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第18話 山賊と採掘所 後編
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悩んでいると相手は構わず、話しかけてきた。
「貴様ら、何者だ!! 正直に答えろ」
「お前らこそ、何者だ! この地にいる山賊とは、お前たちのことか?」
「ふふっ……山賊か……ああ、その通りだ。それで? お前らは何者だ」
やはり、山賊だったか……
「僕は、この地を治めるイルス辺境伯だ!」
「辺境伯だと……この地を治める、あのお方……隊長は、亡くなられたはずだ! ……そうか、あのお方の息子か」
「父上を知っているのか⁉」
「ああ。オレらは、イルス隊長の部下だった。あの悲惨な戦争の中、あのお方のおかげで命を何度救われたことか。オレらは、イルス隊長に恩返しするために、この地で隊長を弔っていた。しかし、今のオレらは山賊だ。オレらは、もはや居場所のない半端者ばかりさ。隊長の息子だか何だか知らねぇが。どうする? このまま、オレらと戦って、死ぬか、一生、俺達の奴隷となるか、選ばせてやる」
父上の部下だった人達。そんな人たちが山賊をやっているなんて……父上は、無念であろうか? 僕は父上ではないが、彼らを放っておくことは出来ない。
「お前たち、村に来る気はないか? お前たちなら大歓迎だ」
僕がまさか、勧誘するとは思っていなかったのか、村民と山賊たちが、固唾を呑んで見守っていた。
「オレらは山賊だぞ。それに、それだけでも……。それでも、受け入れてくれるというのか? お前の今の言葉は……重いぞ」
「ふふっ。僕はまだ13歳だ。そんな僕を村長として受け入れてくれるんだぞ。お前らを受け入れないほど、村民は狭量ではない」
「いうじゃねえか」
「だが、それが真実だ」
「そうかい……だがな、オレは自分より弱いやつの下につく気はないぜ。お前が隊長の息子でもな。オレと戦え。お前の村に行くかどうかは、それからだ」
「どうしてもですか? ……わかりました」
すぐに土魔法を使って、彼の下に大きな穴を開けた。深さ三メートル位のを。案の定、彼は穴に吸い込まれていった。これで勝負は決したように思えた。しかし、彼は深さ三メートルの穴からジャンプして脱出した。
「ガキだと思って油断したぜ。まさか、魔法が使えるとはな……じゃあ、こっちも本気で行くぜ」
彼が僕の方に、突進してきた。武器は持っていない。拳を振りかざし、殴り掛かろうとした。とっさに、風圧を強めにした空気の塊を、彼にぶつけた。その風圧で彼は、遠くの方に吹き飛ばされた。
しかし、彼は変わらず、僕の方に突進してくる。同じように空気の塊をぶつけると、吹き飛んだ。彼には、ダメージがないようだ。体を痛めた様子もなく、更に突進してくる。これでは、埒が明かないぞ。
何度か詠唱をするふりをして、威力を強めにしていった。さすがに、彼にもダメージが溜まっていたようで、肩で息を切らし始めた。僕に突進してくる間、ずっと詠唱のふりをした。僕の目の前まで迫ってくると、急に目の前から消えた。
「どうやら、正面しか魔法は使えないようだな……」
僕の真後ろに、彼の気配を感じた。が、次の瞬間、気配を消した……僕は知っている。深い深い穴の奥底に、彼が落ちたことを……
あらかじめ、周囲に穴を掘り、表面に薄い蓋をした……つまり落とし穴を作っていたのだ。詠唱のふりをしていたのは、詠唱が長くなればなるほど、威力が強まると錯覚させるため。そうすることで、彼は絶対に僕の死角を攻めてくると踏んだ。それが、功を奏したようだった。
この穴では、さすがに抜け出せないだろう。それにさっきと違って、彼はダメージを負っている。落とし穴を覗いて、彼を見つけた。彼も僕をじっと見つめていた。
「ライルだ。オレの名前だ。降参だよ。オレの負けだ」
これで決着した。ライルを穴から出した。ライルは、他の山賊達に、自分は村に行くことを伝えると、皆が付いていくと大騒ぎしていた。すごい、熱気だ……
