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「だいぶ馴染んだようだな?」
屋敷への帰り道、いつものように馬車に揺られていると、向かい側に座っていたエド様に、そう話をかけられた。
その顔には、薄っすらとではあったが
、優しい笑みが浮かんでいて(ああ……本当に馴染めたんだなぁ……)と、実感しつつ、その嬉しさを噛み締める。
「皆さんが良くしてくれますから……」
ニンマリと緩む頬を誤魔化すように、手で口元を隠しつつ、当たり障りのない言葉で答える。
「ーー貴女も、良くやっていると聞く」
「……ーーそれは、私が稼がないとお屋敷が直らないから……」
急に現実を突きつけられた私は、癒しのイケメンタイムを強制終了させ、馬車の窓の外、そしてさらにその奥に視線をやりつつため息混じりに答えた。
ーー私の今の自宅。
強制的に収容された、一人で住むには十分すぎるほどに大きな屋敷……
その屋敷は、建物も庭も十分に広く、真っ白な壁に赤茶色の屋根、そして大きな噴水がある、それはとてもとても素敵なお屋敷だったのだがーー
……中身がねー。
外見はまだマシなのよ。 遠くから見る分には十分に綺麗なの。
……でも一歩中に入ると、廊下の絨毯は擦り切れてぼろぼろ。
壁紙は限界を迎え、風が吹くだけで何ポロポロと落ちてくる。
……数人のメイドさんたちがずっと掃き掃除をしているのは、絶対にこのせいだと思ってる。
壁や天井に使っている板材が、経年劣化により縮んでしまったからなのか、屋敷のそこかしこで隙間風や雨漏りが発生している。
うちの執事なんか、仕事量的には屋敷の修理屋と言っても過言ではない……
ーーしっかりお金貯めて、応急処置ではない、修理をしないと、うちの使用人さんたちが過労死しちゃう!
「……侯爵家は未だに?」
私の様子にエド様は少し気まずげに視線を揺らし、言葉を濁しつつたずねた。
「……私、こっちに来てすぐに父と兄弟のプライベートなことを暴露してしまって……まだ怒られてるみたいです……」
まったく! 金払いが悪いったらないよねっ⁉︎
私の生活費が、全然送られてこないとかある⁉︎
「……でもその代わり、母におねだりしたら古くなった宝石やドレスを送ってくれたので、それを売って食いつないでます!」
お母様はお父様に新しいのをたくさん買ってもらったみたいだからねっ‼︎
でも欲を言うなら現金が良かったです、お母様!
「食い……」
私の答えを聞いたエド様が、ヒクリ……と頬をひきつらせながらも、無理矢理な愛想笑いを貼り付ける。
おっとやっちゃったよ……またお言葉がお乱に……
「ーー日々をつつがなく過ごしておりますの」
うふふーっと、大袈裟なほどこ笑顔を浮かべて、首をかしげてみせた。
ーー本当、動きだけは相変わらず完璧な対応のご令嬢なんだよなぁ。
「……そうか。 しかし屋敷の修復作業も、イルメラ嬢自ら手を貸してしていると聞いたが?」
「それは、まぁ……?」
だって、みんなせっせとお屋敷を掃除して修理してくれてるのに、お金も引っ張れない私がやらないとか……
そのせいで誰かが倒れでもしたら、どうすればいいのかと……ーーいや、回復魔法はかけるけどさぁ……
屋敷への帰り道、いつものように馬車に揺られていると、向かい側に座っていたエド様に、そう話をかけられた。
その顔には、薄っすらとではあったが
、優しい笑みが浮かんでいて(ああ……本当に馴染めたんだなぁ……)と、実感しつつ、その嬉しさを噛み締める。
「皆さんが良くしてくれますから……」
ニンマリと緩む頬を誤魔化すように、手で口元を隠しつつ、当たり障りのない言葉で答える。
「ーー貴女も、良くやっていると聞く」
「……ーーそれは、私が稼がないとお屋敷が直らないから……」
急に現実を突きつけられた私は、癒しのイケメンタイムを強制終了させ、馬車の窓の外、そしてさらにその奥に視線をやりつつため息混じりに答えた。
ーー私の今の自宅。
強制的に収容された、一人で住むには十分すぎるほどに大きな屋敷……
その屋敷は、建物も庭も十分に広く、真っ白な壁に赤茶色の屋根、そして大きな噴水がある、それはとてもとても素敵なお屋敷だったのだがーー
……中身がねー。
外見はまだマシなのよ。 遠くから見る分には十分に綺麗なの。
……でも一歩中に入ると、廊下の絨毯は擦り切れてぼろぼろ。
壁紙は限界を迎え、風が吹くだけで何ポロポロと落ちてくる。
……数人のメイドさんたちがずっと掃き掃除をしているのは、絶対にこのせいだと思ってる。
壁や天井に使っている板材が、経年劣化により縮んでしまったからなのか、屋敷のそこかしこで隙間風や雨漏りが発生している。
うちの執事なんか、仕事量的には屋敷の修理屋と言っても過言ではない……
ーーしっかりお金貯めて、応急処置ではない、修理をしないと、うちの使用人さんたちが過労死しちゃう!
「……侯爵家は未だに?」
私の様子にエド様は少し気まずげに視線を揺らし、言葉を濁しつつたずねた。
「……私、こっちに来てすぐに父と兄弟のプライベートなことを暴露してしまって……まだ怒られてるみたいです……」
まったく! 金払いが悪いったらないよねっ⁉︎
私の生活費が、全然送られてこないとかある⁉︎
「……でもその代わり、母におねだりしたら古くなった宝石やドレスを送ってくれたので、それを売って食いつないでます!」
お母様はお父様に新しいのをたくさん買ってもらったみたいだからねっ‼︎
でも欲を言うなら現金が良かったです、お母様!
「食い……」
私の答えを聞いたエド様が、ヒクリ……と頬をひきつらせながらも、無理矢理な愛想笑いを貼り付ける。
おっとやっちゃったよ……またお言葉がお乱に……
「ーー日々をつつがなく過ごしておりますの」
うふふーっと、大袈裟なほどこ笑顔を浮かべて、首をかしげてみせた。
ーー本当、動きだけは相変わらず完璧な対応のご令嬢なんだよなぁ。
「……そうか。 しかし屋敷の修復作業も、イルメラ嬢自ら手を貸してしていると聞いたが?」
「それは、まぁ……?」
だって、みんなせっせとお屋敷を掃除して修理してくれてるのに、お金も引っ張れない私がやらないとか……
そのせいで誰かが倒れでもしたら、どうすればいいのかと……ーーいや、回復魔法はかけるけどさぁ……
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