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学園

あの日から

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あの日から世界は大きく変わりました。あれから500年。街は巨大化し、人口はうなぎのぼりです。技術だって変わりました。新魔法も科学も今の私にはもう分かりません。研究所の人に話を聞いてもちんぷんかんぷんです。

大魔王の脅威が大きくなり、ニポン皇国の近くにも配下の魔王がいます。
冒険者ギルドというものを設立して周辺各国が団結して戦っていますが終わりが見えません。

我が国も成長して今ではこの半島があるヨートピア大陸の大国の一つとして君臨するまでになりました。

あの頃、周りにいた人達はほとんど死んでしまいました。秘書官の人数制限が無ければ……いえ。それでも結果は同じかもしれません。みんな満足そうに向こうへ行きましたから。


……しかし変わっていないものもあります。

「桜さーん! ケーキ食べましょう?」

ミトさんは今も一緒にいてくれます。ミトさんがいた事がどれだけ心の支えになったでしょうか。

「絶対食べます! 今行きますから残しておいてくださーい」

私の国だってまだあります。私の仕事は無くなりません。ほとんどは王族や貴族に任せていますけどね。まるで優雅なセカンドライフです。

ブルガリ王国やマケド王国だって今でも同盟国です。それにブルガリ王国の王女をやっているのはセレナさんの何代目かの孫です。かわいい子です。



そして私のアバターの強さ。これも変わっていません。未だに強化がなければ魔法一つ使えません。

だって強化の方が楽ですし。皇帝としての仕事上、今は自分の素の体の方が便利なのであまりアバター使ってませんでしたし。それにそれに、だってだって……。

これは問題です。どうしましょう。あとケーキ美味しい。

「そういえば桜さん。シチリー公国の学校に神様が異世界から呼んだ勇者が入学するという噂が……」

学校?

「それです!」

「うわぁ! 急にどうしたんですか!」

そうです。学校に通ってみましょう。今のこの国ならたまに帰ってくるだけでも大丈夫でしょう。それに勇者も気になりますしね。異世界の学校生活もしてみたかったですし。

そうと決まればアバターの姿になりましょう。最近使ってなかったこの姿なら王宮の外ではバレません。王様にも話を通しておかないとですね。身分を偽って学園生活。厨二心がくすぐられます。

「ミトさん。私学校に入学してみます!」

「えー!」



4か月後。春になって私は学校の門の前に立っていました。シチリー公国は魔術で我が国を超える数少ない国。魔法を学ぶにはぴったりです。

身分も関係ないのでいろんな国の王族から平民が共に学ぶそうです。この学校なら身分を偽って入る事も簡単です。そもそも戸籍がないので平民だと調べようがないですからね。

試験だって私にとっては簡単ですしね。特に歴史のテストなんて当事者です。グリース連邦が正義の味方のようになってたのは許しませんが。

「桜さん。荷物は寮に運んでくれるらしいですよ。便利ですね」

「そうですね。もう一度確認しておきます。私達は平民の子供。ニポン皇国の貴族に気に入られて入学したという事で」

「もう覚えましたよ……。それより桜さんも週に一度は国に戻って仕事する事を忘れないでくださいね。王宮の人を説得するの大変だったんですから……。それじゃあ入学式に行きましょう」
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