爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介

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第110話 魔法のカバン?

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 僕達は、既存の坑道を突き進み始めた。シラーの言う逆方向に進むのはまだ先になるみたいだ。入り組んだ坑道を進んでいくと、先行していたホムンクルスと会うことが出来た。坑道いっぱいの幅の荷車を引っ張ってたようで、ホムンクルスの体の一部が少し見える程度だった。僕が、掛け声を上げると、ホムンクルスの独特の言葉で返事が返っていた。この場所が、どうやら最初の拠点となる場所のようだ。僕は、土魔法を使って、坑道を拡張し物資を積むことが出来る程の空間を作り出した。

 ホムンクルスは、荷車に積んであった物資を空間の中央に積み下ろし始め、ちょうど終わった頃に僕の方に向かってきて、一つのカバンを手渡してきた。僕は、これ以上の荷物は持ちたくなかったので、拒むと、ホムンクルスがかなり強引にカバンを僕に押し付けてきた。

 「これ、スタシャ様からの、贈り物。中を見る」

 スタシャからの? 僕は半信半疑で、カバンの中を覗くと、カバンの底が見えず、中身が真っ暗だった。

 「いや、何もないぞ?」

 僕が何を言っても、ホムンクルスは僕の方をじっと見つめるだけだった。僕は観念して、手を入れると何かが手に当たる感触があった。それを掴み、引きずりだすと一本の瓶を掴んでいた。僕は瓶を見つめ、ホムンクルスの方に顔を向けると、それは魔力回復薬、と答えた。

 魔力回復薬……そんないいものがあったのか!! ありがたい。また、カバンの中を探ると同じ瓶が何本も出てきた。このカバンは、スタシャが持っていた大量に物が入るカバンだな。これがあれば、大量の食料と水を運ぶことができそうだな。試しに、物資の中から食料と水を取り出し、カバンの中に収めると吸い込まれるようにして入っていく。それから、カバンに手をいれ、出すが瓶ばかりである。

 「食料はどうやって取り出すんだ?」

 「食料、思い浮かべる。それから、取る」

 食料を思い浮かべて……あっ、本当に取れたぞ。どうゆう仕組みなんだ、これ? とりあえず、今は使えるものは何でも使おう。僕はカバンに詰め込めるだけの食料と水を詰め込み、行動を再開した。この拠点からは、新たに坑道を掘り進めることになった。

 シラーが指差す方に向かって僕は坑を掘り始めた。坑は二人が並んで歩けるくらいの広さで掘り進めた。途中いくつかの鉱脈にぶつかり、鉱物の中からアダマンタイトの精製だけを行った。精製したアダマンタイトのインゴットを坑道に積んでおけば、ホムンクルスが回収にやってきてくれるだろう。アダマンタイトは魔力回復薬を製造するのに必要になるため、催促されているのだ。

 ひたすら堀り、ついに魔力がなくなりかけてきた。僕はスタシャからもらった魔力回復薬を飲むと、急速に魔力が回復しだした。錬金術というのは、なんて凄いものを作り出すんだ。ただ、この魔力回復薬、後味が物凄く苦い。こんなに凄いものを作れるんだから、後味をなんで改良できないのか不思議でならなかった。戻ったら、聞いてみることにしよう。

 魔力が回復して、体調も良くなったので掘削を再開した。今のところ順調に掘り進めているが、シラーが言うにはまだまだ辿り着けなさそうらしい。匂いは確実に強くなっているので、存在するのは間違いないだろうというので、僕は安心し、掘り進めていった。

 既に何箇所の拠点を作っただろうか。拠点を作ると、僕達はそこでしばらく待機することになっている。ホムンクルスが物資を運び込んでくれるのを待つためだ。距離が入り口から遠ざかるほど、待機する時間は少しずつ長くなっているが、それでも数日と待つことはない。その間は、近場の鉱脈を掘り、宝石や金属を精製したりして時間を潰していた。

 ここの鉱脈は大量の宝石や金属が産出される。僕も最初のうちは驚いていたが、だんだんと馴れてくるというのか作業みたいになってきてしまう。ダイヤモンドの原石なんかが出てきた時は、物凄く喜んでいたのが懐かしいほどだ。もちろん、回収はしていくが少し虚しさを覚え始めていた。だって、ただの石ころにしか見えない……

 ホムンクルスがやってきた。今回も食料や水を大漁に持ってきてくれている。この瞬間はいつも安心感を与えてくれる。持ってきてくれると信じているが、少しずつ目減りしていく食料を見ていると、やっぱり不安に感じるものだ。今回は、手紙を持参してやってきた。潜ってから初めての手紙だ。ここにいると時間の感覚がなくなっていくものだ。ホムンクルスに聞くと掘り始めて一ヶ月が経っているらしい。

 手紙はゴードンからのものだった。

 「ロッシュ村長。採掘は順調でしょうか。今回、手紙を出したのは、ルドベックさんからの報告があったからです。調査隊は、数週間前に500人ほどの亜人を連行している集団と遭遇し、連行していたのがフィルカウス教の者達だったようです。調査隊は、その集団を急襲し、500人の亜人を保護したそうです。私が報告を受け取った時点では、まだラエルの街には到着していません。また、各地にあった村で生存している者達も村への帰属を望んでいるため、街に送るという報告も来ていました。軽く見積もっても3000人ほどの人数がいると思われます。私が持っている情報は以上になります。これについて、村長の判断を教えていただけないでしょうか。続報があり次第、また報告させてもらいます」

 3000人⁉ 食料は足りるだろうか? 僕も受け入れはしたいと思っているが……。とりあえず、返事をゴードンに書いておくか。食料はなるべく温存すること、街で当面は受け入れること、怪我や体力を消耗しているものにはマグ姉に薬を処方してもらうこと、農作業が出来るものがいれば、仕事をさせること、秋の作付けの準備をしておくこと。などを書いて送った。ゴードンならこれだけの文章で全てを理解してくれるだろう。

 僕とシラーは、食料と水を補充して出発した。
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