18 / 21
ショッピングモール 下
しおりを挟む
ピンポンパンポン
「皆さーん。お客様が1名ご来店されましたよ。早い者勝ちでーす」
それだけ言うと放送は終了した。カメラに向かって話しかける。驚きの連続でずいぶん無言だったからな。
「なんでしょうね今の放送は。1名は多分私のことですよね。皆さんが誰の事か気になるな。周りに誰もいないんですよ、ほら」
そう言ってカメラで周囲を映す。にしても早い者勝ちか。まるで俺を取り合っているような言い方だ。
ちょっと周りを撮ったら帰るか。
そう考えながら近くの鞄が売っている店に入った。
「こっちは見た事ある商品ばかりですね。少し持ってみましょう」
ひょいっと持ち上げてみると、小さい手提げ鞄にしては妙に重い事に気づいた。中を覗くと物でいっぱいだ。財布も入っている。
「まるで誰かが使っているかのようです。財布の中身も見てみましょう」
パカっと開けると免許証やクレジットカードまで入っている。間違いない。これは誰かが使っているやつだ。他の商品を見ても使用感がある。
誰かから奪ったのか?
さっきの放送を思い出す。俺を取り合っているよう。もしその予想が合っていれば次の狙いは……。
俺は急いでエレベーターまで戻ろうと走り出した。
さっきまで無人だった廊下に、どっかのアパレルショップから出てきたであろうマネキンが溢れている。彼らは俺を見つけると追ってきた。
幸いにも速度はあまり速くなくて上手いこと逃げられそうだ。
しかし、ひとりでに開いたドアにぶつかって思わずうずくまる。
中はペットショップだったのだろう。何も入ってない水槽が勝手に棚から落ち始める。
水びだしで走る速度が遅くなったのを見たマネキンどもは、反対側の廊下を使って回り込み始めた。
やっと“現実とは逆のショッピングモール”の意味を理解した。
ここでは本来商品である彼らが買い物客で、本来客である俺たちが商品という意味なのだ。しかしもう遅い。こいつらに捕まるくらいなら……ワンチャン下の階までジャンプしてやる。
廊下の端に寄って、ガラスに手をかける。吹き抜けだからもし狙いを外せば10階分落ちる事になる。身を乗り出すとやはり躊躇してしまう。
だが迷っている間にも奴らは近づいてきた。スーパーで見た変なキャッチコピーの肉。あれらはそういう意味なのだろう。
こいつらが人道的なやり方を使いそうにも思えない。よ、よ、よし。い、いく、ぞ。
「クソがぁぁぁぁ!!!!!」
体が宙に舞う。しかしそれも一瞬のことだった。すぐさま何者かに腕を掴まれる。間に合わなかった。そう気づくと同時に、後頭部に衝撃を受けた俺は意識を失った。
次に目を覚ますと、台車に乗せられてどこかに連れて行かれる所だった。口にはテープを貼られて、うめく事しか出来ない。
てっきりこのまま殺されるのかと思ったら、関係者以外立ち入り禁止と書かれたドアの向こうに連れて行かれる。
どうやら今は倉庫のような場所に閉じ込められているようだ。広くはないので、どこかの店舗の一部かもしれない。
俺はまだ希望を捨てていなかった。さっき割れた水槽のガラスが服に刺さっていた事に気がついたからだ。上手い事これで俺を縛っている縄を切れば逃げられるかもしれない。
思ったよりもチャンスはすぐに来た。なんと部屋にいたマネキンが部屋から出ていったのだ。
思ったよりも縄は柔く、簡単に切る事ができた。そーっと部屋から出て周囲をうかがったが、誰もいないようだな。
それだけ確認した俺はすぐさま走り出した。出口はわからないが、恐怖でいっぱいでそんな事を気にする余裕もない。
視界の端に先ほど入ったスーパーがあった。つまりここは3階。確かこのフロアのエレベーターの場所は……近い。
やっと生還の2文字が見えてくる。少し冷静になった俺は右折する前に壁越しに向こう側を観察して……絶望した。
エレベーターは見えているが、数体のマネキンだけじゃなくて、どこから出て来たのか巨大な銅像まで見張っている。確か古物商もテナントにあったなと思い出すが、そんな事どうだっていい。
上階までのエスカレーターからもマネキンが降りてくる。後ろからも謎の足音が迫っていた。
このままじゃ見つかる。とっさに、すぐそばにあったトイレに駆け込み鍵を閉める。
