社不JDも化け物倒せば友達出来ますか!?

くずは

文字の大きさ
6 / 21

森峰様

しおりを挟む
「いいんじゃない? ああいう所は定期的に扉が開くから場所によっては、簡単なお祓いだけでパトロール手当てが出るし」
 「つまり何もしなくてもお金が貰えるん? じゃあ私も賛成! 良いアイデアくれてありがとう優香ちゃん!」
 
 喜んでくれているのを見ると、勇気を出して言ってみて良かったって思う。

 「あんた、何もしないでお金が欲しいわけ?」
 「えぇ!? それって人類の共通の夢やないん!? だってーめんどくさいやん」
 「そこまで堂々と言えるのは明里だけよ……まぁ別に被害者が出るわけでも無いし、初回の山本さんにとっても安全じゃないかしら。山本さんもそれでいい?」
 
 「うん! 私も平和な方がいいし。今から行くなら近場に良い場所知ってるよ」
「山本さんナイス。えっと……そこはしばらく手入れされていないから手当て給付対象箇所になってるわ。アクセス悪そうだしシェアカーでも借りておくわね。どうせ経費として申請できるし」
 


 部室の鍵を返して車に乗り込む。これが初めての超常課での仕事。そう考えるとパトロールだけで良かったかも。

「2人ともシートベルトは締めた? 明里は道案内お願い」

 そう言ってエンジンをかけた瞬間に高橋さんの表情が歪み始める。音がつくならビキビキっていう音が似合いそうな感じ。

「ストップストップ! ゆっくり安全運転でお願い!」
「い、いけない。つい癖で」

 今回はなんとか出発前で良かった……。

「そういえば幽霊とかが実在するんだよね。だったら私達も死んだら幽霊になっちゃうのかな。私ちょっと不安になってきたかも」
 
「そこは大丈夫! 出てくるのは心霊スポットとしてのイメージや、そこに残された思念に影響されて開いた扉から出てきた別物が大半っていう説が有力なんよ~。式神とか人工的な物は私達の世界由来のものだし例外はあるんやけどね。」

「明里ちゃん詳しいね」
「ふっふ~。私もちゃんと勉強してるんよ~」
 
「でも怪談話とかだと元になった事件とかに影響されたとしか思えない幽霊ばかりじゃない? 例えば刃物で殺された人の霊は刃物を使って同じやり方で人に襲いかかったりとか。あれはなんでなの?」
「あぁあれはね……そこに思念が生まれるやん? それで……扉が……できて……なんやかんやで似るんよ!」

「その説明でよくドヤ顔が出来るわね……。それは扉から出てくる存在はその思念に影響を受けて似るからよ。それか似たやつが選ばれて出てくるのか。どっちかはハッキリしていないわ。ただ似ているだけで同じ存在ではないから見た目が変わったり、何から影響を受けたかよく分からない能力を持っているから事前情報の信じすぎには注意が必要ね」

「そうなんだ。じゃあ私が前に会った黒い化け物も何かの影響を受けていたの?」
「えぇ。あれは超常存在ではなく作り話が元だけどね。少し前から地元の学生達の間でこういう話が広がっていたの」

 ”ねぇねぇ知ってる? トンネルのまるまる様の噂。トンネルが出来る前は、あの土地には古い井戸と小さな神社があったんだって。その井戸は昔から飢饉の時は生け贄の子供を捧げるのに使われていたらしくて、その子達の怒りを鎮めるために神社を建立したらしいの。
 そこに祀られていたのがまるまる様。でも生け贄の文化はそのうち無くなって、いつしか誰も神社の手入れをしなくなって……その子達は忘れ去られていっちゃったの。すごく悲しかったんだろうね。
 だから誰かがその名前を呼ぶと喜びのあまり、その人を高速でどこまでも追いかけて連れていっちゃうらしいよ。それでみんなは名前を呼ばないようにまるまる様って呼んでいるの。え? 名前を知りたい? それは――“

「というのが噂の内容よ。SNSを通じて友達同士でどんどん広まっちゃったって訳。でも調査の結果あそこにそんな風習もなければ、神社も井戸もなくて元は普通の山道だったらしいわ。人の心理に影響して扉は開くから、必ずしも実話である必要はないという良い例ね」
 
「へー、もみじは物知りやねぇ」
「あんたも一緒に説明聞いたでしょ。なんで忘れているのよ……」

「高橋さん、それにしてはあの化け物は4本足でとても人間には見えなかったけど?」
「さっきも言ったとおり、あいつらは話に影響されるだけ。容姿に関しては言及されてないから影響を受けなかったのか、普通にたまたま似なかったのか。同じように噂ではまるまる様は連れていくだけだったのに、山本さんの腕の力を考えると怪力という能力を持っていたみたいだしね。風の力は、おおかた風で自分を押して高速移動に使っていたんだと思うわ。知らんけど」

