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第1話:小さな恋のメヌエット【短編】
いじめっ子リョウマの涙?
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風邪をひいて、家で寝ているはずの美月先生が、笑いながらファミレスから出てきた。しかもイケメンと一緒にいる。
美月先生は、「あら?ロビンとすみれちゃん。もう、学校終わったのね」と、言った。その声は元気そうで、とても熱があるとは思えない。ひょっとして、先生ずる休み?
先生は「音楽、どうだった?教頭先生にお願いしたけど、楽しかった?」と聞く。
「いいえ。最悪でした」
ヤバ!つい余計なこと言っちゃった。
「え?なんか、あったの?」と先生は、ぼくの顔をのぞき込む。
「い、いえ。なにもないです」
「どうして?先生さびしいな。本当のこと言って」
先生も本当の事を、言ってない。風邪って嘘ついてるじゃないか。大人は、嘘つきだ。リョウマの事をいいつけたりしたら、アイツに仕返しされる。
ぼくも、すみれちゃんも、だまってうつむいていた。そんなぼく達を見て、先生のそばにいるイケメンが「あっちで話したら?」と駐車場を指さした。
「そうね、ここは人通りが多くて、私達じゃまになってるわ」と歩き出す。
しかたない。ぼくと、すみれちゃんも、先生に連れられて歩き出す。でも、先生の嘘が許せなくて、ムカついた。思い切って先生に聞いた。
「先生、もう、風邪治ったんですか?」
「え?……あっ、ごめんね。先生は、病気じゃないの。先生とお付き合いしている人が、佐渡島に来たからお休みをもらったの。でもね、教頭先生が、へんなうわさが立つといけないから、病気で休んだ事にしておきましょうって。
ロビン、すみれちゃん、このことは、秘密にしておいて」
「「わかりました」」
「ロビンの秘密も聞きたい。話してくれたら、先生うれしいな」
「……」
「いじめなら、皆で話し合ったほうがいいんだよ」
先生はクラスの空気からいじめがあるのを感じていたらしい。ぼくは、思い切ってリコーダーがすり替えられていた事を打ち明けた。
■ ■
翌朝ーーー教室に入ると、ぼくの席の前のほうで、女子全員が集まっていた。女子は、全部で九人。すみれちゃんもいる。リョウマの事で相談しているに違いない。女子はお互いに悪口を言い合ったりするけれど、”リョウマ”は共通の敵で、一致団結しているのだ。
と、リョウマが入ってきた。そして、「おいおい!、朝っぱらから、てめぇら、何やってるんだぁー!」と女子を怒鳴りつける。「じゃま。じゃま。そこは、俺の席だぞ。どけ!」
「リョウマ君、おはよう。話しがあるんだけどぉ……」
すみれちゃんは、やさしく、ふわぁ――とした笑みを浮かべて、くりんとした瞳でリョウマを見上げた。
「お、俺に?」
リョウマは、きょとんとした顔で「い、いいけど……」とおろおろしている。ふたりが、教室の隅で話し出すと「すみれ、ガンバ!」「すみれちゃん、がんばってぇーー」と小さな声で応援する女子もいる。
すみれちゃんは、いじめっ子のリョウマに、一生懸命に話しかけている。もうすぐ、朝のホームルームが始まるのに、どうなることかと心配していると、教室の前の戸が開いて、美月先生が入ってきた。すみれちゃんと、リョウマも、急いで席に着く。
担任じゃなくて、音楽の先生?
みんなが、不思議に思っていると、美月先生は「おはようございます」とあいさつして、ぴりりとした声で言った。「今日は、私から皆さんにお話しがあります。きのう、お昼休みに、リコーダーをすり替えた人がいます。やった人は手を上げなさい」
シーン シーン
手を挙げる人はいない。
「じゃぁ、みんな目をつむって。だれも見てないなら、手を挙げられるかな?」
ガタンと椅子が動いて「先生、ぼくがやりました!」とリョウマが、手をあげて立ち上がった。
「俺が、あおい君に『すみれちゃんのリコーダーと、ロビンのリコーダーをすり替えろ』と命令しました。
すみれちゃん、、ロビンーーごめんなさい」
リョウマはペコリと頭をさげて「俺ーーこれから、いじめはやめます」
みんなは、あっけにとられてしまった。
美月先生は、大きくうなずいて「それは、とてもいいことね。でも、口先だけじゃ、だめよ」
「口先だけじゃありません。俺……キャラ変えたいんです。友達に、キャラ変えた方がステキだって言われたから。俺は女子の嫌われもんだと思っていたけど、好きな人に友達になりたいっ言われて、うれしくて……」
リョウマはそう言ってすみれちゃんをチラ見する。照れくさそうに、自分の髪をなでつけ、目をパチパチさせている。
リョウマが泣いている?!
鬼の目にも、涙ってこういうこと?
