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3章

魔法のジュース

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 ロビンは、ジャック先生からもらった金貨で、ワッフルを2個買ってみた。屋台のお爺さんは、ニコニコ顔で、銀貨でおつりをくれる。
「これは、おまけ」と言いながら緑色のジュースを差し出した。
「うんとシェクして、いっきに飲んでごらん。そして、目を閉じて行きたい場所を唱えると、村じゅう、どこへでも行ける。これは魔法のジュースだよ」

「「ありがとうございます!」」

 ふたりは、ワッフルを食べ終わると、お爺さんに教わったように、緑のジュースをいっきに飲み干した。そして、目を閉じて、「「王立薬草園」」と唱える。ビューンと轟音ごうおんとどろいて、足元から突風が吹き上げた。

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 ロビンが、おそるおそる目を開けると、目の前には、古風な建物があり、門には『王立薬草園』と書かれている。

「やった!」
 ロビンは、ノアとハイタッチ!いっきに来れたのだ。


 チャイムを押すと、赤ら顔のすらりとした年配の女性が現れた。鼻にかけたメガネをつまんで、彼女は「まぁー!」と叫んで「ロビンとノアね。ジャック先生から聞いているわ。会えて、うれしい。ほんとうに、おひさしぶりねぇーー」

 知らない人だ。ふたりが首をかしげていると

「私は、王様の妹、つまり、あなたたちのおばさんよ。キャロットと呼んでちょうだい」

「マンドレイクを、もらいに来ました」と、ロビンが言うとキャロットは、残念そうに、首を左右にふった。

「マンドレイクはね、株分けが難しいのよ。今日はお渡し出来ないわ。用意したら、私が王宮に持っていく。せっかく来たのだから、かわりに、薬草図鑑を持っていかない?1489年に出版されたラテン語の本もあるけれど。100年後に再版されたほうが、読みやすいでしょう。あなた達のお勉強には、とても役立つと思うの」

「本とか、あんまり読まなくて」

「あら、そうなの。今の子は、何でもスマホで検索しちゃうから。トモシリソウ、オオバナノコギリソウなんかは、脳を刺激するのよ。王様のご病気に役立つかもしれない。
今度来た時には、薬草園をご案内するから、ハーブのお勉強をしていきなさい」

「「わかりました」」

ハーブの勉強は、名前がめんどうくさい。それに退屈たいくつそうだ。ロビンとノアは、逃げるように薬草園を後にした。


 とりあえず、これで用事はすんだ。さて、帰ろうと、あたりを見わすが、お城は見えない。魔法のジュースで、突然ここへ来たのだから、帰る道順が分からないのだ。ふたりは、途方とほうにくれて立ちつくした
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