これは私の物語

笹乃笹世

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8章 冬市と流行り病

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「ーーただ、くれぐれも今じゃねぇぞ? まずは俺らが確保する。 次は各門で売り始める。 めざとい奴が薬じゃなくてギルド員じゃなくても作れると気がつき、模造品が大量に出回る――マチルダたちに作り方を教えるのはこの後だ。 いいな?」
「はい」

 力強く頷くと、2人も満足そうに頷き、今度は2人顔を突き合わせながらヒソヒソと相談し始める。
 ……いつも思ってるけど、それじゃあ会話丸聞こえなんだよね……――誰にも言ったりしないけどー。

「んで――こっちはどうする?」
「まずは蜜蝋……人手の確保だな」
「手っ取り早いのは薬草組にもう少し奥まで潜らせることだが――」
「…… そうなると1日仕事にならないか?」
「――なるだろうなぁ……?」
「……どう足掻いても人手の確保をしてからの話だな」
「さっさと話つけろー?」
「分かっている」

 そんな会話の後、とりあえずはいつも通りポーション作りに励むことになり、軟膏は――1つ3銀貨計算で買い取ってもらうことが決まった。
 ポーションと同じ買取額じゃん……――ポーションじゃないからね? ポーションだとマチルダたちが売れないんだから!
 絶対に違いますからね!

 ◇

 ポーションを作り続ける日々に私も弟たちも慣れ、そこに軟膏作りが混じり、最初こそ慣れない作業などで気疲れもしたけど、数日のうちにすぐに慣れた頃――
 雪も降り止まず、寒さも相変わらず厳しいものだったが、その寒さにもどことなく慣れ始めた頃――
 最近は家の中での作業ばかりで引きこもりがちだった私は、近所や道ゆく人たちの異変にようやく気がついた。

 今日は恒例となった冬市の日。
 そこへ行く道すがら、緑門への届け物を運ぶという西門の兵士たちとバッタリで食わし、ご厚意に甘え、その荷馬車に全員で揺られながらキョロキョロと辺りを見回す。

「……なんかさらに人増えてない?」

 今まではこんな大きな通り、端とはいえ座り込んでる家族や足跡の小屋を作って寝転がってる人たちなんかいなかったのに……

「なんか今年は多いんだって」

 そう答えてくれたのはロランだった。
 すぐにプリムもこちらに身を乗り出しながら「そう!」と話し始める。

「あのね、いつもは帰る人のほうが多くなってくる頃なのに今年は違うんだって!」
「……一応帰る人の数は前の年と変わらないんだって」

 最後にウィリムが付け加えてくれた言葉に頷きながら再び辺りを見回す。
 ……帰る人が例年通りでこの状況ってことは――ものすごい数の人が集まって来てるってことなんじゃ……?
 好き好んでこんな人の行き来するところで寝転がる人なんか居ないだろうし……細い通路や裏路地は人で溢れかえってるってことーーだよね?
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