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1章
野ばらの実
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ノアはヘビが苦手なのだ。恐さのあまり手のひらがじっとり汗ばんでくる。このままでは手がすべって,ヘビの上へ落っこちそうだ。
「たすけてぇ―!」
ノアは悲鳴を上げた。それを聞いて、ロビンは樹洞から身を乗り出した。
「兄ちゃん、ヘビだ!」
見たことも無い大きなヘビがいた。ロビンも、叫びそうになったが、ノアを、驚かせないように静かに言った。
「落ち着け!今、助けてやる」
本や、ペットボトルを投げつけても、潰れる相手じゃない。それどころか、びっくりした拍子にノアに襲いかかるだろう。
(どっか、行け!)
ロビンは、思い切り蛇を睨みつけた。緑と黒のシマシマヘビは鎌首を持ち上げ、赤い舌をちらちらさせた。まるで、何かを話しかけているようだ。人間の言葉はつうじなくても、気持ちが伝わる方法はないものか。ロビンは樹洞から思い切り体を乗り出して、手のひらを押し出して、”行け、行け”とヘビに合図をした。
ヘビはピタリと止まって、首をかしげロビンを見上げている。
ロビンは、心の声でヘビをどなりつけた。
(失せろ!)
と、蛇は、スルスルと動きだし、茂みの中に消えてしまった。よかった。行っちゃった。
ノアはポンと地面に着地した。ロビンも樹洞から飛び降りて、ふたりは一目散にかけだした。
「はぁ――苦しい」
「もう、走れねぇ――」
ロビンとノアは、息を切らせて立ち止まった。ぜいぜいと、息があがっている。
ふと、茂みの中でかさこそと音がした。近寄ってみると、白いドレスを着た女の子がいる。同じぐらいの歳頃だけれど、こんな所でいったい何をしているんだろう?
ロビンは、そっと彼女の様子をうかがった。女の子は草むらの、紅い実をせっせと摘んでいる。
ノアが小声で聞いた。
「あの紅い実って、食えるのか?」
「知らねぇ」
「アイツ、何考えてんだ?」
「たぶん、なんも考えてねぇ……」
女の子が、金髪をふわりと浮かせて振り向いた。ふたりに気がついて茂みから姿を現しこちらにやって来る。
「こんにちわ」
明るい飛びはねるような声で言う。緑がかった目はきれいに清んでいる。
「「やぁー」」
ふたりは、何か言いたかった。けれど、フランス人形のような子に、何を言ったらいいかよくわからない。
「それは、うまいのか?」ノアが遠慮がちに尋ねた。
「これは、野ばらの実。美味しいものじゃないけど。お薬になるの。
君たち、島の人でしょう?ちょうどよかった。ロビンとノアって男の子を探しているの。知ってる?」
「たすけてぇ―!」
ノアは悲鳴を上げた。それを聞いて、ロビンは樹洞から身を乗り出した。
「兄ちゃん、ヘビだ!」
見たことも無い大きなヘビがいた。ロビンも、叫びそうになったが、ノアを、驚かせないように静かに言った。
「落ち着け!今、助けてやる」
本や、ペットボトルを投げつけても、潰れる相手じゃない。それどころか、びっくりした拍子にノアに襲いかかるだろう。
(どっか、行け!)
ロビンは、思い切り蛇を睨みつけた。緑と黒のシマシマヘビは鎌首を持ち上げ、赤い舌をちらちらさせた。まるで、何かを話しかけているようだ。人間の言葉はつうじなくても、気持ちが伝わる方法はないものか。ロビンは樹洞から思い切り体を乗り出して、手のひらを押し出して、”行け、行け”とヘビに合図をした。
ヘビはピタリと止まって、首をかしげロビンを見上げている。
ロビンは、心の声でヘビをどなりつけた。
(失せろ!)
と、蛇は、スルスルと動きだし、茂みの中に消えてしまった。よかった。行っちゃった。
ノアはポンと地面に着地した。ロビンも樹洞から飛び降りて、ふたりは一目散にかけだした。
「はぁ――苦しい」
「もう、走れねぇ――」
ロビンとノアは、息を切らせて立ち止まった。ぜいぜいと、息があがっている。
ふと、茂みの中でかさこそと音がした。近寄ってみると、白いドレスを着た女の子がいる。同じぐらいの歳頃だけれど、こんな所でいったい何をしているんだろう?
ロビンは、そっと彼女の様子をうかがった。女の子は草むらの、紅い実をせっせと摘んでいる。
ノアが小声で聞いた。
「あの紅い実って、食えるのか?」
「知らねぇ」
「アイツ、何考えてんだ?」
「たぶん、なんも考えてねぇ……」
女の子が、金髪をふわりと浮かせて振り向いた。ふたりに気がついて茂みから姿を現しこちらにやって来る。
「こんにちわ」
明るい飛びはねるような声で言う。緑がかった目はきれいに清んでいる。
「「やぁー」」
ふたりは、何か言いたかった。けれど、フランス人形のような子に、何を言ったらいいかよくわからない。
「それは、うまいのか?」ノアが遠慮がちに尋ねた。
「これは、野ばらの実。美味しいものじゃないけど。お薬になるの。
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