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使者にご退出願ったあとの応接室。
隣に座っていたエド様は、身体ごと私の方に向き直ると、かしこまった態度で声をかけてくる。
「イルメラ嬢、私が言えた立場ではないが……そこまで気を使わなくても……」
そう気まずげに顔を顰めるエド様。
ーーでもさ? 私わりと本気で、今の私があるのってエド様のおかげだと思ってるんだよねー。
私を拒まず受け入れてくれなきゃ、このお屋敷に住めてないし、騎士団で雇ってくれなきゃ、ここまで回復魔法を扱えるようになんてなってなかっただろうし……
ーーだから私がエド様に気を使うのとか、当たり前みたいなとこあるんだよねー。
ーー……そして、私はわりと確信しているんですけどね?
今回の件で誰よりも私に気をつかわなくちゃいけないのは実の父親なんですよ……? 全く使ってこないけどねっ!
……反面教師にするもん。
私は他人に気をつかえる子になるもん!
ーーそもそも、この結論自体、誰に強要されたものでもないし。
色んなものを天秤にかけた結果がこうなったってだけで、私にとってはベストな判断だ。
「ーー私はここが好きです。 お屋敷の皆も騎士団の皆もーー優しくて親切なご近所さんたちも。 だからエド様やバジーレ領に迷惑をかけるつもりはありませんし、本当にさっき出した条件で満足なんですよ」
なんたって、現役侯爵令嬢も嫌がる要求だもん。 ……かろうじての現役、だけどー。
「ありがとうございます! ありがとうございますっ‼︎」
その言葉と同時に、モンティー商会のご夫婦は二人揃って私の前に走り寄ってくると、何度も何度も頭を下げる。
「あー……ーー先に私を助けてくれたのは女将さんたちの方ですし……ーーお茶会での話題を鵜呑みにして暴走したレベッカ嬢が全面的に悪いと思いますし……」
お茶会って言われると“すごく格式の高いもの”みたいなイメージになるけど、結局は茶飲み話なわけですよ。
元の世界に置き換えるなら、学校帰りに友達とマックや公園で食っちゃべってる時の会話みたいなものなわけで……
ーーそれで、あの大暴走とかヤバすぎでしょ……
……そんな女の侍女として入学って行為が罰ゲームに見えるレベル……
ーー頑張れ……エミリーちゃん超頑張れ……!
「お嬢様……」
「ありがとうございます、ありがとうございまずぅ……!」
夫妻は、安堵からか謝罪の気持ちからなのか、互いに手を取り合い、その場に膝を付きながら涙ながらに言った。
「ーーおかみさんたちは、化粧水沢山売ってくれればそれでいいから! あと……あんまりエミリーちゃんを叱らないであげて?」
この世界の教育方法バグってるんだよ……
言葉が通じる相手を叱ってるのに、ムチだのロープだの持ち出すんですよ……?
そんなん教育じゃなくて拷問だって……
ーーしかも今回の騒動は貴族に被害を出しちゃってるから、お店が無くなるどころか、命まで失いかねない大事件なので……かなり叱られる可能性が……
「お嬢様……しかし……」
「ーームチで叩かれなくても、口で言えば分かりますから……」
「ーーーーはい?」
私の言葉に長い沈黙の後、おかみさんはポカン……と呆けた顔で私を見上げて首を傾げた。
ーー待って?
え、待って⁇
……もしかして……ウチだけ……?
私の常識は皆さんの非常識だったりしますか……⁇
「……お嬢様のお達しですよ?」
気がついてしまった事実に愕然としていると、場の収集をつけるためか、ジーノさんがそっと気づかうような声でおかみさん達に返事を促した。
「ーーはっはい! その通りに‼︎」
条件反射のようにコクコクと頷き合い、愛想笑いを浮かべるご夫妻。
……これは本格的に私の常識が間違っているんだな……?
隣に座っていたエド様は、身体ごと私の方に向き直ると、かしこまった態度で声をかけてくる。
「イルメラ嬢、私が言えた立場ではないが……そこまで気を使わなくても……」
そう気まずげに顔を顰めるエド様。
ーーでもさ? 私わりと本気で、今の私があるのってエド様のおかげだと思ってるんだよねー。
私を拒まず受け入れてくれなきゃ、このお屋敷に住めてないし、騎士団で雇ってくれなきゃ、ここまで回復魔法を扱えるようになんてなってなかっただろうし……
ーーだから私がエド様に気を使うのとか、当たり前みたいなとこあるんだよねー。
ーー……そして、私はわりと確信しているんですけどね?
今回の件で誰よりも私に気をつかわなくちゃいけないのは実の父親なんですよ……? 全く使ってこないけどねっ!
……反面教師にするもん。
私は他人に気をつかえる子になるもん!
ーーそもそも、この結論自体、誰に強要されたものでもないし。
色んなものを天秤にかけた結果がこうなったってだけで、私にとってはベストな判断だ。
「ーー私はここが好きです。 お屋敷の皆も騎士団の皆もーー優しくて親切なご近所さんたちも。 だからエド様やバジーレ領に迷惑をかけるつもりはありませんし、本当にさっき出した条件で満足なんですよ」
なんたって、現役侯爵令嬢も嫌がる要求だもん。 ……かろうじての現役、だけどー。
「ありがとうございます! ありがとうございますっ‼︎」
その言葉と同時に、モンティー商会のご夫婦は二人揃って私の前に走り寄ってくると、何度も何度も頭を下げる。
「あー……ーー先に私を助けてくれたのは女将さんたちの方ですし……ーーお茶会での話題を鵜呑みにして暴走したレベッカ嬢が全面的に悪いと思いますし……」
お茶会って言われると“すごく格式の高いもの”みたいなイメージになるけど、結局は茶飲み話なわけですよ。
元の世界に置き換えるなら、学校帰りに友達とマックや公園で食っちゃべってる時の会話みたいなものなわけで……
ーーそれで、あの大暴走とかヤバすぎでしょ……
……そんな女の侍女として入学って行為が罰ゲームに見えるレベル……
ーー頑張れ……エミリーちゃん超頑張れ……!
「お嬢様……」
「ありがとうございます、ありがとうございまずぅ……!」
夫妻は、安堵からか謝罪の気持ちからなのか、互いに手を取り合い、その場に膝を付きながら涙ながらに言った。
「ーーおかみさんたちは、化粧水沢山売ってくれればそれでいいから! あと……あんまりエミリーちゃんを叱らないであげて?」
この世界の教育方法バグってるんだよ……
言葉が通じる相手を叱ってるのに、ムチだのロープだの持ち出すんですよ……?
そんなん教育じゃなくて拷問だって……
ーーしかも今回の騒動は貴族に被害を出しちゃってるから、お店が無くなるどころか、命まで失いかねない大事件なので……かなり叱られる可能性が……
「お嬢様……しかし……」
「ーームチで叩かれなくても、口で言えば分かりますから……」
「ーーーーはい?」
私の言葉に長い沈黙の後、おかみさんはポカン……と呆けた顔で私を見上げて首を傾げた。
ーー待って?
え、待って⁇
……もしかして……ウチだけ……?
私の常識は皆さんの非常識だったりしますか……⁇
「……お嬢様のお達しですよ?」
気がついてしまった事実に愕然としていると、場の収集をつけるためか、ジーノさんがそっと気づかうような声でおかみさん達に返事を促した。
「ーーはっはい! その通りに‼︎」
条件反射のようにコクコクと頷き合い、愛想笑いを浮かべるご夫妻。
……これは本格的に私の常識が間違っているんだな……?
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