爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介

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第16話 新工房視察

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 レイヤに鍛冶工房を頼んでから、一ヶ月が経った。夏も真っ盛りで、暑さが和らぐ様子もない。暑いなぁ……エリスは相変わらず、ロッシュの用意したメイド服を着用しているが、汗でいろいろ透けて見えることがある。夏仕様の物を用意してあげたほうがいいな。
 
 海の方も、海水浴客が増えてきている。宿泊施設は、連日満員だそうだ。皆から喜びの声と共に、増築の嘆願も多数届いている。レイヤに頼む予定だが、今年は増築が終わった頃には、涼しくなっているだろうから、やれるときでいいだろう。
 
 朝食が終わった頃に、レイヤが訪ねてきた。エリスが冷たい水を用意していたのを、レイヤが一気に飲み干した。

 「ふぃ~。ありがとう、エリス。それと村長、おはようございます。朗報よ。ついに鍛冶工房が完成したんだ。是非、見に来てほしくて、今日は来たんだ」

 この報告を待っていたんだ。ついに、この村にも鍛冶工房が出来たのか……しかし、思ったりよりも早かったが、何か仕掛けでもあったのかな? 考えていると……

 「結構、早く済んだでしょ? それはね、旧都にあった鍛冶工房の設備すべてを移すことが出来たからさ。工房の建物自体は使い物にならなかったけど、設備や小道具なんかは、ちょっと修復するだけで使えることがわかったんだよ」

 ほお、鍛冶工房なんてあったのか。旧都には結構足を運んだが、そんなのは見たことがないなぁ。

 「旧都といっても、端っこのほうさ。人があまり住んでなかった地区で、今は、草に覆われて、旧都の面影も何もないよ。けど、カーゴが覚えていたから、探すことが出来たのさ」

 それは見つからないわけだ。今日の予定を確認すると、工房の視察はできそうだ。エリスには、ゴードンを工房に連れてくるように伝え、レイヤと共に工房へ向かった。新工房は、村の外れに作られた。森の近くのほうが何かと都合がいいみたいだ。たしかに、薪を大量に使うからな。

 ゆくゆくは、薪を炭に変えていきたいところだな。そうすれば、農具も新調することが出来るだろう。あとは、鉄か……。廃材の鉄もすべてインゴットにしたものの、少し心もとないな。

 新工房の外観は新築だ。総レンガ造りで、この村では一番立派な建物かもしれない。中に入ってみると、まさに鍛冶工房という内装だ。まだ、火は起こされていないが、立派な炉が設けられていた。結構、大型だな。これなら、大きな道具も作れるだろう。

 工房には、住居部も併設されており、住居兼工房といった感じだ。なるほど。外から見て、工房だけの割にでかいと思っていたが、住居も付いているなら納得だ。住居部の内装も、旧都から引き上げてきたものを再利用している。カーゴもかなり気に入ってくれたようだ。
 ほお、弟子用の部屋もあるのか……言ったことを覚えておいてくれたか……

 「大変素晴らしい作りだ。旧都の工房を使うのは、いい案だったな。これならすぐにでも、工房として機能することが出来るだろう。しかし、少し待ってもらいたいな。薪や鉄の関係で、すこし調達が遅れそうなんだ。だから、今は農具のメンテナンスや鉄製品の補修などを中心にやってもらいたい。それと、外に畑を作っておこう。今まで、畑作業をやっていたのだ、急には畑から離れられんだろ?」

 カーゴも新工房が出来たことで一安心している。それと、これからの仕事に並々ならぬ熱意を感じた。

 ゴードンとエリスが、遅れてやってきた。

 「ロッシュ村長、どうやら遅くなってしまったみたいですな。いやぁ、年は取りたくないものですな……エリスさんに着いていくのが精一杯で……おお! これが新しい工房ですか! いやぁ、素晴らしい!!」

 ゴードンも喜んでくれたみたいだ。

 「ゴードン、聞きたいことがあるんだ。この辺りに、鉄が取れる場所はないか?」
 工房があっても、鉄がなくては、何も作れない。商人の往来がない今、自前で調達する以外、方法がないのが、頭を悩ませる。

 「ん~あるには、あるんです。以前の石灰岩を採掘したところより、更に北にある山に鉄の採掘場があります。しかし、そこには山賊達が住み着いているという噂を耳にしたことがあるんです」

 山賊か……村人を連れていくのは、ちょっと危険だな。僕だけだったらなんとかなるが……少し危険だが、調査にいくか……

 「ロッシュ村長。一応、言っておきますが、一人で行こうとなさらないでくださいね。鉄が必要なのは、私にもよくわかります。行くのなら、戦闘が出来る村人を何人か連れて行ってください。彼らが村長の盾となるでしょう」

 ゴードンに先を読まれてしまった。しかし、ゴードンの言うことは尤もだ。しぶしぶだが頷くことにした。雰囲気が少し重くなってしまった。しかし、この雰囲気なら……

 「レイヤも、よくやってくれた。度々、済まぬが、次の仕事を頼みたい……」

 僕は、レイヤをすこし酷使し過ぎな気がしていたため、すごく躊躇していると、

 「何、気にしているんだよ。村がどんどん良くなっていることに、あたしが役立ってるって思うと嬉しいんだよ。どんどん、仕事を回してくれよ」

 レイヤは本当に村のために仕事をしてくれている。そうだ、以前言っていた、食事に誘うことにしよう。

 「ああ、助かるよ。前に言っていた食事を今夜、どうだい? そのときに、仕事の内容を説明するよ」
 レイヤが少し動揺しているように見えたが、すぐにいつものレイヤに戻った。

 「今夜とは、随分急だね。まぁ、村長のお誘いだ……断るわけにはいかないね」

 カーゴがこのやり取りを見て、ニヤニヤしていたが、僕がカーゴの方を向くと、真顔に戻った。

 「カーゴ。これから、この工房で頼むぞ。村の鍛冶は、君が一手に引き受けることになる。今後は目が回るほど忙しくなるだろうから、それまでに腕をあげておいて欲しい。それと雑用をさせる弟子を探しておくといい」

 カーゴが深々と頭を下げていた。彼女なら、工房を任せても大丈夫だろう。僕達は工房を後にした。皆と別れ、エリスと共に屋敷へと戻っていった。

 その後のレイヤとの食事は、それは楽しいものだった。レイヤのいつもと違う服装に、僕はドキドキしながら、会話を楽しんだ。エリスも、レイヤと一緒にいると楽しそうに笑っていた。

 皆がこうして、笑っている時間を作っていきたいと思った。
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