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1章 村からの脱出
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「そう! だって準備して、いざしゅっぱーつ! ってなったのに、荷物が重くて持てなかったり、これが入らないとかあったら大変でしょ?」
「えー……準備ぃ?」
私の提案にロランが嫌そうな声を上げる。 うんわかる。 姉ちゃん今とってもめんどくさいことを言っている! 分かるんだけどね⁉︎
「――ほら始めるぞ。 ……やらないならお前たちは置いてくからな」
「え、やだ!」
「やだー!」
「なら準備だ。 出来るだろ?」
ウィリムがうまく2人を誘導し、準備をさせようとしてくれたのだが――
「……ならプリム、チーズ持ってく人ね!」
「んじゃ俺はベーコン!」
「それプリムの!」
「みんなのですぅー!」
「あーもう……」
……そう簡単にはいかないようだ。
この2人だってそこまで聞き分けが悪い方じゃ無いんだけど――多分、急に決まった引越しや、いきなり渡されたお金や品物に、訳がわからなくなってしまってるんだろうな。
私はウィリムと顔を見合わせ、軽く顔を顰め合うと、ため息をつきながら準備を始める。
――準備が問題ないなら今日中に出発しよう。
逃げ出すなら距離はなるべく取ったほうがいい。 本当は明日、夜が明けてからのが明るくていいんだけど――そんな時間まで悠長にしてて、朝も早くから濡れ衣着せられたってたまらないし。
しかも今回は兄さんがいてくれない…… そのせいで、ここであっさり奴隷落ち――なんてことになったら人生終了だ。
昔、誰かのつぶやきで、逃げようと決めた時は迷わず逃げる。 他のことは考えない。 って見たことあるし。 暗いの危険、怖い! とかは一旦置いておこう……!
「姉ちゃんこのナタはどうしよう?」
「それはウィリムが持ってて? ――重い?」
「平気。 オレもっと持てるよ?」
「じゃあこの布の半分と――まだ持てるなら小麦と塩お願い」
「分かった。 鍋とかは? 重くない?」
「重くない訳じゃないけど――背負えるの編んだから、そこまで大変じゃないよ」
即席で編んだにしては意外に丈夫な背負いカゴが出来て満足だ。 ツタ製だから想像以上にへにゃっとしてるけど、中には布も縫い付けたので、ポイポイなんでも入れられて便利だ。
……これでもう少し私の体力があれば文句なんか1つもなかったのに……
隣で同じような背負いカゴに荷物を詰めているウィリムを盗み見る。 やっぱりこのぐらいの時は、男の子より女の子のほうが身体大きいよねぇ? ウィリムは「男だからっ!」と頑張ってくれようとしているが、私より小さい子に私よりも背負わせるのは気が引けるって。
「……これ俺持つ?」
ウィリムと並んで黙々と準備をしていると、興味が湧いたのか不安になったのか、ロランがボロ布を片手に近づいて来る。 その後ろにはプリムの姿もあった。
「えー……準備ぃ?」
私の提案にロランが嫌そうな声を上げる。 うんわかる。 姉ちゃん今とってもめんどくさいことを言っている! 分かるんだけどね⁉︎
「――ほら始めるぞ。 ……やらないならお前たちは置いてくからな」
「え、やだ!」
「やだー!」
「なら準備だ。 出来るだろ?」
ウィリムがうまく2人を誘導し、準備をさせようとしてくれたのだが――
「……ならプリム、チーズ持ってく人ね!」
「んじゃ俺はベーコン!」
「それプリムの!」
「みんなのですぅー!」
「あーもう……」
……そう簡単にはいかないようだ。
この2人だってそこまで聞き分けが悪い方じゃ無いんだけど――多分、急に決まった引越しや、いきなり渡されたお金や品物に、訳がわからなくなってしまってるんだろうな。
私はウィリムと顔を見合わせ、軽く顔を顰め合うと、ため息をつきながら準備を始める。
――準備が問題ないなら今日中に出発しよう。
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しかも今回は兄さんがいてくれない…… そのせいで、ここであっさり奴隷落ち――なんてことになったら人生終了だ。
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「姉ちゃんこのナタはどうしよう?」
「それはウィリムが持ってて? ――重い?」
「平気。 オレもっと持てるよ?」
「じゃあこの布の半分と――まだ持てるなら小麦と塩お願い」
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