これは私の物語

笹乃笹世

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6章 ヘソ曲がりとチョコレート

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「なんだよぉ……まるごと食いてぇって話しだったんじゃねぇのかよ?」
「――このパンはいつものより明らかにチーズが多い」
「えっ……?」
「あ、分かります! この割った時のチーズの量すごいですよね!」

 そんな会話の後、答えを求めるようにジッと見つめられる。

「――丸める前に足してます……少しですけど」

 ……逆に言うなら、それをやってるからちょっと手間がかかると言っても過言ではない。 

「ベーコンのも美味しいんだよ!」
「プリム、ジャムのが好き!」
「……ナッツすり潰したのがはさんであるやつも」

 なんで今のタイミングで自慢した……?

「……自分らばっかり良いもん食ってんじゃねぇかよ?」
「――自分たちの分だけだからこそ頑張れていると言いますか……」

 トニーさんの視線から逃れるように昨日の残り物のスープを口に運ぶ。 ちょっと熱かった……

 いや、ここにいる人たちの分くらいなら作る時間くらいあるけど――絶対優先順位は兵士たちが上なわけで、そうなると兵士たちの分まで作ることになるわけで……――つまりムリってこと。 西門だけで兵士が何人いると思ってんの? 2人で一個を分け合ったとしたって相当な量になりますからね⁉︎

「追加で2、3個焼くぐらい出来るだろー?」

 レオさんが冗談めかして言うが――

「――その2、3個を最初に渡すのは寄親だと思いますし……私たちの寄親、異常に多いんですよね……」

 数は力だ。 数の多さは正義になるだって法にだってなり得る……でも多すぎることで発生する問題だってある。

「……多いよなぁ?」
「――先に食ったと知られたら、何言われるか……」

 レオさんは呆れたように苦笑いを浮かべ、トニーさんは面白くなさそうに鼻を鳴らした。
 ……あれ? これ大工さんたちはともかく、トニーさんたちに出したの間違いだったんじゃ……?
 私が少し後悔し始めたタイミングで親方が静かに口を開いた。

「……ダリア。 その寄親と話せるか?」
「あー……私たちの勉強を見てくれるはずなので宿舎に行けば会えると思いますけど……?」

 私の言葉に小さく頷き、ウインナーにかぶりつく親方。
 説明を求めるように他の大工さん――親方の息子さんやお弟子さんたちに視線を向けるが、不思議そうな顔で小さく首を傾げられただけだったし、なんなら息子さんが「なんのようだよ?」とたずねても「仕事の話だ」としか答えなかった。

 結局親方は、壁の修理は息子さんたちに任せ、宿舎に向かう私たちに同行した。 そしてエルベルトさんとしばらくなにかを話し合い――
 エルベルトさんから呼ばれ、前置きも無しにうちの修繕工事が決まったと告げられた。
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