これは私の物語

笹乃笹世

文字の大きさ
23 / 771
1章 村からの脱出

20

「そう! だって準備して、いざしゅっぱーつ! ってなったのに、荷物が重くて持てなかったり、これが入らないとかあったら大変でしょ?」
「えー……準備ぃ?」

 私の提案にロランが嫌そうな声を上げる。 うんわかる。 姉ちゃん今とってもめんどくさいことを言っている! 分かるんだけどね⁉︎

「――ほら始めるぞ。 ……やらないならお前たちは置いてくからな」
「え、やだ!」
「やだー!」
「なら準備だ。 出来るだろ?」

 ウィリムがうまく2人を誘導し、準備をさせようとしてくれたのだが――

「……ならプリム、チーズ持ってく人ね!」
「んじゃ俺はベーコン!」
「それプリムの!」
「みんなのですぅー!」
「あーもう……」

 ……そう簡単にはいかないようだ。
 この2人だってそこまで聞き分けが悪い方じゃ無いんだけど――多分、急に決まった引越しや、いきなり渡されたお金や品物に、訳がわからなくなってしまってるんだろうな。

 私はウィリムと顔を見合わせ、軽く顔を顰め合うと、ため息をつきながら準備を始める。
 ――準備が問題ないなら今日中に出発しよう。
 逃げ出すなら距離はなるべく取ったほうがいい。 本当は明日、夜が明けてからのが明るくていいんだけど――そんな時間まで悠長にしてて、朝も早くから濡れ衣着せられたってたまらないし。
 しかも今回は兄さんがいてくれない…… そのせいで、ここであっさり奴隷落ち――なんてことになったら人生終了だ。
 昔、誰かのつぶやきで、逃げようと決めた時は迷わず逃げる。 他のことは考えない。 って見たことあるし。 暗いの危険、怖い! とかは一旦置いておこう……!

「姉ちゃんこのナタはどうしよう?」
「それはウィリムが持ってて? ――重い?」
「平気。 オレもっと持てるよ?」
「じゃあこの布の半分と――まだ持てるなら小麦と塩お願い」
「分かった。 鍋とかは? 重くない?」
「重くない訳じゃないけど――背負えるの編んだから、そこまで大変じゃないよ」

 即席で編んだにしては意外に丈夫な背負いカゴが出来て満足だ。 ツタ製だから想像以上にへにゃっとしてるけど、中には布も縫い付けたので、ポイポイなんでも入れられて便利だ。
 ……これでもう少し私の体力があれば文句なんか1つもなかったのに……
 隣で同じような背負いカゴに荷物を詰めているウィリムを盗み見る。 やっぱりこのぐらいの時は、男の子より女の子のほうが身体大きいよねぇ? ウィリムは「男だからっ!」と頑張ってくれようとしているが、私より小さい子に私よりも背負わせるのは気が引けるって。

「……これ俺持つ?」

 ウィリムと並んで黙々と準備をしていると、興味が湧いたのか不安になったのか、ロランがボロ布を片手に近づいて来る。 その後ろにはプリムの姿もあった。
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完】私の初恋の人に屈辱と絶望を与えたのは、大好きなお姉様でした

迦陵 れん
恋愛
「俺は君を愛さない。この結婚は政略結婚という名の契約結婚だ」 結婚式後の初夜のベッドで、私の夫となった彼は、開口一番そう告げた。 彼は元々の婚約者であった私の姉、アンジェラを誰よりも愛していたのに、私の姉はそうではなかった……。 見た目、性格、頭脳、運動神経とすべてが完璧なヘマタイト公爵令息に、グラディスは一目惚れをする。 けれど彼は大好きな姉の婚約者であり、容姿からなにから全て姉に敵わないグラディスは、瞬時に恋心を封印した。 筈だったのに、姉がいなくなったせいで彼の新しい婚約者になってしまい──。 人生イージーモードで生きてきた公爵令息が、初めての挫折を経験し、動く人形のようになってしまう。 彼のことが大好きな主人公は、冷たくされても彼一筋で思い続ける。 たとえ彼に好かれなくてもいい。 私は彼が好きだから! 大好きな人と幸せになるべく、メイドと二人三脚で頑張る健気令嬢のお話です。 ざまあされるような悪人は出ないので、ざまあはないです。 と思ったら、微ざまぁありになりました(汗)

夢を現実にしないための正しいマニュアル

しゃーりん
恋愛
娘が処刑される夢を見た。 現在、娘はまだ6歳。それは本当に9年後に起こる出来事? 処刑される未来を変えるため、過去にも起きた夢の出来事を参考にして、変えてはいけないことと変えるべきことを調べ始める。 婚約者になる王子の周囲を変え、貴族の平民に対する接し方のマニュアルを作り、娘の未来のために頑張るお話。

【4/5完結予定】春を蒔く

ねるねわかば
恋愛
穀倉地帯バーレイ領主の娘ベアトリスは、結婚を予定していた幼馴染みの裏切りを知り領地を出た。 王都の女学校で慣れない勉強に苦心するなか、図書館で白皙の苦学生と出会う。 ​彼から教わったのは、学ぶことの意味。初めて感じた動悸とともに、ベアトリスの世界は変わった。 卒業、別れ、そして八年の月日。 『美味しい麦を作りたい』 ただそれだけを叶えるために、ベアトリスは今年も種を蒔く。 全12話です。

