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3章
ジャスミンの冠
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ロビンとミカエルの話を黙って聞いていたアンジェラが、「プレゼントがあるの」と言いながら、枝葉で作った冠を、ちょっと恥ずかしそうに手持ちの袋から取り出した。
所々についている白い花は真珠のように気品がある。彼女は、それをロビンの頭にポンとかぶせて「ジャスミンの冠よ」と言ってほほ笑んだ。
アンジェラの視線がなんだかまぶしい。ロビンは自分の顔がぽっと赤くなるのが分かった。照れ隠しに「くせぇや」と顔をしかめて見せた。
「あら?いい香りよ。この匂いは、やる気を高める効果があるの。
せっかく、作ってあげたのにーーー」
アンジェラは怒ってつんとそっぽをむき、くやしそうに親指の爪をかみはじめた。
ミカエルが苦笑いして「ロビン様、外をごらん下さい」と、わって入った。
「えっ?」ロビンが、窓から広場を見下ろすと大勢の人々がこちらを見ている。
「ロビン様をひと目見ようと、集まっているのです。グリーン国の王子様が戻ってきたので、みんな喜んでおります。バルコニーに出て皆さんに、手を振って下さい」
ぼくが歓迎されている?ロビンはうれしくなってバルコニーに出てみた。
広場にどよめきがおこった。人々は帽子を放り上げ、歓声を上げた。思わずロビンが手を振ると、あちらこちらから拍手が鳴り響く。
「ロビン様!ロビン様!」
よく響くバリトンで名前を呼ばれて、そちらを見ると大男がいた。普通の人の倍はあるかと思われる大男だ。むき出しになった腕や脚の筋肉が、はち切れんばかり。けれど優しそうな雰囲気で、人懐っこい笑みを浮かべている。ロビンは、ひと目でこの大男が大好きになった。笑顔で手を振って合図する。
と、彼はするすると壁を登ってバルコニーに入って来た。
「騎士団長の、ビッガーと申します。この度は、王子様にお目にかかれ、恐悦至極に存じます」小さな目が優しそうだ。
ビッガーは、片膝をついて、うやうやしく頭を下げた。
「騎士団?」ロビンが聞く。
「はい。戦争から村人を守るために結成しました。けれど、度重なる戦争で、命を落とす勇者も少なくありません。王様が、病の床に臥されてからは、負け戦ばかりでございます。騎士団と言っても、今は名ばかり。十三人しか残っておりません。
じつはーーー折り入ってお願いがございます。
村の子供達に、どこからともなく、ダンスパーティーの招待状が届くのです。パーティーは満月の夜に開かれます。森のなかで、子供達は狂ったように踊り狂う。
ルビー王女の声を聞いて、その美しい歌声の虜になってしまい、彼女を追って、グリーン国を出てしまった子もおります。残った子供も、昼間は居眠りばかり。
このままでは我が国に元気な子供がいなくなってしまう。ロビン様のお力でなんとか子供達を救って下さい」
「……できるだけ、がんばってみます」
遠慮がちに答えて、大きなため息が出た。いきなり王子と呼ばれても、まだ自覚も自信もない。そんなロビンを見て、ビッガーは大声で笑い出した。
「一緒に戦うぞ!ロビンーーーおっと失礼、ロビン様。では、失礼いたします」
ビッガーは、胸に手を当て深ぶかと頭を下げた。
所々についている白い花は真珠のように気品がある。彼女は、それをロビンの頭にポンとかぶせて「ジャスミンの冠よ」と言ってほほ笑んだ。
アンジェラの視線がなんだかまぶしい。ロビンは自分の顔がぽっと赤くなるのが分かった。照れ隠しに「くせぇや」と顔をしかめて見せた。
「あら?いい香りよ。この匂いは、やる気を高める効果があるの。
せっかく、作ってあげたのにーーー」
アンジェラは怒ってつんとそっぽをむき、くやしそうに親指の爪をかみはじめた。
ミカエルが苦笑いして「ロビン様、外をごらん下さい」と、わって入った。
「えっ?」ロビンが、窓から広場を見下ろすと大勢の人々がこちらを見ている。
「ロビン様をひと目見ようと、集まっているのです。グリーン国の王子様が戻ってきたので、みんな喜んでおります。バルコニーに出て皆さんに、手を振って下さい」
ぼくが歓迎されている?ロビンはうれしくなってバルコニーに出てみた。
広場にどよめきがおこった。人々は帽子を放り上げ、歓声を上げた。思わずロビンが手を振ると、あちらこちらから拍手が鳴り響く。
「ロビン様!ロビン様!」
よく響くバリトンで名前を呼ばれて、そちらを見ると大男がいた。普通の人の倍はあるかと思われる大男だ。むき出しになった腕や脚の筋肉が、はち切れんばかり。けれど優しそうな雰囲気で、人懐っこい笑みを浮かべている。ロビンは、ひと目でこの大男が大好きになった。笑顔で手を振って合図する。
と、彼はするすると壁を登ってバルコニーに入って来た。
「騎士団長の、ビッガーと申します。この度は、王子様にお目にかかれ、恐悦至極に存じます」小さな目が優しそうだ。
ビッガーは、片膝をついて、うやうやしく頭を下げた。
「騎士団?」ロビンが聞く。
「はい。戦争から村人を守るために結成しました。けれど、度重なる戦争で、命を落とす勇者も少なくありません。王様が、病の床に臥されてからは、負け戦ばかりでございます。騎士団と言っても、今は名ばかり。十三人しか残っておりません。
じつはーーー折り入ってお願いがございます。
村の子供達に、どこからともなく、ダンスパーティーの招待状が届くのです。パーティーは満月の夜に開かれます。森のなかで、子供達は狂ったように踊り狂う。
ルビー王女の声を聞いて、その美しい歌声の虜になってしまい、彼女を追って、グリーン国を出てしまった子もおります。残った子供も、昼間は居眠りばかり。
このままでは我が国に元気な子供がいなくなってしまう。ロビン様のお力でなんとか子供達を救って下さい」
「……できるだけ、がんばってみます」
遠慮がちに答えて、大きなため息が出た。いきなり王子と呼ばれても、まだ自覚も自信もない。そんなロビンを見て、ビッガーは大声で笑い出した。
「一緒に戦うぞ!ロビンーーーおっと失礼、ロビン様。では、失礼いたします」
ビッガーは、胸に手を当て深ぶかと頭を下げた。
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