佐渡島のあやかし(第3話)など 短編集

あさのりんご

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第3話:佐渡島のあやかし【短編】

花火大会

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 港の夏祭りがはじまった。元気なばあちゃんは、盆踊りの準備なんかがあるらしく、張り切って出かけて行った。海辺に住む人達は、みんなワクワクしている。ロビンは、弟のノアと花火大会に出かける事にした。

 海辺には、大勢の人達が集まっていた。浴衣を着た少女や、小さな子供を連れた家族づれが楽しそうに歩いている。観光客らしい大きなカメラを持ったおじさん達もいた。

 夜空にオレンジ、ピンク、ブルーや緑の花火が美しい。

 みんな、押し合うようにして花火を見上げている。身長が、150㎝のロビンとノアは、背の高い大人が、まわりにいてよく見えない。

「にいちゃん、あそこの木に登って見ようよ」
 ノアが、後ろの植え込みにある大きな木を指さした。ロビンは、「うん」と返事をしてノアと一緒に人混みから抜け出す。

 ふたりとも、木登りは大得意。ノアは、五年生だが体が大きく冒険好きだ。ロビンを追い越して、するすると登った。

 ロビンは、お気に入りの枝を見つけて腰掛けた。ノアは、そのすぐ上の枝にまたがって、足をぶらぶらさせながら、遠くを見渡している。

 花火は海岸にそって600mもの幅で打ち上げられる。ここなら見晴らしがよくて、風通しもいい。間違いなしの特等席だ。

 フィナーレでは尺玉と呼ばれる大きな金色の花火が、百発も一斉に打ち上げられた。

 夜空はまるで、金のお花畑のように光輝いて、夢の世界である。

「きれいねぇ~」女の人の声がした。

 その声は、たしかに上から聞えた。上に人がいるんだ!

 ロビンは、びっくりしてこずえを見上げた。
 
 けれど、人影はない。
 あんなに高いてっぺんまで登れる人がいるのだろうか。

「にいちゃん、上にだれか、いるよ」

「ノアも聞えたのか?」

「うん」
 
 ノアも、あっちこっちの枝を見上げて不思議そうに首を傾げた。
「ここから、見えない高い所にいるんだね。木のてっぺんに座っているとか?」

「女の人なのに、すごいな」とロビン。

「ぼくたちも、登ってみようよ」

「い、いやだ」

「にいちゃん、怖がりだもんな。いいよ。ぼくが、様子を見てくる」

「ノア、行くな!危ないぞ」

 花火が終わって、夜空から金色のお花畑は消えた。街灯の光は木の上まで届かないから、これ以上登るのは、目隠しをして、木登りをするようなものではないか。ノアは、まったくわかっていない。

「もう、帰ろう」
ロビンが、木を降り始めると、パタパタと羽音がした。


   
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