隠された第四皇女

山田ランチ
恋愛
 ギルベアト帝国。  帝国では忌み嫌われる魔女達が集う娼館で働くウィノラは、魔女の中でも稀有な癒やしの力を持っていた。ある時、皇宮から内密に呼び出しがかかり、赴いた先に居たのは三度目の出産で今にも命尽きそうな第二側妃のリナだった。しかし癒やしの力を使って助けたリナからは何故か拒絶されてしまう。逃げるように皇宮を出る途中、ライナーという貴族男性に助けてもらう。それから3年後、とある命令を受けてウィノラは再び皇宮に赴く事になる。  皇帝の命令で魔女を捕らえる動きが活発になっていく中、エミル王国との戦争が勃発。そしてウィノラが娼館に隠された秘密が明らかとなっていく。 ヒュー娼館の人々 ウィノラ(娼館で育った第四皇女) アデリータ(女将、ウィノラの育ての親) マイノ(アデリータの弟で護衛長) ディアンヌ、ロラ(娼婦) デルマ、イリーゼ(高級娼婦) 皇宮の人々 ライナー・フックス(公爵家嫡男) バラード・クラウゼ(伯爵、ライナーの友人、デルマの恋人) ルシャード・ツーファール(ギルベアト皇帝) ガリオン・ツーファール(第一皇子、アイテル軍団の第一師団団長) リーヴィス・ツーファール(第三皇子、騎士団所属) オーティス・ツーファール(第四皇子、幻の皇女の弟) エデル・ツーファール(第五皇子、幻の皇女の弟) セリア・エミル(第二皇女、現エミル王国王妃) ローデリカ・ツーファール(第三皇女、ガリオンの妹、死亡) 幻の皇女(第四皇女、死産?) アナイス・ツーファール(第五皇女、ライナーの婚約者候補) ロタリオ(ライナーの従者) ウィリアム(伯爵家三男、アイテル軍団の第一師団副団長) レナード・ハーン(子爵令息) リナ(第二側妃、幻の皇女の母。魔女) ローザ(リナの侍女、魔女) ※フェッチ   力ある魔女の力が具現化したもの。その形は様々で魔女の性格や能力によって変化する。生き物のように視えていても力が形を成したもの。魔女が死亡、もしくは能力を失った時点で消滅する。  ある程度の力がある者達にしかフェッチは視えず、それ以外では気配や感覚でのみ感じる者もいる。

7年ぶりに私を嫌う婚約者と目が合ったら自分好みで驚いた

小本手だるふ
恋愛
真実の愛に気づいたと、7年間目も合わせない婚約者の国の第二王子ライトに言われた公爵令嬢アリシア。 7年ぶりに目を合わせたライトはアリシアのどストライクなイケメンだったが、真実の愛に憧れを抱くアリシアはライトのためにと自ら婚約解消を提案するがのだが・・・・・・。 ライトとアリシアとその友人たちのほのぼの恋愛話。 ※よくある話で設定はゆるいです。 誤字脱字色々突っ込みどころがあるかもしれませんが温かい目でご覧ください。

何も言わずメイドとして働いてこい!とポイされたら、成り上がり令嬢になりました

さち姫
恋愛
シャーリー・サヴォワは伯爵家の双子の妹として産まれた 。実の父と双子の姉、継母に毎日いじめられ、辛い日々を送っていた。特に綺麗で要領のいい双子の姉のいつも比べられ、卑屈になる日々だった。 そんな事ある日、父が、 何も言わず、メイドして働いてこい、 と会ったこともないのにウインザー子爵家に、ポイされる。 そこで、やっと人として愛される事を知る。 ウインザー子爵家で、父のお酒のおつまみとして作っていた料理が素朴ながらも大人気となり、前向きな自分を取り戻していく。 そこで知り合った、ふたりの男性に戸惑いながらも、楽しい三角関係が出来上がっていく。 やっと人間らしく過ごし始めたのに、邪魔をする家族。 その中で、ウインザー子爵の本当の姿を知る。 前に書いていたいた小説に加筆を加えました。ほぼ同じですのでご了承ください。 また、料理については個人的に普段作っているのをある程度載せていますので、深く突っ込むのはやめてくださいm(*_ _)m 第1部の加筆が終わったので、ここから毎日投稿致しますm(_ _)m

私と義弟の安全は確保出来たので、ゆっくり恋人を探そうと思います

織り子
恋愛
18歳で処刑された大公家の令嬢、セレノア・グレイス。 目を覚ますと――あの日の6年前に戻っていた。 まだ無邪気な弟ルシアン、笑う両親。 再び訪れる“反逆の運命”を知るのは、彼女だけ。 ――大公家に産まれた時点で、自由な恋愛は諦めていた。だが、本当は他の令嬢達の話を聞くたびにうらやましかった。人生1度きり。もう少し花のある人生を送りたかった。一度でいいから、恋愛をしてみたい。 限られた6年の中で、セレノアは動き出す。 愛する家族を守るため、未来を変えるために。 そして本当の願い(恋愛)を叶えるために。

薬師の能力を買われた嫁ぎ先は闇の仕事を請け負う一族でした

あねもね
恋愛
薬師として働くエリーゼ・バリエンホルムは貴族の娘。 しかし両親が亡くなって以降、叔父に家を追い出されていた。エリーゼは自分の生活と弟の学費を稼ぐために頑張っていたが、店の立ち退きを迫られる事態となる。同時期に、好意を寄せていたシメオン・ラウル・アランブール伯爵からプロポーズを申し込まれていたものの、その申し出を受けず、娼館に足を踏み入れることにした。 エリーゼが娼館にいることを知ったシメオンは、エリーゼを大金で身請けして屋敷に連れ帰る。けれどそこは闇の仕事を請け負う一族で、シメオンはエリーゼに毒薬作りを命じた。 薬師としての矜持を踏みにじられ、一度は泣き崩れたエリーゼだったが……。 ――私は私の信念で戦う。決して誰にも屈しない。