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1章

薄っぺらいスマホ

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 どうして僕達の名前を知っているのだろう。ふたりは、目をぱちくりさせた。

「僕達が、ロビンとノアだ」ロビンが、きっぱりと言う。

「ああ、よかった。えーと、お兄さんのロビンはーーー?見た目じゃぁ、どっちが年上かよくわからないわ」

 ロビンは、ムッとした。気にしていることをはっきり言われて、プライドが傷ついた。
『どっちが年上かよくわからない』とは、アニキのぼくに失礼じゃないか。

 女の子は、手提げバッグからスマホを取り出すと、画面を読み上げた。

「ロビンは、色白でたれ目。ノアは、色黒で眉毛まゆげが太い……。ぇーと」
女の子は、真剣に二人の顔を見比べている。

「じろじろ見るなよ。ぼくがアニキだ」

 女の子は、ニッコリして、ロビンにペコリと頭を下げた。
「私は、アンジェラ。よろしくね。ロビンに渡すようにって。預かって来た物があるの……」
アンジェラは、バックをかき回して「あった!」と紙包みを取り出し、ロビンに差し出す。

 何だろう……包を開けると、うすっぺらいカードが入っている。
「カードのように薄いけど、スマートフォンよ。上のボタンがスイッチ。押してみて」とアンジェラ。
「見せて」
 ノアが、ロビンの手からスマホをさっと取り上げ、スイッチを押す。
「おっ!すげぇ。ちゃんと、動くぞ」
「僕がもらったんだ。よこせよ」
 
 ロビンは、スマホを奪い取り、ホーム画面をのぞいた。アプリらしきものは、①カレンダー:7月19日 ②時計のイラスト:針は、5時半 ③ほうきに乗った魔女がマークの『魔法アプリ』の3個が並んでいる。
アプリは、たったの三個。すごくシンプルでおもちゃみたいに見える。

『魔法アプリ』って、なんだろ?

 ロビンがタップしてみると、カメラのマークが現れた。写真がとれるらしい。ノアとふたりで肩を組んで、スマホに笑顔を向ける。ノアは指でピース✌。ロビンがシャッターを押した。と、同時に目の前が真っ白になった。すごくまぶしくてロビンとノアは、目をつぶってしゃがみ込んだ。

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 ロビンは恐る恐る目を開けてみたが、あたりが良く見えない。強い光で失明したのか!と、あわてて目をこすって、空を見上げると、星がきれいにまたたいていた。
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