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2章
コーンスープ
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そこは、こじんまりとした部屋だった。中央に四角いテーブルがあり、ローソクが灯った銀の燭台と、バラの花が飾られている。四つの席には、それぞれフオークとナイフが並び、お皿やゴブレット🍷が置かれていた。
偉そうなおじさんが立っていて「おまちしておりました」と言う。黒と緑のシマシマ模様の背広を着ているが、そのシマシマ模様は、さっき出会ったヘビと同じ色合いだ。あんまり似ているので、ロビンは思わず背広を二度見した。
ヘビじゃない。たしかにおじさんの背広だ。
おじさんは、「サム、席へご案内して」と褐色の肌をした青年に合図する。召使いのサムが、ニッコリしてうなずくと、きれいな白い歯が零れた。ロビンが腰を降ろす時、サッとイスを引いた。そして、良い香りの手拭きを差し出す。
おじさんは、オホン!と、せきばらいをして
「私は、グリーン国の総理大臣、ミカエルと申します。ロビン様のお元気そうなお顔を見て、ほっといたしました。では、娘のアンジェラと私で、ささやかなお祝いをいたしましょう」
ミカエルがパチンと指を鳴らすと、みんなの前に、突然、スープが現れた。ロビンはどぎもを抜かれた。本物の魔法だ。とろりとしたスープは、おいしそうなにおいがする。
「うまそう!」
ロビンは、さっそくお皿を持ち上げて、ごくりと飲み込んだ。お皿が平たくてうまく飲めない。テーブルの上にスープを零した。
オホン!ミカエルが、又わざとらしい咳をした。
「恐れながら、ロビン様。マナーを、お守りください。国王様は、イギリスの近くにある魔法学校をご卒業されております。ですから、わが国のマナーは、イギリス式でございます」
ミカエルは、お手本を見せるように背筋を伸ばし見事な手つきでスプーンを運びながら
「食器をガチャガチャぶつけたり、食べながら、くちゃくちゃ音をたてたり、偉そうに肘をついたり。下品な食べ方をすると、周りの人が、いやな気持ちになります。
迷惑をかけない思いやり、これがマナーの精神です。
たとえば、食事が終わったら、刃を内側にしたナイフの上にフォークを置きます。これは、相手にーーー」
突然、サムがやって来て、ミカエルの耳元で「奥様がお呼びです」と告げた。
それを聞いたミカエルは、そそくさと立ち上がった。
「私は、これで失礼します。アンジェラ、あとは頼んだよ。お二人にフルコースをお出しして」
アンジェラは、さびしそうに「やっぱり、行っちゃうんだ」とつぶやいた。そして、ミカエルに冷たい口調で
「わたしの魔法じゃぁ、おにぎりぐらいしか出せないんだけど」
「アンジェラ、もう少し勉強しておきなさい。仕方がないなぁーーー」
ミカエルは、目をとじて、ぶつぶつ言いながら指をパチン、パチンと鳴らし続けた。
すると、テーブルの上には、美味しそうに焼けたステーキや、丸焼きの七面鳥、野菜サラダ、ショートケーキ、蒲萄や、メロンなどが次々と現れた。
「では、ごゆっくり」
ミカエルは、そう言い残すと、速足で部屋から出ていった。
偉そうなおじさんが立っていて「おまちしておりました」と言う。黒と緑のシマシマ模様の背広を着ているが、そのシマシマ模様は、さっき出会ったヘビと同じ色合いだ。あんまり似ているので、ロビンは思わず背広を二度見した。
ヘビじゃない。たしかにおじさんの背広だ。
おじさんは、「サム、席へご案内して」と褐色の肌をした青年に合図する。召使いのサムが、ニッコリしてうなずくと、きれいな白い歯が零れた。ロビンが腰を降ろす時、サッとイスを引いた。そして、良い香りの手拭きを差し出す。
おじさんは、オホン!と、せきばらいをして
「私は、グリーン国の総理大臣、ミカエルと申します。ロビン様のお元気そうなお顔を見て、ほっといたしました。では、娘のアンジェラと私で、ささやかなお祝いをいたしましょう」
ミカエルがパチンと指を鳴らすと、みんなの前に、突然、スープが現れた。ロビンはどぎもを抜かれた。本物の魔法だ。とろりとしたスープは、おいしそうなにおいがする。
「うまそう!」
ロビンは、さっそくお皿を持ち上げて、ごくりと飲み込んだ。お皿が平たくてうまく飲めない。テーブルの上にスープを零した。
オホン!ミカエルが、又わざとらしい咳をした。
「恐れながら、ロビン様。マナーを、お守りください。国王様は、イギリスの近くにある魔法学校をご卒業されております。ですから、わが国のマナーは、イギリス式でございます」
ミカエルは、お手本を見せるように背筋を伸ばし見事な手つきでスプーンを運びながら
「食器をガチャガチャぶつけたり、食べながら、くちゃくちゃ音をたてたり、偉そうに肘をついたり。下品な食べ方をすると、周りの人が、いやな気持ちになります。
迷惑をかけない思いやり、これがマナーの精神です。
たとえば、食事が終わったら、刃を内側にしたナイフの上にフォークを置きます。これは、相手にーーー」
突然、サムがやって来て、ミカエルの耳元で「奥様がお呼びです」と告げた。
それを聞いたミカエルは、そそくさと立ち上がった。
「私は、これで失礼します。アンジェラ、あとは頼んだよ。お二人にフルコースをお出しして」
アンジェラは、さびしそうに「やっぱり、行っちゃうんだ」とつぶやいた。そして、ミカエルに冷たい口調で
「わたしの魔法じゃぁ、おにぎりぐらいしか出せないんだけど」
「アンジェラ、もう少し勉強しておきなさい。仕方がないなぁーーー」
ミカエルは、目をとじて、ぶつぶつ言いながら指をパチン、パチンと鳴らし続けた。
すると、テーブルの上には、美味しそうに焼けたステーキや、丸焼きの七面鳥、野菜サラダ、ショートケーキ、蒲萄や、メロンなどが次々と現れた。
「では、ごゆっくり」
ミカエルは、そう言い残すと、速足で部屋から出ていった。
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