佐渡島のあやかし(第3話)など 短編集

あさのりんご

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第3話:佐渡島のあやかし【短編】

佐渡のラピュタ

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 ロビンが廃墟はいきょに着くと、日はすでに落ち始めていた。まわりには、もう誰もいない。ライトアップされた、こけつたのからみつく古い建物は、物語に出て来る”天空の城”のように闇に浮かんでいた。

 これが、「佐渡のラピュタ」として人気を集める「北沢浮遊選鉱場(きたざわふゆうせんこうば)」だ。金をきれいにする建物だけれど、今は使われていない。金は掘り尽くされ、仕事がなくなったから。

 『使われていないのに、人々がやって来る。それは、あやかしが不思議なオーラを放っているからだ』ロビンは、そんな噂を聞いた事がある。

 この間、ゆうじと、いぶきとここへ来た。そして三人で肝試しにこっそり建物に忍び込んだのだ。中は、うす暗く苔が生えていて薄気味悪かった。すぐに出て来たけれど、女の人の声が聞えたような気がした。けれど、ゆうじも、いぶきも、その声を聞いてない。

 あやかしは、見える人と、見えない人がいるらしい。ひょっとしたら、ぼくは、特別な力があるのではないか? 
クラスで「変人」と呼ばれているのは、そのせいかもしれない。と言うのも、予感が良く当たるのだ。

 担任の先生が急に休んで自習になるとか、転校生がやって来るとか、予測して言い当てる。近頃では、友達がびっくりするので、予感がしても黙っていることにした。


 ぼく、頭がおかしいの?
 でも、本当に声が聞こえたんだ。もし、あやかしがいるなら、会って見たいな。かすかに聞こえた女の人の声は優しくて、お母さんみたいだった……

 いや、いや、それはないよな。ぼくは、捨て子なのだから。父さんと母さんを知らないんだ。優しいばあちゃんや、弟のノアがいるけれど、さびしくなる時もある。

 そんなとき、あやかしに会いたくなるんだ。

 パタパタと羽音がして一羽の白い鳥が空から舞い降りて来た。そして赤レンガの塀に、ちょこんと止まった。顔と脚は赤く、くちばしは長くて黒い。小さな黒い目でじっとこちらを見ている。

「僕が、みえるの?」

 ロビンは、ぎょっとした。鳥がしゃべった。

「見えるよ……。どうして、君は、人の言葉が話せるの?鳥なのに」

「僕は、鳥でも人でもない。トキのあやかしだ」

 わ!と声をあげ、ロビンは、うしろに後ずさる。

「そんなに、おどろくなよ。僕は下っぱだからさ。気楽にトキと呼んでくれ」

 ロビンは、ほっとした。恐いヤツじゃなさそうだ。

「ぼく、あやかしに会ったのは、はじめてなんです。ロビンと言います。よろしく」

「この島には、松や桜のなどの草木の精、天女や、天狗、鬼など、色んなあやかしがいるんだ。僕は、日本トキのあやかし。佐渡島に、日本トキはもういないけどね……」

「じゃぁ……さびしいですよね」

「まあな。でも樸には、あやかしの仲間がいるから。ロビンも、僕達と話しが出来るなら、仲間だぞ。じゃぁ、又」
 トキは、長いくちばしで、ロビンの肩をポンポンと叩くと飛び立って行った。


ラピュタの夜景
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