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2章
十文字の傷
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アンジェラは話し終わると、「ルビーは悪魔よ。思いやりのカケラもない……」とつぶやく。そして悔しそうな表情で、親指の爪を噛みはじめた。
ロビンは、頭が真っ白になった。
(母さんーーー死んじゃったのかーーーもう、いないんだーーー)
心の声がくりかえす。痛いような不安が襲ってきた。足元がガラガラと崩れるような感覚だ。
アンジェラは、はっとしたように爪を噛むのを止めた。
「お母さんの声だわ!『立ち向かえ!がんばれ!そうすれば、もうひるまない』って」そして、きっぱりとした調子で、言葉を続けた
「母は強い人でルビーに立ち向かっていった。私もひるまず勇敢に戦うのが大好き。どんな困難にも負けやしない。父はお転婆娘って言うけどーー」
ノアはその言葉を聞いて、泣いた顔をぱっと輝かせた。
「ぼく達、王子様ってことだ。魔法も使える!」
アンジェラが、くすりと笑った。
「ノア、誰でも簡単に魔法が使えるってわけじゃないよ」
「勉強すんのか?」
「もちろん。覚えることは、沢山あるわ。でも生まれた時から、魔法が使える子もいるの。ロビン、あなたの左手には、十文字の傷があるでしょう?シマシマ蛇に変身していた父は、それを見て王子だと分かったの」
「なるほど。ぼくは、蛇に(どっか、行け)と、手のひらを向けて心でしゃべったからな」
「王様のグリーン十六世も、同じ傷がある。国王の長男は、生まれながらにして手のひらに十文字の傷を持っているの。その傷は、魔法使いの杖と同じ。負のエネルギーを、相手に向けて破裂させれば、敵を倒す事が出来るってわけ。でも魔力を使いすぎると、傷は大きくなり血が止まらなくなるーー」
「そうか……。タライ船に乗っていて、魔法でも使ったのかな。覚えてないけど、巨大なタコをやっつけたのかもしれないな」とロビン。
「兄ちゃん、よかったね。ぼく達、捨て子じゃなかった。アンジェラ?ぼく達の父さんは、どこにいるんだ?」
アンジェラは、悲しそう首を左右にふった。
「王様は、食べる事も飲む事も出来ず眠っているのよ。残念だけど、だれも会うことはできないわ」
ロビンは、頭が真っ白になった。
(母さんーーー死んじゃったのかーーーもう、いないんだーーー)
心の声がくりかえす。痛いような不安が襲ってきた。足元がガラガラと崩れるような感覚だ。
アンジェラは、はっとしたように爪を噛むのを止めた。
「お母さんの声だわ!『立ち向かえ!がんばれ!そうすれば、もうひるまない』って」そして、きっぱりとした調子で、言葉を続けた
「母は強い人でルビーに立ち向かっていった。私もひるまず勇敢に戦うのが大好き。どんな困難にも負けやしない。父はお転婆娘って言うけどーー」
ノアはその言葉を聞いて、泣いた顔をぱっと輝かせた。
「ぼく達、王子様ってことだ。魔法も使える!」
アンジェラが、くすりと笑った。
「ノア、誰でも簡単に魔法が使えるってわけじゃないよ」
「勉強すんのか?」
「もちろん。覚えることは、沢山あるわ。でも生まれた時から、魔法が使える子もいるの。ロビン、あなたの左手には、十文字の傷があるでしょう?シマシマ蛇に変身していた父は、それを見て王子だと分かったの」
「なるほど。ぼくは、蛇に(どっか、行け)と、手のひらを向けて心でしゃべったからな」
「王様のグリーン十六世も、同じ傷がある。国王の長男は、生まれながらにして手のひらに十文字の傷を持っているの。その傷は、魔法使いの杖と同じ。負のエネルギーを、相手に向けて破裂させれば、敵を倒す事が出来るってわけ。でも魔力を使いすぎると、傷は大きくなり血が止まらなくなるーー」
「そうか……。タライ船に乗っていて、魔法でも使ったのかな。覚えてないけど、巨大なタコをやっつけたのかもしれないな」とロビン。
「兄ちゃん、よかったね。ぼく達、捨て子じゃなかった。アンジェラ?ぼく達の父さんは、どこにいるんだ?」
アンジェラは、悲しそう首を左右にふった。
「王様は、食べる事も飲む事も出来ず眠っているのよ。残念だけど、だれも会うことはできないわ」
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