佐渡島のあやかし(第3話)など 短編集

あさのりんご

文字の大きさ
43 / 81
3章

魔法のジュース

しおりを挟む
 ロビンは、ジャック先生からもらった金貨で、ワッフルを2個買ってみた。屋台のお爺さんは、ニコニコ顔で、銀貨でおつりをくれる。
「これは、おまけ」と言いながら緑色のジュースを差し出した。
「うんとシェクして、いっきに飲んでごらん。そして、目を閉じて行きたい場所を唱えると、村じゅう、どこへでも行ける。これは魔法のジュースだよ」

「「ありがとうございます!」」

 ふたりは、ワッフルを食べ終わると、お爺さんに教わったように、緑のジュースをいっきに飲み干した。そして、目を閉じて、「「王立薬草園」」と唱える。ビューンと轟音ごうおんとどろいて、足元から突風が吹き上げた。

  ☆
     ☆
        ☆


 ロビンが、おそるおそる目を開けると、目の前には、古風な建物があり、門には『王立薬草園』と書かれている。

「やった!」
 ロビンは、ノアとハイタッチ!いっきに来れたのだ。


 チャイムを押すと、赤ら顔のすらりとした年配の女性が現れた。鼻にかけたメガネをつまんで、彼女は「まぁー!」と叫んで「ロビンとノアね。ジャック先生から聞いているわ。会えて、うれしい。ほんとうに、おひさしぶりねぇーー」

 知らない人だ。ふたりが首をかしげていると

「私は、王様の妹、つまり、あなたたちのおばさんよ。キャロットと呼んでちょうだい」

「マンドレイクを、もらいに来ました」と、ロビンが言うとキャロットは、残念そうに、首を左右にふった。

「マンドレイクはね、株分けが難しいのよ。今日はお渡し出来ないわ。用意したら、私が王宮に持っていく。せっかく来たのだから、かわりに、薬草図鑑を持っていかない?1489年に出版されたラテン語の本もあるけれど。100年後に再版されたほうが、読みやすいでしょう。あなた達のお勉強には、とても役立つと思うの」

「本とか、あんまり読まなくて」

「あら、そうなの。今の子は、何でもスマホで検索しちゃうから。トモシリソウ、オオバナノコギリソウなんかは、脳を刺激するのよ。王様のご病気に役立つかもしれない。
今度来た時には、薬草園をご案内するから、ハーブのお勉強をしていきなさい」

「「わかりました」」

ハーブの勉強は、名前がめんどうくさい。それに退屈たいくつそうだ。ロビンとノアは、逃げるように薬草園を後にした。


 とりあえず、これで用事はすんだ。さて、帰ろうと、あたりを見わすが、お城は見えない。魔法のジュースで、突然ここへ来たのだから、帰る道順が分からないのだ。ふたりは、途方とほうにくれて立ちつくした
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

童話短編集

木野もくば
児童書・童話
一話完結の物語をまとめています。

まぼろしのミッドナイトスクール

木野もくば
児童書・童話
深夜0時ちょうどに突然あらわれる不思議な学校。そこには、不思議な先生と生徒たちがいました。飼い猫との最後に後悔がある青年……。深い森の中で道に迷う少女……。人間に恋をした水の神さま……。それぞれの道に迷い、そして誰かと誰かの想いがつながったとき、暗闇の空に光る星くずの方から学校のチャイムが鳴り響いてくるのでした。

黒地蔵

紫音みけ🐾書籍発売中
児童書・童話
友人と肝試しにやってきた中学一年生の少女・ましろは、誤って転倒した際に頭を打ち、人知れず幽体離脱してしまう。元に戻る方法もわからず孤独に怯える彼女のもとへ、たったひとり救いの手を差し伸べたのは、自らを『黒地蔵』と名乗る不思議な少年だった。黒地蔵というのは地元で有名な『呪いの地蔵』なのだが、果たしてこの少年を信じても良いのだろうか……。目には見えない真実をめぐる現代ファンタジー。 ※表紙イラスト=ミカスケ様

四尾がつむぐえにし、そこかしこ

月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。 憧れのキラキラ王子さまが転校する。 女子たちの嘆きはひとしお。 彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。 だからとてどうこうする勇気もない。 うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。 家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。 まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。 ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、 三つのお仕事を手伝うことになったユイ。 達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。 もしかしたら、もしかしちゃうかも? そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。 結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。 いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、 はたしてユイは何を求め願うのか。 少女のちょっと不思議な冒険譚。 ここに開幕。

神ちゃま

吉高雅己
絵本
☆神ちゃま☆は どんな願いも 叶えることができる 神の力を失っていた

夜寝たくなくて朝起きたくない

一郎丸ゆう子
絵本
大人のための絵本です。現代人って夜寝たくなくて朝起きたくない人が多いな、でも、夜は寝ないと困るし、朝は起きないとなんないなんだよね、なんて考えてたら出来たお話です。絵はcanvaで描きました。

おっとりドンの童歌

花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。 意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。 「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。 なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。 「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。 その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。 道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。 その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。 みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。 ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。 ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミがヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。 ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?

9日間

柏木みのり
児童書・童話
 サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。   (also @ なろう)

処理中です...