「そう聞くと結構違うんだね」
「えぇ。どれだけ似てるかはケースバイケースね。そっくりだったり、たまに全然違ったり。とりあえずあまり元になった話や事件を信じすぎると逆に危険だって事を伝えたかったの。まぁ明里みたいに全く聞いてないのも問題だけど……」
 
「ちゃんと聞いてましたー! 私は過去にとらわれない人間、解決した事件の事はどんどん忘れて前だけを向いてるねん!」
「ものは言いようね。あら、もうすぐ着くわよ」

 駐車した場所は山中にある公園。近くにあるハイキング道を通る観光客が来る事を期待して作られたらしかったものの、絶妙に遠い場所にあるせいで今は人があまり来てないみたい。
 もう暗い時間だしシーンとしていた。

「誰もいないみたいだし、これ証拠の写真だけ撮って完了報告しちゃったらどうなるんやろ? バレるんかな」
「ちょっと! 明里、そんな事して誰かが被害にあったらどうするの?」
「き、気になって聞いてみただけやって! やだなーもう、今まで私がサボった事なんて、あっ……」

 この反応……サボった事あるのかな。まぁ最初の超常存在に会った時は自分も危険な状態で私を逃がそうとしてくれたし本当に聞いてみただけ……だと信じたい。

「それに私達だけって訳でも無いみたいよ。あれを見て」

 高橋さんがスマホのライトを向けると駐車場の奥の方に軽自動車が止まっているのが見えた。

「あちゃー。肝試しかなぁ。あの人達を探しながら行こかー。一応今のところ周りに異常は無いみたいやで」

 一瞬青い目の能力を使った明里ちゃんがそう言う。便利だなぁあれ。

「ありがとう明里ちゃん。その力をずっと使っていれば安全なんじゃないの?」
「力ってこの“霊視”のこと? これも優香ちゃんのと同じようにずっと使っているとすぐ疲れちゃって、目がすごく痛くなっってまうねん。だから一瞬使って休憩してって感じで使うしか無いんよー。ほら」

 そう言って明里ちゃんはチカチカと、青目と普通の目に交互に切り替えて遊び始めた。

「おぉ。ちょっとカッコいいかも」
「え? そう? ほら、こんな事も出来るでー」

 明里ちゃんは得意げな顔になると、さらに高速で切り替え始める。そして20回ほど切り替えると……

「いたたた! 調子に乗りすぎた」
「ご、ごめんね。私が変な事言ったばかりに」

「気にせんで。10秒もすれば治るから」
「上限を忘れるとか、あんたってマジで……。何があるか分からないんだから、あんま危険視を無駄遣いしない方がいいわよ」

「そういえばパトロールって歩くだけで良いの?」
「基本的にはそうね。後は時たま計測器で周りの数値を測るだけ。特に異常が無ければ、証拠の写真だけ撮って計測器の数値を報告すれば問題ないわ。数値がすごく高ければ、いつ扉が開くか分からないっていう事だからすぐに連絡。自分達でわざと扉を開くか他の人に任せるかは自由よ。2人とも少し止まって。ちょうど良いしここで数値を測っておくわ」

 周りは真っ暗。聞こえるのは近くの池に流れ込む水の音と、私たちの話し声だけ。
 これだけ見るとなんだか休日に友達と遊びに来てるみたいな……みたいな……。

 よく考えたらこんな状況って何年ぶり!? 緊張してきた。私何か変じゃないかな。
 今日もっと良い服着てくれば良かったかも。髪型ももっと気合い入れて……。

「山本さんどうしたの? なんか急に慌てて大丈夫?」
「エ、イヤ、ナンデモナイヨー」

「元気ないん? これでもどう? 甘くて美味しいで!」
「明里ちゃんありが……ってそれ花じゃん! 美味しいって花の蜜の事!? え、遠慮しとこうかな」
「変なの食べて病気になっても知らないわよ……ごめん、ちょっと待って」

 そう言うと高橋さんはあの計測器を取り出した。しばらくして顔色が変わる。

「数値が100以上……急いで車に乗ってた人たちを探すわよ。近くで扉が開いたわ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。 彼はその日から探索者――シーカーを目指した。 そして遂に訪れた覚醒の日。 「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」 スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。 「幸運の強化って……」 幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。 そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。 そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。 だが彼は知らない。 ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。 しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。 これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

処理中です...