美月先生は
「先生も、やさしいリョウマ君は、ステキだと思います。良かった。
では、担任の先生から今日の連絡事項を聞いて下さい」と言って、ほっとした顔で出て行った。
それから、六年一組のイジメは解決した。そして、すみれちゃんとリョウマは、ふたりで仲良く帰るようになった。そんなふたりを見て、ぼくはちょっと寂しかったりもする。
美月先生は、「あら?ロビンとすみれちゃん。もう、学校終わったのね」と、言った。その声は元気そうで、とても熱があるとは思えない。ひょっとして、先生ずる休み?
先生は「音楽、どうだった?教頭先生にお願いしたけど、楽しかった?」と聞く。
「いいえ。最悪でした」
ヤバ!つい余計なこと言っちゃった。
「え?なんか、あったの?」と先生は、ぼくの顔をのぞき込む。
「い、いえ。なにもないです」
「どうして?先生さびしいな。本当のこと言って」
先生も本当の事を、言ってない。風邪って嘘ついてるじゃないか。大人は、嘘つきだ。リョウマの事をいいつけたりしたら、アイツに仕返しされる。
ぼくも、すみれちゃんも、だまってうつむいていた。そんなぼく達を見て、先生のそばにいるイケメンが「あっちで話したら?」と駐車場を指さした。
「そうね、ここは人通りが多くて、私達じゃまになってるわ」と歩き出す。
しかたない。ぼくと、すみれちゃんも、先生に連れられて歩き出す。でも、先生の嘘が許せなくて、ムカついた。思い切って先生に聞いた。
「先生、もう、風邪治ったんですか?」
「え?……あっ、ごめんね。先生は、病気じゃないの。先生とお付き合いしている人が、佐渡島に来たからお休みをもらったの。でもね、教頭先生が、へんなうわさが立つといけないから、病気で休んだ事にしておきましょうって。
ロビン、すみれちゃん、このことは、秘密にしておいて」
「「わかりました」」
「ロビンの秘密も聞きたい。話してくれたら、先生うれしいな」
「……」
「いじめなら、皆で話し合ったほうがいいんだよ」
先生はクラスの空気からいじめがあるのを感じていたらしい。ぼくは、思い切ってリコーダーがすり替えられていた事を打ち明けた。
■ ■
翌朝ーーー教室に入ると、ぼくの席の前のほうで、女子全員が集まっていた。女子は、全部で九人。すみれちゃんもいる。リョウマの事で相談しているに違いない。女子はお互いに悪口を言い合ったりするけれど、”リョウマ”は共通の敵で、一致団結しているのだ。
と、リョウマが入ってきた。そして、「おいおい!、朝っぱらから、てめぇら、何やってるんだぁー!」と女子を怒鳴りつける。「じゃま。じゃま。そこは、俺の席だぞ。どけ!」
「リョウマ君、おはよう。話しがあるんだけどぉ……」
すみれちゃんは、やさしく、ふわぁ――とした笑みを浮かべて、くりんとした瞳でリョウマを見上げた。
「お、俺に?」
リョウマは、きょとんとした顔で「い、いいけど……」とおろおろしている。ふたりが、教室の隅で話し出すと「すみれ、ガンバ!」「すみれちゃん、がんばってぇーー」と小さな声で応援する女子もいる。
すみれちゃんは、いじめっ子のリョウマに、一生懸命に話しかけている。もうすぐ、朝のホームルームが始まるのに、どうなることかと心配していると、教室の前の戸が開いて、美月先生が入ってきた。すみれちゃんと、リョウマも、急いで席に着く。
担任じゃなくて、音楽の先生?
みんなが、不思議に思っていると、美月先生は「おはようございます」とあいさつして、ぴりりとした声で言った。「今日は、私から皆さんにお話しがあります。きのう、お昼休みに、リコーダーをすり替えた人がいます。やった人は手を上げなさい」
シーン シーン
手を挙げる人はいない。
「じゃぁ、みんな目をつむって。だれも見てないなら、手を挙げられるかな?」
ガタンと椅子が動いて「先生、ぼくがやりました!」とリョウマが、手をあげて立ち上がった。
「俺が、あおい君に『すみれちゃんのリコーダーと、ロビンのリコーダーをすり替えろ』と命令しました。
すみれちゃん、、ロビンーーごめんなさい」
リョウマはペコリと頭をさげて「俺ーーこれから、いじめはやめます」
みんなは、あっけにとられてしまった。
美月先生は、大きくうなずいて「それは、とてもいいことね。でも、口先だけじゃ、だめよ」
「口先だけじゃありません。俺……キャラ変えたいんです。友達に、キャラ変えた方がステキだって言われたから。俺は女子の嫌われもんだと思っていたけど、好きな人に友達になりたいっ言われて、うれしくて……」
リョウマはそう言ってすみれちゃんをチラ見する。照れくさそうに、自分の髪をなでつけ、目をパチパチさせている。
リョウマが泣いている?!
鬼の目にも、涙ってこういうこと?
美月先生は
「先生も、やさしいリョウマ君は、ステキだと思います。良かった。
では、担任の先生から今日の連絡事項を聞いて下さい」と言って、ほっとした顔で出て行った。
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