佐渡島のあやかし(第3話)など 短編集

あさのりんご

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3章

四つ折りスマホ

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 ロビンがポケットをまさぐっていると、ブルブルと手が震えた。あれ?なんか、ある。手にすっぽり入る大きさだ。取り出してみる。これは、スマホか?ひょっとしてスマホが折りたたまれているのか?
 
 小さなボタンがあるので押してみると自動的にパタパタと画面が開いた。
 もう一度ボタンを押すと、小さくたたまれた。

 ボタンをうっかり押して、スマホを小さくしていたのだ。
 スマホが見つかった。ラッキー!

 広げた画面にはアンジェラが映っている。彼女の声がはっきりと聞こえてきた。

《そこは、ゴールデン国よ。なんで、そんな所まで行っちゃったのよ。帰りが遅いからGPSで調べたらびっくりした。ノアは、どこにいるの?》

《ルビーに捕まった》

《わかった。そこは、危険だからすぐに逃げて。トラスポートの、やり方は知っているわね。画面の下のカメラのマークをタップするのよ》

《了解》
 ロビンが、カメラマークをタップすると、カシャと音がして目の前が真っ白になった。

    ☆  
      ☆  
        ☆

 目を開けると、アンジェラと、ミカエルが部屋の窓辺まどべに立っている。

「ロビン!おかえりなさい」アンジェラが、ほほ笑んだ。
「ここは、どこ?」
「王宮の総理大臣室よ」

 ミカエルが、眉をひそめて「ノアは、無事か?」と心配そうに聞いた。

「犬になってしまいました。ルビー王女が、魔法を使ったのです」

「ルビーは、美しい歌声で人々をまどわし、自分の家に誘い込んでは、飲物を飲ませて従順な動物に変えてしまうのだ」

「ノアは、もう人間に戻れないのでしょうか?」

「魔法の軟膏なんこうを塗れば、毛が抜けて人間に戻れる。薬草園のキャロットに届けてもらおう」

「よかった。そんな薬があるんですね」

「しかしーーノアをゴールデン国から助け出すのは難しい。大勢で助けに行っても、ルビーの戦力には勝てそうにない。
 なにしろ、周りの国に戦争をしかけては、富を取り上げて来たのだ。さらに、錬金術れんきんじゅつが大好きだ。石を金や宝石に変える研究に褒美ほうびを出しておる。金持ちで強い国だが、弱い命を守るための病院はない。医者はひとりもおらん。
 
 一方、我がグリーン国では、良い魔法が盛んでな。昔から病を治す薬草や、命をはぐくむ美味しい食べ物の研究が得意なのじゃ。優しく素直でのんびりした民は、戦う魔法が苦手。国王様が意識不明の今、我が国でルビーと戦える者は、たった一人しかいない」

「誰なんですか?」

 ミカエルは、かしこまった口調で
「グリーン国の王子、ロビン様です。ロビン様は十文字の印をお持ちです。その印に負のエネルギーを集め、敵の体に破裂させれば、相手を倒す事ができるのです」

「え?なに?俺がやるの!」
ぎょっとなって後ずさりした。ぼくが、ルビーを倒せるはずがない。

「グリーン国のためにもお願いします」
「……わかりました」

 ロビンは、少女のような細くて白い指を伸ばし、十文字の傷を見つめた。ノアを助けるのは、ぼくしかいない。ぼくは、”にいちゃん” だ。ひるんじゃいけない。
 
『たちむかえ!』心の声が言った。
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