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5章
村祭りⅲ
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笛や太鼓の音がして、にぎやかにパレードが行進して来た。馬にまたがった兵士、四頭立ての馬車に乗った貴婦人、長い槍を持った歩兵隊に続いて、大きなドラゴンがやってくる。鋭い歯をむき出し、口から火を吐きす姿に、泣きだす子供もいる。
「あれは、ビッガーだよ!」ノアが、ドラゴンに手を振り声援を送った。
王も、手をふりながら
「巨大ドラゴンには、大男のビッガーが、うってつけじゃな。
ところでーードラゴンを退治する勇者は誰がやるのだろう。
毎年、ダンダンがやっていたが、腰を痛めて馬に乗れないのじゃ」
劇が始まった。役者のセリフは少なくアクションで劇が進んでいく。
ドラゴンのいけにえになった姫を勇者が救い出す場面になった。
広場に白馬に乗った小柄な若者が長い槍を持って駆けてくる。
細い腕で投げた槍は、ぱっくり開いたドラゴンの口に命中!ドラゴンはバタリと倒れ、沿道から拍手が湧き上がった。
「あの、勇者はだれじゃーー」王は首をかしげている。
そこへミカエルがやって来た。周りの様子には目もくれず、王の向かいに座ると「じつに、けしからん!」などと、ぶつぶつ独り言を言いながら手にしたワインを飲み始めた。
「「こんにちわ」」ロビンとノアが、ミカエルにあいさつする。
「いや、これは、これは。ロビン様、ノア様、おそろいで。
いや、ひどい劇でしたな。
アンジェラが出るとは、思ってもみなかった」
「アンジェラが出ていたのか?」王が身を乗り出した。
ミカエルは、おどろいて飛びあがった。
「あっ!国王様!気がつかずに失礼いたしました」
「はは。この格好じゃぁ、気がつくまい。
アンジェラは、貴婦人の役か?」
「いえ、いえ。勇者になっておりました。まったくお転婆娘で困った奴ですわ」
「おおーーあの手綱さばきは、大人顔負けじゃ。女にしておくには、もったいないのぉ。ふむーーロビンとノアにも乗馬の練習をさせよう」
「それは、名案でございます。ところで、今年のスパイスワインはまことに美味しい。さっそく頂いております。
わたくしの作ったハチミツの酒もおすすめですよ。お試し下さい」
ミカエルは、腰からツノを引き抜いた。ツノと言っても、中が綺麗にくり抜かれた身につけるカップで、魔法の国では、昔から使われている。ミカエルは、腰にぶら下げた酒瓶から酒をなみなみと注いで王に勧めた。
(つづく)
「あれは、ビッガーだよ!」ノアが、ドラゴンに手を振り声援を送った。
王も、手をふりながら
「巨大ドラゴンには、大男のビッガーが、うってつけじゃな。
ところでーードラゴンを退治する勇者は誰がやるのだろう。
毎年、ダンダンがやっていたが、腰を痛めて馬に乗れないのじゃ」
劇が始まった。役者のセリフは少なくアクションで劇が進んでいく。
ドラゴンのいけにえになった姫を勇者が救い出す場面になった。
広場に白馬に乗った小柄な若者が長い槍を持って駆けてくる。
細い腕で投げた槍は、ぱっくり開いたドラゴンの口に命中!ドラゴンはバタリと倒れ、沿道から拍手が湧き上がった。
「あの、勇者はだれじゃーー」王は首をかしげている。
そこへミカエルがやって来た。周りの様子には目もくれず、王の向かいに座ると「じつに、けしからん!」などと、ぶつぶつ独り言を言いながら手にしたワインを飲み始めた。
「「こんにちわ」」ロビンとノアが、ミカエルにあいさつする。
「いや、これは、これは。ロビン様、ノア様、おそろいで。
いや、ひどい劇でしたな。
アンジェラが出るとは、思ってもみなかった」
「アンジェラが出ていたのか?」王が身を乗り出した。
ミカエルは、おどろいて飛びあがった。
「あっ!国王様!気がつかずに失礼いたしました」
「はは。この格好じゃぁ、気がつくまい。
アンジェラは、貴婦人の役か?」
「いえ、いえ。勇者になっておりました。まったくお転婆娘で困った奴ですわ」
「おおーーあの手綱さばきは、大人顔負けじゃ。女にしておくには、もったいないのぉ。ふむーーロビンとノアにも乗馬の練習をさせよう」
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ミカエルは、腰からツノを引き抜いた。ツノと言っても、中が綺麗にくり抜かれた身につけるカップで、魔法の国では、昔から使われている。ミカエルは、腰にぶら下げた酒瓶から酒をなみなみと注いで王に勧めた。
(つづく)
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