逃げる手段は思いつかなかった。ならばせめて。誰かが俺の事をいつか回収してくれるように、この証拠の動画だけでもアップしよう。投稿完了まで5分。
その間はここに隠れていて、完了次第……最後の運試しといくか。
何事もなく4分半が経った。この分だと投稿は間に合うだろう。もう一周回って落ち着いてきた所で、上から声がした。
「みぃ~つけた」
上を見ると、肌から髪まで全てが真っ白な美女が俺を見下ろしていた。昔の着物のような物を着ている。
パニックになって個室を飛び出す。
「妾を見て逃げるとは。最近の男は奥手だと聞いていたが想像以上じゃ」
ゆっくり歩いて追ってくる。これなら撒けるな。しかし廊下に飛び出した俺は、冷風を感じると同時に転んでしまった。
見たら足が凍っている。床もだ。立ちあがろうにも立ち上がれない。
「安心しろ。妾もゆっくり時間をかけるタイプなのでの」
着物の女が投げキッスのような感じでフッと息を吹くと、氷が俺の左手を地面に縫い付ける。もう俺の命はないだろう。動画投稿まで残り5秒。
せめてこれだけは。
俺は3階の廊下から、吹き抜けに向かってスマホを投げた。その瞬間に体が首まで氷づけにされる。
でも、動画投稿はスマホが落ちるまでに間に合うだろう。一矢報いた達成感と共に、頭まで凍らされた俺は意識を失なった。
気づくと俺は警備室にいた。いくつかある画面には監視カメラの映像が表示されている。最初から俺がどこにいるのかは筒抜けだったって訳か。俺が逃げたのも計算のうちなのかもな。
今度は逃がすつもりは無いようで、周りをマネキンと銅像に囲まれていた。それにさっきの女もいる。
「やっと起きたか。すぐ氷を溶かしたのに、いつまでも気を失っているせいで待ちくたびれたわ」
情けない事に、その女の冷え切った声を聞くだけで俺は恐怖した。
「そうじゃそうじゃ、その顔じゃ。貴様の恐怖心がないと、質の良い生命力は抽出できんからの。死んだかと思って焦ったぞ」
訳のわからない事を言いながら、その女は顔をぐいっと近づけて、俺に息をフッと吐きかける。
また凍らされる。先ほど凍らされた手足の痛みを思い出しながら、さらに恐怖心が高まったが、今度は一瞬で雪が溶けた。
「ふふ。もう十分じゃろ。さて、注射の時間じゃ。奴らも良い物を作りよる」
奴らの意味は分からないが、注射は分かる。その女はぶっとい針を俺の腕に刺した。注射といっても注射器ではなく、針の先にはチューブが付いており、さらにその先には謎の機械が備え付けられていた。
機械が稼働するが、チューブを見るに血は吸われていないようだ。何かを注入されている様子もない。というかチューブの中は空っぽのように見えた。
しかし時間が経てば経つほどに疲労感が酷くなり、意識が朦朧としてくる。そんな時、監視カメラ映像に何かが映ったのが見えた。人のように見える。
俺の視線に気づいた女がそれを見ると途端に焦り出した。
「こんなに早く嗅ぎつけられるとは。まだ元を取れていないが……仕方ない」
女は慌てて空中に両手を向けて、何かを唱える。だいぶ苦しそうな感じだ。しばらくすると空中に謎の円が浮かび始めた。向こう側は暗くて見えない。
女が無理やり針を俺の体から引く抜くと、それを抱えて円の中に飛び込んだ。するとなんと女は消えてしまった。すぐに円も消える。
何が起こっているか理解しないうちに、警備室の扉が開かれた。
「おい! まだ生きてるぞ! こっちだこっち!」
男が何やら叫んでいる。それから、彼は今度は俺に話しかけてきた。
「あの動画のおかげでやっと入り方が分かったよ。礼を言おう。さぁこれを飲んで」
そう言いながら何やら白い玉を口に入れてこようとしてくる。彼らは俺を助けてくれたように見える。それなら、飲んでもきっと大丈夫だろう。
どのみち抵抗する力も無い。緊張が抜けると同時に、先ほどの疲労感のせいか眠くなってきた。こんな状況で眠るわけにもいかないが、まぶたの重さに抗え……な……。
気がつくと俺は精神病院にいた。医者が言うには、俺はショッピングモールのトイレで錯乱していたそうだ。
そんな。俺はハッキリと何があったか覚えているぞ。まず俺はエレベーターに乗り込んで……そっから何をした?
