1 / 55
1
しおりを挟む
『――お前の目、私とおんなじね……お前は他の子に意地悪されたりしてない?』
ひざの上に、大きな猫ほどの真っ白な子龍を抱きかかえながら、少女は涙でにじむ金色の瞳を白龍に向けた。
『 ……いいなぁ……私と同じ目でもお前はイジメられたりしないんだね……――いいなぁ……』
そう言って悲しげな微笑みを浮かべた少女は、そのまま静かにポロポロと涙をこぼす。
そんな少女に、白龍はゆっくりと頭を持ち上げると、そのほほにそっと頭を寄せた。
そして元気付けるように、その頭を何度も優しくこすりつける。
『……なぁに? お前、慰めてくれてるの? ふふっ……ありがと。 ――なんかちょっと元気出て来た! そうだ、嬉しかったからお礼にお歌を歌ってあげる!』
くすぐったそうにクスクスと笑い出した少女は、涙で濡れていたほほを、クリーム色の漢服によく似た服の長い袖で乱暴に拭うと「どれが良いかなー?」と、鼻歌を歌いながら、あれこれと迷い始める。
白龍はそんな少女を見つめ、ホッとしたように大きく息をつく。
そして少女のひざの上からスルリ……と下りると、少女が座る木の根元、そこに生えるフカフカな草の上にくるりと身を丸め、ご機嫌に鼻歌を歌っている少女を見守っていた。
やがてその鼻歌がきちんとした歌になり、少女が気持ちよさそうに歌い始めると、もう一度大きく息をつき、少女とよく似た色合いの金の瞳を静かに閉ざした。
その姿は、ただ寝てしまったようにも見えだが……ーーまるで目を閉じて少女の歌にじっくりと聞きいっているようにも見えたのだったーー
ひざの上に、大きな猫ほどの真っ白な子龍を抱きかかえながら、少女は涙でにじむ金色の瞳を白龍に向けた。
『 ……いいなぁ……私と同じ目でもお前はイジメられたりしないんだね……――いいなぁ……』
そう言って悲しげな微笑みを浮かべた少女は、そのまま静かにポロポロと涙をこぼす。
そんな少女に、白龍はゆっくりと頭を持ち上げると、そのほほにそっと頭を寄せた。
そして元気付けるように、その頭を何度も優しくこすりつける。
『……なぁに? お前、慰めてくれてるの? ふふっ……ありがと。 ――なんかちょっと元気出て来た! そうだ、嬉しかったからお礼にお歌を歌ってあげる!』
くすぐったそうにクスクスと笑い出した少女は、涙で濡れていたほほを、クリーム色の漢服によく似た服の長い袖で乱暴に拭うと「どれが良いかなー?」と、鼻歌を歌いながら、あれこれと迷い始める。
白龍はそんな少女を見つめ、ホッとしたように大きく息をつく。
そして少女のひざの上からスルリ……と下りると、少女が座る木の根元、そこに生えるフカフカな草の上にくるりと身を丸め、ご機嫌に鼻歌を歌っている少女を見守っていた。
やがてその鼻歌がきちんとした歌になり、少女が気持ちよさそうに歌い始めると、もう一度大きく息をつき、少女とよく似た色合いの金の瞳を静かに閉ざした。
その姿は、ただ寝てしまったようにも見えだが……ーーまるで目を閉じて少女の歌にじっくりと聞きいっているようにも見えたのだったーー
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
28
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる