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2章

王宮

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 ロビンは、何度もをした。松明たいまつの炎に照らし出されているのは、白いドレスを着たアンジェラだ。数分前に会ったアンジェラだ。けれど彼女は、大小の塔が立ち並んだ城の前に立っている。とんがり帽子のような塔には窓灯りがまたたいて、星空に美しく浮かび上がっていた。🏰

「「ここは、どこ?」」

ロビンとノアは、アンジェラにかけよった。

「ここは魔法の国。グリーン国よ」

「魔法の国?やったぁー。兄ちゃん、よかったね。無料で入れたし。ラッキー」

「ノア、これは、無料とか、そういう問題じゃない……」

 ロビンの声は、震えていた。とんでもない所へ来てしまったのだ。アンジェラは、ロビンの心配を吹き飛ばすように、自信たっぷりにほほ笑んだ。
「もうすぐ夕食が始まるの。案内するわ。ついてきて」と歩き出す。

 城の扉には、剣のユリを中央にあしらったたて形の紋章もんしょうが刻まれていた。それは、ロビンとノアが、タライ船で着ていたローブの刺繡ししゅうと同じ形だった。
 
 大きな黒い帽子をかぶり赤い制服を着た衛兵えいへい💂‍♀️が左右に一人ずつ直立不動ちょくりつふどうで立っている。なぜか、黒い帽子が、衛兵の目までずり落ちていた。↓※
 
 ふたりの衛兵が、同時に扉を開けると、広い玄関ホールが現れた。広々とした市松模様いちまつもようの床と、大理石の壁は、中世のお城のよう。

「広すぎる。野球が出来そうだ……」
かぎりなく高い天井を見上げて、ノアが、つぶやく。

 正面には大理石の階段があり、きれいなカーブを描いて二階へ続いていた。ロビンとノアは、アンジェラに案内されて、ホールを横切り、人気のない大きな食堂を通りすぎて突き当りの部屋に入った。

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