妙な和服の美女に会ったのは覚えている。マネキンが動いていたことも。
他にも俺が空を飛んで銅像にパンチを喰らわしたり、俺が女の吐いた炎で火だるまになった記憶もある。
しかし俺の体に火傷痕などは無い。スマホを使っても良いとのことだったので、自分のチャンネルをチェックする。しかしその日に動画は投稿されていなかった。
「で、でもお医者さん。信じてください! 俺は今までこんな事は一度も無い! 幻覚なんか見たことも……」
医者は俺がそう主張するのを知っていたかのように落ち着いて返事をしてきた。
「えぇ分かっています。これは一時的なものでしょう。1週間は念のため入院してもらいますが、その後は退院していただく予定です」
「ありがとうございます……。あの、ちなみに費用はおいくらほどに?」
「これは特別なケースですからね。国が保険で全額負担してくれるので安心してください。説明は以上です。他にご質問が無いようでしたら、もうすぐ食事の時間ですしゆっくりしていてください」
そう言うと医者は部屋から出ていった。
あれから俺は医者の言う通りに何事もなく退院した。会社側は発作のようなものと説明を受けていたようで、仕事にも復帰できた。
きっとあの記憶は夢のようなものなのだろう。しかし俺はチャンネルは削除し、心霊スポット巡りはもうやめようと心に誓った。
「皆さーん。お客様が1名ご来店されましたよ。早い者勝ちでーす」
それだけ言うと放送は終了した。カメラに向かって話しかける。驚きの連続でずいぶん無言だったからな。
「なんでしょうね今の放送は。1名は多分私のことですよね。皆さんが誰の事か気になるな。周りに誰もいないんですよ、ほら」
そう言ってカメラで周囲を映す。にしても早い者勝ちか。まるで俺を取り合っているような言い方だ。
ちょっと周りを撮ったら帰るか。
そう考えながら近くの鞄が売っている店に入った。
「こっちは見た事ある商品ばかりですね。少し持ってみましょう」
ひょいっと持ち上げてみると、小さい手提げ鞄にしては妙に重い事に気づいた。中を覗くと物でいっぱいだ。財布も入っている。
「まるで誰かが使っているかのようです。財布の中身も見てみましょう」
パカっと開けると免許証やクレジットカードまで入っている。間違いない。これは誰かが使っているやつだ。他の商品を見ても使用感がある。
誰かから奪ったのか?
さっきの放送を思い出す。俺を取り合っているよう。もしその予想が合っていれば次の狙いは……。
俺は急いでエレベーターまで戻ろうと走り出した。
さっきまで無人だった廊下に、どっかのアパレルショップから出てきたであろうマネキンが溢れている。彼らは俺を見つけると追ってきた。
幸いにも速度はあまり速くなくて上手いこと逃げられそうだ。
しかし、ひとりでに開いたドアにぶつかって思わずうずくまる。
中はペットショップだったのだろう。何も入ってない水槽が勝手に棚から落ち始める。
水びだしで走る速度が遅くなったのを見たマネキンどもは、反対側の廊下を使って回り込み始めた。
やっと“現実とは逆のショッピングモール”の意味を理解した。
ここでは本来商品である彼らが買い物客で、本来客である俺たちが商品という意味なのだ。しかしもう遅い。こいつらに捕まるくらいなら……ワンチャン下の階までジャンプしてやる。
廊下の端に寄って、ガラスに手をかける。吹き抜けだからもし狙いを外せば10階分落ちる事になる。身を乗り出すとやはり躊躇してしまう。
だが迷っている間にも奴らは近づいてきた。スーパーで見た変なキャッチコピーの肉。あれらはそういう意味なのだろう。
こいつらが人道的なやり方を使いそうにも思えない。よ、よ、よし。い、いく、ぞ。
「クソがぁぁぁぁ!!!!!」
体が宙に舞う。しかしそれも一瞬のことだった。すぐさま何者かに腕を掴まれる。間に合わなかった。そう気づくと同時に、後頭部に衝撃を受けた俺は意識を失った。
次に目を覚ますと、台車に乗せられてどこかに連れて行かれる所だった。口にはテープを貼られて、うめく事しか出来ない。
てっきりこのまま殺されるのかと思ったら、関係者以外立ち入り禁止と書かれたドアの向こうに連れて行かれる。
どうやら今は倉庫のような場所に閉じ込められているようだ。広くはないので、どこかの店舗の一部かもしれない。
俺はまだ希望を捨てていなかった。さっき割れた水槽のガラスが服に刺さっていた事に気がついたからだ。上手い事これで俺を縛っている縄を切れば逃げられるかもしれない。
思ったよりもチャンスはすぐに来た。なんと部屋にいたマネキンが部屋から出ていったのだ。
