爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介

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第121話 アウーディア石の制御

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 女神様が屋敷に住み着くことになった。最近、屋敷を離れたマリーヌの部屋がちょうど空いていたので、その部屋に住んでもらうことにしたのだ。意外だが、マリーヌの部屋と言っても決して広い部屋とはいい難いが、文句も言わずに部屋を使ってくれることになった。それでも、女神様の持っている私物といえば、露出の多い服と僕から奪った指輪だけだ。僕としては、その服装でもいいのだが、村人の前に出すことが憚られるし、なによりも屋敷の女性たちからの僕への目線が痛い。

 女神様に、色綿糸で作った服を贈ったが、あまり喜んでくれなかったがとりあえず、我慢してきてもらうことにした。最近の村で流行っている白のワンピースにラインをいれたものだ。女神様に与えたワンピースは藍色のラインが入っている物で、髪の色に合わせたものだ。少し胸元が苦しそうに見えたが、よく似合っていた。

 「まぁ、人間界の素材ではこれが限界かもしれませんね。とりあえず、これで我慢するとします。部屋にも調度品がいくつか欲しいところですけど、それは追々でも構いませんよ」

 なんか、わがまま言い放題だが、僕のミスでこっちの世界に追放されたと聞かされたから、何も言えないな。僕は、唯々諾々と女神の言うことを聞いていた。僕は、魔力糸で作られた生地を見せると、女神はすぐに僕の手から奪い、じっくりと生地を触り、眺めていた。

 「これはいい生地ね。この生地で服を仕立ててもらえませんか。それともう少し胸元をゆったりとしてくれた方がいいですね」

 僕は、すぐに魔力糸で作った生地で作るんだったら特性を付けたほうがいいぞと提案した。魔力糸の特徴を言うと、かなり興味を示していた。是非というので、作るのに時間がかかることを言うと、ワンピースで我慢してくれるようだ。特性は、魔力糸を作るときに決めるものだからな。あとで、女神様に欲しい特性を聞いておくか。とりあえず、女神様の服に時間をこれ以上時間を割くわけにはいかない。

 「服の話はこれで終わりでいいだろう。後で詳細を聞いてやる。それよりもアウーディア石の件だ。確認なんだが、石の効果を及ぼしたいところに女神像を設置すればいいってことなんだよな?」

 女神様が少し考える素振りをみせた。

 「考えてみたら、その方法はもう使えないですね。その方法は、女神の力が必要なんですが、私、女神としての力が無くなりつつありますから」

 女神様の言葉に僕は膝をついて、絶望してしまった。女神様にまで会って、やっと解決策を見つけたと思ったのに。僕がミスをしなければ、こんなことには。僕は、悲壮な顔で女神様の顔を見た。

 「あら。貴方がそんな顔をするのね。いつも自信に溢れたような顔をしていたから意外ですわね。ちょっと、可愛いところを見れて嬉しいですわ。まぁ、これから貴方にお世話になるんですから、手助け位はしてもいいですよ」

 僕は、希望があるのかと思い、女神様に縋り助けを求めた。この村の存亡がかかっているんだ。すると、ただし、と言葉を続けた。

 「私のための屋敷を作ってくださいませんか。それも、この屋敷より広いのが良いですね。天界にはもう戻れないんですから、この世界を謳歌しますわ」

 僕はちょっと腹が立ってきた。汗水たらして、村のために頑張っている者がまだ掘っ立て小屋みたいな家に住んでいるのに、なんで女神様だからってこんなに優遇しなければならないんだ。僕のせいだとしても、すこし我儘過ぎないか? それとも女神というのはそうゆうものなのだろうか?

 「この地はようやく立て直してきたばかりなんだ。屋敷を建てるだけの人的余裕もない。それは、女神様が一番知っているはずじゃないか。要求に応えるだけの仕事をしてくれても、すぐに応じることは出来ないのは承知して欲しい。この村にいる者達には十二分な仕事をしているものに僕は、何も報いてやれていないのだ」

 「ごめんなさいね。ちょっと自暴自棄になっていたわ。もう女神でなくなったとは言え、この世界を担当していた神だったのですから、もうちょっと考えるべきでした。謝罪します」

 素直になられてしまうと、何も言えなくなってしまう。とりあえず、手伝うと言っていたが、具体的には何が出来るんだろうか? アウーディア石に関ることであればいいが。

 「アウーディア石の制御ですよ。私の持っている神の力をすべて使って、アウーディア石の制御する空間を作り上げます。そうすれば、効果が無限に広がるのを防いでくれますわ」

 そんなことが出来るのか。だが、神の力が失われていると言っていたが、大丈夫なんだろうか。神の力と言えば、女神様としての存在に関わるようなことなのではないだろうか。

 「ふふっ。いいんです。この世界を救うためには、この地は必要です。そのために、私の最後の神の力が役に立つというのなら、気にはしません……いえ、気にするので、服だけは新しいのを作ってくださいね」

 可愛らしくお願いする様は一体何なんだ!! 可愛すぎる。ちょっと、女神様に意識が持って行かれたせいで、正常な判断ができなくなっている。一旦、落ち着いて……女神様の力に縋ろう。女神様は、とにかくアウーディア石を保管している場所に案内するように言ってきたので、僕達は向かうことにした。アウーディア石の大きさでは、村一番の倉庫でも格納しておくのが難しいので、屋敷の屋外に放置された状態だった。さすがにこの扱いを見て、女神様が僕を睨みつけていたが、何も言えずに小さな声で謝った。

 「これは酷いですわね。貴方にとって、この石は大切なものなのでしょう? それをこの扱いをするとは。まずは、場所を移動しましょう。この村の中心に当たる場所がいいですね。それと、保管は私が結界を張るので地下が望ましいです」

 女神様の言葉を聞いて、すぐに人を集めて、中央の広場に運んでもらうことにした。石を初めて見る村人も多かったみたいで、あまりの美しさに絶句していた。運ぶために数十人も必要だったため、大事になってしまった。運ぶのは時間がかかるみたいなので、僕と女神様はひと足早く、広場に向かい、石の保管場所となる地下室を作るための場所を選定していた。女神様は自分の御神体を見て、少し寂しそうな顔をしていたが、その横にある巨石を眺めて、僕には聞こえなかったが、ぼそっと何かを呟いていた。あの巨石には何かあるのだろうか?

 地下室の場所は、この巨石のすぐ後ろの地下にすることに決まった。地下までの入り口は、御神体のすぐ裏となる。僕は、土魔法を使って掘り進めていき、螺旋状に階段を作り、かなり深い場所に広大な地下室を作りあげた。今後もアウーディア石が手に入ることを想定してのことだ。この国の初代様が手にしていたアウーディア石の大きさは山のようだと聞いていたからな。それが手に入ってもいいような大きさにした。女神様の力も今回限りのものだ。やり直しが聞かないと聞いたら尚更だろう。

 こうして、村の地下には村の面積に匹敵するだけの地下室が完成した。地盤沈下を防ぐためにたくさんの柱を作り、地下水が漏れ出るのを防ぐ処置をした。とりあえず、こんなものでいいだろうと思っていると、地上のほうが騒がしくなり、僕が地上に上がると丁度、石を運んでいた村人たちが到着していた。ゴードンも一緒に来ていたようだ。

 僕は、村人たちを労い、石を地下室に運ぶようにしてもらうことにした。長い長い螺旋階段を降りるのは、かなり苦労をしていたが、僕も手伝い、なんとか地下室に運び込むことが出来た。
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