爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介

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第107話 調査隊結成 前半

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 街道に壁を建設してから、しばらく経った頃。僕は、調査隊の結成を村人の前で宣言していた。調査隊の目的は、村周囲の状況を把握すること、移民希望者を募ること、新たな作物の発見、鉱物などの資源の発見を主とするものであることを説明した。調査隊の主力は、ルドの部下だった者の中から100名ほど選抜された者達だ。それに、自警団から数名とゴードンの息子ゴーダ、トマト畑の責任者であるゴールの弟子といわれる亜人の少年を加えた。僕は、調査隊のリーダーとして、ルドを村人に紹介した。

 「僕の隣りにいるのは、調査隊を任せるルドベックだ。彼には、調査隊を率いてもらい村にとって有益な情報を持ち帰ってもらうことにしている。近年は、少しずつ、村の周囲の取り巻く状況も変わってきていると聞く。村の存続を左右するような変化が近くまで迫っているかもしれないのだ。それを調べるためでもある。そのために、村の皆には不便を掛けるかもしれないが、村のためと思い我慢してもらいたいのだ。よろしく頼む」

 僕の言葉に対して村人からの反対はなかった。むしろ、調査隊への志願者が出る始末だった。村人の熱意はそれは凄いもので、村のために自分の犠牲を厭わないようだった。僕はその熱意に心を打たれたが、村人を調査隊に加えるわけにはいかないと思っていた。それは、周囲の状況がわからない状態では臨機応変に対応できる者であることが要求される。戦場の経験がない村人には、それを要求するのは難しく、ルドの部下が最適であることを説明し、村人をなんとか納得させることが出来た。次いで、ルドが挨拶をすることになった。

 「私が調査隊のリーダとして専任されたルドベックだ。まぁ、ルドと呼ばれているので、そう呼んでくれて構わない。さて、このような本格的な調査隊は村では初めてだと聞く。我々の目的は、ロッシュ村長より伝えられた通り多岐にわたるものだ。私としては移民の募集に力を入れたいと思っている。最近になって、亜人が奴隷として取引されているという、なんとも聞くに耐えないことがされていると聞く。その者達の救助も我々の重要な仕事だと位置づけている。長い月日がかかり、その分、皆には負担を掛けるが必ずや成果を上げて戻ってこよう」

 そういうと、村人からは喝采が上がった。特に亜人からの声が大きかった。同族が虐げられている現実に相当に怒りを感じているように見えた。その者たちを調査隊が救ってくれるかもしれないという期待が喝采の中で大いに感じることが出来た。

 調査隊を結成するための準備はかなり大掛かりなものとなった。野営用のテントや水食料、武器や防具、それぞれの予備も必要になってくる、荷車も大量に必要だ。それらを準備するためにかなりの時間を必要としたが、鍛冶職人のカーゴが寝食を惜しまず準備をしてくれ、ゴードンが方方に根回しをしてくれたおかげで一ヶ月という短い時間で準備が完了した。調査隊の当面の拠点はラエルの街にする予定だ。そこを起点として、各方角に調査隊を繰り出していくというの繰り返してもらうことになっている。当面は、村から食料や水は随時送り込むことにした。

 今のラエルの街は、当然廃墟となっている。さらに、家屋や倉庫は村に移築する関係で殆どが解体され、調査隊の宿泊に適している建物がかなり少なくなっている。とりあえずは残っている家屋を改造して、宿泊をしてもらうことになるが、建築資材が出来次第、ラエルの街に建物を建造していく予定だ。

 僕は最終的な確認をするためにルドとゴードンを呼び出した。すると、マリーヌもルドと共に現れたので、少し驚いたが、一緒に話をすることにした。

 「ルド。これで、準備はほぼ整ったと思う。ラエルの街の方がもう少し時間がかかるだろうが、拠点としては十分に機能すると思う。ゴードン、食料の方はどうなっているんだ?」

 「はい。ロッシュ村長。ラエルの街の方には、食料の備蓄が大方終わっております。ただ、調査隊が街を出ますと食料を警護するものがいなくなるため、あまり大量に備蓄するのは危険かと思いまして最小限にしてありますが」

 「うむ。いい判断だな。ここからラエルの街はそう遠くない。随時、食料を運び込むのが良いだろう。そうすると、食料を運び込むタイミングをとる必要があるな。ルド。こちらに定期連絡をする方法を考えてくれないか?」

 「それについては、考えてある。自警団の数名が同行してくれると言うので馬の扱いが上手いものを集めてもらった。彼らに村との連絡役に使おうと思っている。私はなるべく隊の方にいたいと思っているから、私が行くときは緊急事態と思ってくれて構わない」

 「考えているのなら、問題ない。とにかく、急いでやってもらいたのだ。一応だが、調査隊の主目的は、脱走した盗賊の発見だ。盗賊が逃げるとしたら北の方角が一番可能性があるだろう。フィルカウス教というのが北の地でかなりの勢力になっていると言っていたからな。そこに合流するのが素直な考えだろう。だから、北の方角を重点的に探してほしいと思っている。もちろん、戦闘行為はなるべく避けて欲しいと思っているが、判断はルドに任せる。僕の判断より適切だろうからな」

 「ああ。私も戦闘行為は避けるべきだと思っている。私の行動で村を危険に晒させたくないからな。それに、今回の調査でそこまでは深入りはするつもりはない。精々、ラエルの街から半径100キロメートルくらいが範囲になると思うが……」

 「それで構わない。もともと、発見することは難しい話だからな。むしろ魔の森を調べたほうが早く見つけられるかもしれないしな。とりあえず、こんなものか。また、何か変更することがあったら逐一伝えてくれ。さて……マリーヌがここにいるということは、付いていくということでいいのか?」

 「ロッシュさん。私は、ルド様に付いていきたいのです。ロッシュさんからは許可をもらっているとルド様から聞いておりましたが、私が頼むのが筋と思いまして、ここに参りました。どうか、同行をお許しをください」

 マリーヌの真剣な眼差しを見て、すこし妬けてしまった。もしかしたら危険な場所になるかもしれないのに、ルドのためにわざわざ付き従うなんて……僕はルドの方を見て、目が合うと少し恥ずかしそうにしていた。

 「許すも何もない。マリーヌの思うように行動すると良い。ルドをしっかりと助けてやるんだぞ。まぁ、餞別と言っては何だが、コーヒーを欲しいだけ持っていくと良い。旅の途中では、手に入らないだろうからな」
 
 そういうと、マリーヌは物凄く嬉しそうな顔をしてルドの方を向くと、ルドは優しそうな顔で微笑んでいた。僕は、少し席を離れ、資材置き部屋に向かい、ひと振りの短剣を手にした。これは、カーゴが僕の護身用にと作ってくれた物だ。僕は剣術などやったこともないので、完全に埃をかぶっていたものだ。これをマリーヌに預けておこう。

 執務室に戻ると、ルドとマリーヌ、ゴードンは寛いだ様子でコーヒーを飲んでいた。僕が戻ると、少し居住まいを正そうとしていたので、僕は制止をして、ソファーに座った。先程、取ってきた短剣をマリーヌの前に置き、護身用に受け取ってくれというと、マリーヌは短剣を鞘から抜いた。女性が持つには少し重いかもしれないが、彼女の身を守ってくれるだろう。短剣を見ていたルドがマリーヌより先に感謝の言葉を言ってきた。マリーヌも続けて、お礼してきたので、僕は、少し照れながら気にするとな、と言った。マリーヌは大事そうに短剣を抱えていた。
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