これで、鉄の採掘場と山賊の問題が片付き、一見落着。ライル達がこちらに近づいてきた。人数は35名いた。これだけの人数に囲まれて、よく無事に生き残れたものだ。自分の幸運に感謝しなきゃな。
ライル達が、皆一斉にフードを外すと、頭には尖った耳が出てきた。狼系の亜人だったのだ。
「これが最後の問いだ。オレらは、お前らの嫌いな亜人だ。それでも、受け入れてくれるのか?」
力強く頷いた。人だろうが亜人だろうが、村人になったら、皆、家族だ。
僕らは、採掘場を後にした。男手を確保したことで、あれができそうだ。そう、馬の確保。しかも、彼らは戦場帰りだ……馬の扱いにも長けているだろう……。
ライルにそのことを相談すると、初仕事だと張り切っていた。馬の居場所に近づいていくと、ライルが一人で馬に近づき、口笛を吹いた。すると、馬がライルの側によってきた。
え⁉ どうして? ライルに聞くと……この馬たちは、戦場から逃げ出してきた馬だという。戦場で駆け抜けるために飼育されているから、気は荒いが、人には馴れているとのこと。スピードはあるけど、馬力はないから、農耕馬としては適さないらしい。残念……。
途中、獣が現れた。風魔法で、獣を両断にした。
「村長さんよ……その魔法をオレに使っていたら、一瞬で勝てたと思うぞ」
「ん? あれをやったら、ライル、死んでしまうぞ? それにな、僕は人を傷つけたくないんだよ……」
「あっはっはっ、こんなご時勢に、とんだ甘ちゃんがいたもんだ。いいぜ。オレが守ってやるぜ。村長さん」
ライルには、部下と共に、村の自警団を組織してもらうことにした。自警団には、馬も付けて。30人の騎馬隊も配備された。ちょっと、豪勢すぎるかな。
その後の話だが、村ではちょっとした出産ラッシュが起こった。どうやら、村民の女性とライルの部下たちが結婚して、子を産んだらしい。村には、成人した男いないもんなぁ……ライルは、まだ独身のようだ。山賊として人を殺めた奴が、人を幸せに出来るかって、女性を受け付けてないみたい。一部では、僕とライルがデキてるって噂も出たが……それは別の話。
新たに、ライル以下35名の亜人が、村の仲間に加わった。移民は初めてだな。
「貴様ら、何者だ!! 正直に答えろ」
「お前らこそ、何者だ! この地にいる山賊とは、お前たちのことか?」
「ふふっ……山賊か……ああ、その通りだ。それで? お前らは何者だ」
やはり、山賊だったか……
「僕は、この地を治めるイルス辺境伯だ!」
「辺境伯だと……この地を治める、あのお方……隊長は、亡くなられたはずだ! ……そうか、あのお方の息子か」
「父上を知っているのか⁉」
「ああ。オレらは、イルス隊長の部下だった。あの悲惨な戦争の中、あのお方のおかげで命を何度救われたことか。オレらは、イルス隊長に恩返しするために、この地で隊長を弔っていた。しかし、今のオレらは山賊だ。オレらは、もはや居場所のない半端者ばかりさ。隊長の息子だか何だか知らねぇが。どうする? このまま、オレらと戦って、死ぬか、一生、俺達の奴隷となるか、選ばせてやる」
父上の部下だった人達。そんな人たちが山賊をやっているなんて……父上は、無念であろうか? 僕は父上ではないが、彼らを放っておくことは出来ない。
「お前たち、村に来る気はないか? お前たちなら大歓迎だ」
僕がまさか、勧誘するとは思っていなかったのか、村民と山賊たちが、固唾を呑んで見守っていた。
「オレらは山賊だぞ。それに、それだけでも……。それでも、受け入れてくれるというのか? お前の今の言葉は……重いぞ」
「ふふっ。僕はまだ13歳だ。そんな僕を村長として受け入れてくれるんだぞ。お前らを受け入れないほど、村民は狭量ではない」
「いうじゃねえか」
「だが、それが真実だ」
「そうかい……だがな、オレは自分より弱いやつの下につく気はないぜ。お前が隊長の息子でもな。オレと戦え。お前の村に行くかどうかは、それからだ」
「どうしてもですか? ……わかりました」
