラ様?」
「私に依存はありませんわ。お兄様の欲張りには困ったものですわね」

……これでいい。

だけど、分からない。

どうして、デルバート様はそんな要求をしてきたんだ?

今でも十分な力を持っているというのに……。

「あの……」

フェリシラ様?

「不躾ながら……お兄様がこのような手紙を出すということは、何かしらの貸しがあるのではないですか? 妹としてお兄様は怖いお方です。すぐに精算をなさったほうが……」

「フフッ。あやつも妹に怖がられていては肩身が狭いのぉ。だが、貸しはないはずじゃ。あやつには既にエルフの秘宝を渡しておるからな」

なんとも、気になる単語だな。

「あの、エルフの秘宝って?」
「ああ、錬金術で使った……まぁ、試作品みたいなものなんだが。『変化』スキルを付与した魔道具じゃ」

そんなものまで……。

ただ、ちょっと考えてしまった。

デルバート様がフェリシラ様に変身して、遊んでいる姿を……。

「何を笑っているの? ライル」
「いえ、別に……」

グレンコットでの目的は全て果たした……。

帰ろう……僕の工房に。
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