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第3話:佐渡島のあやかし【短編】

夜空へ

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 暗闇からパタパタと降りてきたのは、白い鳥だった。ロビンのそばの枝にちょこんと止まって、小さな目でじっとこちらを見ている。

 あれ?”鳥目”って言うけど、コイツ目が見えているのかな?フクロウでもないのに、闇を飛んできた。白い体に、赤い顔と足。長くてちょっとペリカンみたいなくちばしを持っている。

「やあ!又会ったね」

 ロビンは、その声を聞いて思い出した。トキのあやかしだ。

「こんばんは。トキは、夜でも目が見えるんですか?」

「ああ。僕は、ふつうのトキじゃない。選ばれし、日本トキのあやかしだ」


 ノアが「にいちゃん、鳥が話しているよ!」と驚いている。

「お前も、トキが見えるのか?」とロビン。

「うん。もちろん」

「ノアも、ぼくたちの仲間だね」そう言いながらトキが、羽を大きく広げると、もう一羽が降りてきて、トキの横にちょこんと止まった。

 見た目は、トキと同じだけれど、体が少し小さい。
「私達は子供に恵まれなかったけれど、一緒に暮らしているの。ロビン、ノア。お友達になってね。私の名前は、メトキよ」

 「「よろしく」」

 ロビンとノアは、ペコリと頭を下げた。

 メトキは、トキに微笑んだ。
「ねぇ、あなた、ロビン、とノアをみんなに紹介しない?
 今日なら、みんなが集まっているし、ちょうどいいわ」

トキは、それを聞いて、なるほどという風に大きなくちばしをたてに振る。そして、ロビンとノアに

「きみ達、これから一緒に、ミュージカルを見にいかないか?」

「「えっ?」」

「年に一度の花火大会の日は、島のあやかしが大集合するんだ。あやかしと仲良くなるいいチャンスだよ」

「ぼくたち、門限があるんです。お祭りの日でも、夜遅くまで遊んでいると、ばあちゃんが、心配するし……」

ロビンが言い終わらないうちにノアが、声を上げた。

「みんなに会いたいです!是非とも連れて行って下さい」


「はは。お兄さんのロビンは、ばあちゃん思いだし、ノアは冒険好きだな。
 ロビン、門限までには、家に送ってあげる。心配しなくていい。
 でも、あやかしの事は、ばあちゃんや、友達には内緒にしておいたほうがいい。
 普通の人には、あやかしは見えないからね」


「「わかりました」」


 ロビン、とノアは、木を滑り降りると、トキに案内されて、人がいない草むらへ身を隠した。街灯の光は届かないけれど、月明りでトキの姿が白く浮かび上がっている。

 トキと、メトキが大きく羽をひろげると、みるみる羽が伸びていく。あっという間に人ぐらいの大きさになった。

「「さぁ、乗って!」」

トキとメトキが、同時に言った。

ロビンはトキに、ノアは、メトキにまたがった。

「僕たちの首をしっかり、つかんでいろよ。出発するぞ!」

トキは、力強く舞い上がる。

ロビンとノアは、不思議な鳥に乗って夜空に飛び立っていった。


            
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