思ったよりも縄は柔く、簡単に切る事ができた。そーっと部屋から出て周囲をうかがったが、誰もいないようだな。
それだけ確認した俺はすぐさま走り出した。出口はわからないが、恐怖でいっぱいでそんな事を気にする余裕もない。
視界の端に先ほど入ったスーパーがあった。つまりここは3階。確かこのフロアのエレベーターの場所は……近い。
やっと生還の2文字が見えてくる。少し冷静になった俺は右折する前に壁越しに向こう側を観察して……絶望した。
エレベーターは見えているが、数体のマネキンだけじゃなくて、どこから出て来たのか巨大な銅像まで見張っている。確か古物商もテナントにあったなと思い出すが、そんな事どうだっていい。
上階までのエスカレーターからもマネキンが降りてくる。後ろからも謎の足音が迫っていた。
このままじゃ見つかる。とっさに、すぐそばにあったトイレに駆け込み鍵を閉める。
逃げる手段は思いつかなかった。ならばせめて。誰かが俺の事をいつか回収してくれるように、この証拠の動画だけでもアップしよう。投稿完了まで5分。
その間はここに隠れていて、完了次第……最後の運試しといくか。
何事もなく4分半が経った。この分だと投稿は間に合うだろう。もう一周回って落ち着いてきた所で、上から声がした。
「みぃ~つけた」
上を見ると、肌から髪まで全てが真っ白な美女が俺を見下ろしていた。昔の着物のような物を着ている。
パニックになって個室を飛び出す。
「妾を見て逃げるとは。最近の男は奥手だと聞いていたが想像以上じゃ」
ゆっくり歩いて追ってくる。これなら撒けるな。しかし廊下に飛び出した俺は、冷風を感じると同時に転んでしまった。
見たら足が凍っている。床もだ。立ちあがろうにも立ち上がれない。
「安心しろ。妾もゆっくり時間をかけるタイプなのでの」
着物の女が投げキッスのような感じでフッと息を吹くと、氷が俺の左手を地面に縫い付ける。もう俺の命はないだろう。動画投稿まで残り5秒。
せめてこれだけは。
俺は3階の廊下から、吹き抜けに向かってスマホを投げた。その瞬間に体が首まで氷づけにされる。
でも、動画投稿はスマホが落ちるまでに間に合うだろう。一矢報いた達成感と共に、頭まで凍らされた俺は意識を失なった。
気づくと俺は警備室にいた。いくつかある画面には監視カメラの映像が表示されている。最初から俺がどこにいるのかは筒抜けだったって訳か。俺が逃げたのも計算のうちなのかもな。
今度は逃がすつもりは無いようで、周りをマネキンと銅像に囲まれていた。それにさっきの女もいる。
「やっと起きたか。すぐ氷を溶かしたのに、いつまでも気を失っているせいで待ちくたびれたわ」
情けない事に、その女の冷え切った声を聞くだけで俺は恐怖した。
「そうじゃそうじゃ、その顔じゃ。貴様の恐怖心がないと、質の良い生命力は抽出できんからの。死んだかと思って焦ったぞ」
訳のわからない事を言いながら、その女は顔をぐいっと近づけて、俺に息をフッと吐きかける。
また凍らされる。先ほど凍らされた手足の痛みを思い出しながら、さらに恐怖心が高まったが、今度は一瞬で雪が溶けた。
「ふふ。もう十分じゃろ。さて、注射の時間じゃ。奴らも良い物を作りよる」
奴らの意味は分からないが、注射は分かる。その女はぶっとい針を俺の腕に刺した。注射といっても注射器ではなく、針の先にはチューブが付いており、さらにその先には謎の機械が備え付けられていた。
機械が稼働するが、チューブを見るに血は吸われていないようだ。何かを注入されている様子もない。というかチューブの中は空っぽのように見えた。
しかし時間が経てば経つほどに疲労感が酷くなり、意識が朦朧としてくる。そんな時、監視カメラ映像に何かが映ったのが見えた。人のように見える。
俺の視線に気づいた女がそれを見ると途端に焦り出した。
「こんなに早く嗅ぎつけられるとは。まだ元を取れていないが……仕方ない」
女は慌てて空中に両手を向けて、何かを唱える。だいぶ苦しそうな感じだ。しばらくすると空中に謎の円が浮かび始めた。向こう側は暗くて見えない。
女が無理やり針を俺の体から引く抜くと、それを抱えて円の中に飛び込んだ。するとなんと女は消えてしまった。すぐに円も消える。
何が起こっているか理解しないうちに、警備室の扉が開かれた。
「おい! まだ生きてるぞ! こっちだこっち!」
男が何やら叫んでいる。それから、彼は今度は俺に話しかけてきた。
「あの動画のおかげでやっと入り方が分かったよ。礼を言おう。さぁこれを飲んで」
