これは私の物語

笹乃笹世

文字の大きさ
80 / 687
3章 ダンジョンの街 オルディンシティ

3

しおりを挟む
「弟たちは、ロランとウィリムは無事ですか?」
「おう! 2人ともピンピンしてるし、ここに泊まるのに金が必要なら稼いでこなきゃって、元気に手伝いしてまわってんぞ」
「ウィリムは刃物の手入れが上手いし、ロランなんか、文句も言わずにずーっと1人で草むしりしてくれてなぁ。 ……個人的には1番助かってる」

 草むしりはねー……意外に体力使うのよ。 どうやったって足は痛くなるし。

「それに2人とも器用だよな? ウィリムは刃物研ぐの早いし、ロランは、むしったツタでカゴ編んできてよ……職人なのかと」

 ウィリムは解体場で働いてたから、そこの雑用はお手の物だろう。 ロランは……多分あの子の仕事、草むしり一択だったと思う。 大きい畑だったからなー。 今の時期なんか、むしった次の日に新しい草が生えてるなんて常識みたいなとこあるし――正直カゴ編みは、私より上手だと思う。 まだ速さでは勝てるけど……仕上がりはロランだ。

「2人ともちゃんとできてますか? ご迷惑はかけてませんか?」

 もしなにかあるなら我慢する前に言ってください、すぐに謝らせます。 街の警察と言っても過言ではない兵士さんたちとは、末長く良好な関係でいたいので!

「はは、心配すんな。 充分役に立ってるよ」
「さっきも言ったろ? こっちは大助かりなんだって! なぁちびすけ、兄ちゃんたち、毎日頑張ってるって話に来てくれるもんな?」

 その問いかけに、今までグズグスと泣いていたプリムが顔を上げ、泣き腫らした顔を面白くなさそうにしかめる。

「来てくれるけど……プリムはチビじゃないもん」
「おっ⁉︎ ようやく話せるようになったのか」
「はは、姉ちゃん起きて安心したんだよなー?」
「ぁ……」

 兵士たちの言葉に、プリムはハッとしたように口を押さえ、叱られる前の子供のように私を見つめる。

「……もう大丈夫だよ。 この人たち私たちを助けてくれるいい人だから」
「――そっか! ……? 姉ちゃんは言ってないのに?」
「……ん?」

 プリムの言いたいことがよく分からず、詳しい説明を求めるように首を傾げる。

「だって絶対に言えって……約束したのに」
「……ねー?」

 そこまで言われて、ようやくなんの話をしているのかを理解する。
 でもさプリム……この状態の姉ちゃんが『保護してください!』って今更言い始めるたら、このお兄さんたち相当戸惑うことになっちゃうけど……?

「……ダリアも言っとくか?」
「約束なら言っとかねぇとなぁ?」

 ――撤回。 相当面白がることになるみたい。
 ニヤニヤしやがって!
 でも、ここで言わなかったらずっとゴネるんだろうな……
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

【完結】婚約者なんて眼中にありません

らんか
恋愛
 あー、気が抜ける。  婚約者とのお茶会なのにときめかない……  私は若いお子様には興味ないんだってば。  やだ、あの騎士団長様、素敵! 確か、お子さんはもう成人してるし、奥様が亡くなってからずっと、独り身だったような?    大人の哀愁が滲み出ているわぁ。  それに強くて守ってもらえそう。  男はやっぱり包容力よね!  私も守ってもらいたいわぁ!    これは、そんな事を考えているおじ様好きの婚約者と、その婚約者を何とか振り向かせたい王子が奮闘する物語…… 短めのお話です。 サクッと、読み終えてしまえます。

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。 しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。 フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。 クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。 ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。 番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。 ご感想ありがとうございます!! 誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。 小説家になろう様に掲載済みです。

俺の可愛い幼馴染

SHIN
恋愛
俺に微笑みかける少女の後ろで、泣きそうな顔でこちらを見ているのは、可愛い可愛い幼馴染。 ある日二人だけの秘密の場所で彼女に告げられたのは……。 連載の気分転換に執筆しているので鈍いです。おおらかな気分で読んでくれると嬉しいです。 感想もご自由にどうぞ。 ただし、作者は木綿豆腐メンタルです。

【完結】恋につける薬は、なし

ちよのまつこ
恋愛
異世界の田舎の村に転移して五年、十八歳のエマは王都へ行くことに。 着いた王都は春の大祭前、庶民も参加できる城の催しでの出来事がきっかけで出会った青年貴族にエマはいきなり嫌悪を向けられ…

私を家から追い出した妹達は、これから後悔するようです

天宮有
恋愛
 伯爵令嬢の私サフィラよりも、妹エイダの方が優秀だった。  それは全て私の力によるものだけど、そのことを知っているのにエイダは姉に迷惑していると言い広めていく。  婚約者のヴァン王子はエイダの発言を信じて、私は婚約破棄を言い渡されてしまう。  その後、エイダは私の力が必要ないと思い込んでいるようで、私を家から追い出す。  これから元家族やヴァンは後悔するけど、私には関係ありません。

オネェ系公爵子息はたからものを見つけた

有川カナデ
恋愛
レオンツィオ・アルバーニは可愛いものと美しいものを愛する公爵子息である。ある日仲の良い令嬢たちから、第三王子とその婚約者の話を聞く。瓶底眼鏡にぎちぎちに固く結ばれた三編み、めいっぱい地味な公爵令嬢ニナ・ミネルヴィーノ。分厚い眼鏡の奥を見たレオンツィオは、全力のお節介を開始する。 いつも通りのご都合主義。ゆるゆる楽しんでいただければと思います。

「優秀な妹の相手は疲れるので平凡な姉で妥協したい」なんて言われて、受け入れると思っているんですか?

木山楽斗
恋愛
子爵令嬢であるラルーナは、平凡な令嬢であった。 ただ彼女には一つだけ普通ではない点がある。それは優秀な妹の存在だ。 魔法学園においても入学以来首位を独占している妹は、多くの貴族令息から注目されており、学園内で何度も求婚されていた。 そんな妹が求婚を受け入れたという噂を聞いて、ラルーナは驚いた。 ずっと求婚され続けても断っていた妹を射止めたのか誰なのか、彼女は気になった。そこでラルーナは、自分にも無関係ではないため、その婚約者の元を訪ねてみることにした。 妹の婚約者だと噂される人物と顔を合わせたラルーナは、ひどく不快な気持ちになった。 侯爵家の令息であるその男は、嫌味な人であったからだ。そんな人を婚約者に選ぶなんて信じられない。ラルーナはそう思っていた。 しかし彼女は、すぐに知ることとなった。自分の周りで、不可解なことが起きているということを。

処理中です...