すぐに土魔法を使って、彼の下に大きな穴を開けた。深さ三メートル位のを。案の定、彼は穴に吸い込まれていった。これで勝負は決したように思えた。しかし、彼は深さ三メートルの穴からジャンプして脱出した。
「ガキだと思って油断したぜ。まさか、魔法が使えるとはな……じゃあ、こっちも本気で行くぜ」
彼が僕の方に、突進してきた。武器は持っていない。拳を振りかざし、殴り掛かろうとした。とっさに、風圧を強めにした空気の塊を、彼にぶつけた。その風圧で彼は、遠くの方に吹き飛ばされた。
しかし、彼は変わらず、僕の方に突進してくる。同じように空気の塊をぶつけると、吹き飛んだ。彼には、ダメージがないようだ。体を痛めた様子もなく、更に突進してくる。これでは、埒が明かないぞ。
何度か詠唱をするふりをして、威力を強めにしていった。さすがに、彼にもダメージが溜まっていたようで、肩で息を切らし始めた。僕に突進してくる間、ずっと詠唱のふりをした。僕の目の前まで迫ってくると、急に目の前から消えた。
「どうやら、正面しか魔法は使えないようだな……」
僕の真後ろに、彼の気配を感じた。が、次の瞬間、気配を消した……僕は知っている。深い深い穴の奥底に、彼が落ちたことを……
あらかじめ、周囲に穴を掘り、表面に薄い蓋をした……つまり落とし穴を作っていたのだ。詠唱のふりをしていたのは、詠唱が長くなればなるほど、威力が強まると錯覚させるため。そうすることで、彼は絶対に僕の死角を攻めてくると踏んだ。それが、功を奏したようだった。
この穴では、さすがに抜け出せないだろう。それにさっきと違って、彼はダメージを負っている。落とし穴を覗いて、彼を見つけた。彼も僕をじっと見つめていた。
「ライルだ。オレの名前だ。降参だよ。オレの負けだ」
これで決着した。ライルを穴から出した。ライルは、他の山賊達に、自分は村に行くことを伝えると、皆が付いていくと大騒ぎしていた。すごい、熱気だ……
これで、鉄の採掘場と山賊の問題が片付き、一見落着。ライル達がこちらに近づいてきた。人数は35名いた。これだけの人数に囲まれて、よく無事に生き残れたものだ。自分の幸運に感謝しなきゃな。
ライル達が、皆一斉にフードを外すと、頭には尖った耳が出てきた。狼系の亜人だったのだ。
「これが最後の問いだ。オレらは、お前らの嫌いな亜人だ。それでも、受け入れてくれるのか?」
力強く頷いた。人だろうが亜人だろうが、村人になったら、皆、家族だ。
僕らは、採掘場を後にした。男手を確保したことで、あれができそうだ。そう、馬の確保。しかも、彼らは戦場帰りだ……馬の扱いにも長けているだろう……。
ライルにそのことを相談すると、初仕事だと張り切っていた。馬の居場所に近づいていくと、ライルが一人で馬に近づき、口笛を吹いた。すると、馬がライルの側によってきた。
え⁉ どうして? ライルに聞くと……この馬たちは、戦場から逃げ出してきた馬だという。戦場で駆け抜けるために飼育されているから、気は荒いが、人には馴れているとのこと。スピードはあるけど、馬力はないから、農耕馬としては適さないらしい。残念……。
途中、獣が現れた。風魔法で、獣を両断にした。
「村長さんよ……その魔法をオレに使っていたら、一瞬で勝てたと思うぞ」
「ん? あれをやったら、ライル、死んでしまうぞ? それにな、僕は人を傷つけたくないんだよ……」
「あっはっはっ、こんなご時勢に、とんだ甘ちゃんがいたもんだ。いいぜ。オレが守ってやるぜ。村長さん」
ライルには、部下と共に、村の自警団を組織してもらうことにした。自警団には、馬も付けて。30人の騎馬隊も配備された。ちょっと、豪勢すぎるかな。
その後の話だが、村ではちょっとした出産ラッシュが起こった。どうやら、村民の女性とライルの部下たちが結婚して、子を産んだらしい。村には、成人した男いないもんなぁ……ライルは、まだ独身のようだ。山賊として人を殺めた奴が、人を幸せに出来るかって、女性を受け付けてないみたい。一部では、僕とライルがデキてるって噂も出たが……それは別の話。
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