そう言いながら何やら白い玉を口に入れてこようとしてくる。彼らは俺を助けてくれたように見える。それなら、飲んでもきっと大丈夫だろう。
どのみち抵抗する力も無い。緊張が抜けると同時に、先ほどの疲労感のせいか眠くなってきた。こんな状況で眠るわけにもいかないが、まぶたの重さに抗え……な……。
気がつくと俺は精神病院にいた。医者が言うには、俺はショッピングモールのトイレで錯乱していたそうだ。
そんな。俺はハッキリと何があったか覚えているぞ。まず俺はエレベーターに乗り込んで……そっから何をした?
妙な和服の美女に会ったのは覚えている。マネキンが動いていたことも。
他にも俺が空を飛んで銅像にパンチを喰らわしたり、俺が女の吐いた炎で火だるまになった記憶もある。
しかし俺の体に火傷痕などは無い。スマホを使っても良いとのことだったので、自分のチャンネルをチェックする。しかしその日に動画は投稿されていなかった。
「で、でもお医者さん。信じてください! 俺は今までこんな事は一度も無い! 幻覚なんか見たことも……」
医者は俺がそう主張するのを知っていたかのように落ち着いて返事をしてきた。
「えぇ分かっています。これは一時的なものでしょう。1週間は念のため入院してもらいますが、その後は退院していただく予定です」
「ありがとうございます……。あの、ちなみに費用はおいくらほどに?」
「これは特別なケースですからね。国が保険で全額負担してくれるので安心してください。説明は以上です。他にご質問が無いようでしたら、もうすぐ食事の時間ですしゆっくりしていてください」
そう言うと医者は部屋から出ていった。
あれから俺は医者の言う通りに何事もなく退院した。会社側は発作のようなものと説明を受けていたようで、仕事にも復帰できた。
きっとあの記憶は夢のようなものなのだろう。しかし俺はチャンネルは削除し、心霊スポット巡りはもうやめようと心に誓った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~
榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。
彼はその日から探索者――シーカーを目指した。
そして遂に訪れた覚醒の日。
「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」
スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。
「幸運の強化って……」
幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。
そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。
そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。
だが彼は知らない。
ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。
しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。
これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。
馳 影輝
ファンタジー
毒舌を売りにして芸能界で活躍できる様になった。
元々はアイドルとしてデビューしたが、ヒラヒラの衣装や可愛い仕草も得意じゃ無かった。
バラエティーの仕事を貰って、毒舌でキャラを作ったらこれがハマり役で世間からのウケも良くとんとん拍子で有名人になれた。
だが、自宅に帰ると玄関に見知らぬ男性が立っていて私に近づくと静かにナイフで私を刺した。
アイドル時代のファンかも知れない。
突然の事で、怖くて動けない私は何度も刺されて意識を失った。
主人公の時田香澄は殺されてしまう。
気がつくとダンジョンの最下層にポイズンキラーとい魔物に転生する。
自分の現象を知りショックを受けるが、その部屋の主であるリトラの助言により地上を目指す。
ダンジョンの中で進化を繰り返して強くなり、人間の冒険者達が襲われている所に出くわす。
魔物でありながら、擬態を使って人間としても生きる姿や魔王種への進化を試みたり、数え切れないほどの激動の魔物人生が始まる。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる