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(……その石……?)
そして帆はその首飾りを手に取るとブチリと引きちぎりながら紫釉へと近づいていく。
細い鎖を手に巻き付ける帆の表情は春鈴には見えなくなってしまったが、その背中が紫釉を全力で警戒していることぐらいは分かった。
そんな帆の後ろ姿を見つめていた春鈴は、昨夜のガボクとの会話を思い出していた――
『……そういえば、石宝族って覚えてるか? 龍族に村潰されたってうわさの……』
『ああ、呪いで人王様を病気にしたっていう……』
『――ここにも何人か入り込んでるみたいだぞ』
『……襲撃仲間の中にいたってこと?』
『いや働いてるっぽかったな』
『……ほんとぉ? なんで分かったの?』
『本当だって! 実はあいつらを見分けるのにコツがあるって教えてもらったんだよ』
『――コツ?』
『全員、蛍色に光る石ぶら下げてんだとよ。 あ、普段は白っぽい石なんだけどな?』
(――蛍色に光る石ー⁉︎)
「――やめてっ!」
春鈴は後ろから帆に体当たりをするように押しのけると、そのまま紫釉との間にその身体を割り込ませた。
「っ春鈴様……?」
戸惑うような声を上げた帆を睨みつけながら、春鈴は混乱する頭を必死に回転させていた。
(……えっ⁉︎ この人はなに⁉︎ 凛風みたいに龍族のふりしてる人間なの⁉︎)
「っちょっと! ぶっ倒れてる場合じゃ無いんだけど! 起きてっ!」
春鈴は印を結びながら紫釉に向かって大声を出す。
(蒼嵐……! 助けて!)
そして一匹の桃色の蝶の形をした式を出現させると、短い伝言を持たせてすぐさま飛び立たせた。
帆はそれを怪訝そうな顔で見つめていたが、すぐに興味をなくしたように倒れ伏した紫釉に視線を向けた。
春鈴はその視線を遮るように身体を移動させると、ゴクリとつばを飲み込んで帆を見据えた。
眉をひそめた帆と目が合いビクリと肩を震わせる春鈴だったがグッと力をこめてその場に踏みとどまる。
「――ぅあ……」
その時、床に崩れ落ちている紫釉の口からうめき声がもれ、ギシギシと音を立てながら身体を起こしているのが分かった。
「起きた⁉︎ 起きたのね⁉︎ ならここから逃げるわよ!」
「なっ⁉︎ お待ちください危険です! その姿は暴走の兆し! 早くこちらを‼︎」
春鈴の言葉に慌てた少年はそう言いながら、紫釉に向かって手を差し伸べながら懇願するように言う。
(もっともらしいこと言いやがって……)
その手をジッと睨みつける春鈴。
良く分からなかったが、帆が手に持つ石を紫釉に近づけようとするならば、それをさせてはいけないんだろうと考えていた。
「どいてください! ――貴女を傷つけてしまったら紫釉様は戻れなくなるっ!」
紫釉に近づくのを阻止しようと動く春鈴に焦った帆は、春鈴を捕まえようとその腕に手を伸ばした。
「――殺そうとしたくせにっ!」
春鈴は後ずさりながらもその手を払いのけ、怒鳴るように言い返した。
「……はぁ⁉︎ 何を馬鹿なことをっ! 暴走龍の恐ろしさを知らないのですか⁉︎」
(暴走龍の恐ろしさ――……やば……大爆発するんじゃなかった⁉︎ ――でもどうしよう、どいたら紫釉様殺されちゃう……いや、ここで殺したら私まで口封じされるんじゃ――⁉︎)
「――ちょっと聞いてる、そこの変態龍!」
「へ――っ⁉︎」
背後から衝撃を受けたような紫釉の声が聞こえてきた。
「あんた私の目が好きなのよね⁉︎ 私の目が欲しいんでしょ⁉︎」
「あ、ああ……?」
「あんたが爆発したら木っ端微塵だからね! あんたの月バッラバラのひき肉状態だからねっ!」
「ば……ばらばら……?」
「それが嫌だったら気合い入れて暴走すんじゃないわよ⁉︎」
「ああ……」
「――ついさっき、私を守るって言ったよね⁉︎ だったら気合入れてしゃんとしなさいよ⁉︎」
「――……月光? ――っあ、あぐぅっ……あああああっ!」
背後から聞こえる、紫釉の苦しそうな唸り声がどんどん大きくなっていく。
「――早く逃げてください⁉︎」
帆は顔色を悪くしながらも春鈴に向かって必死に言うが、紫釉の様子に暴走の危険を感じてそれ以上近づけないようだった。
(――ばっちゃ……!)
春鈴は胸元のお守りをギュッと握りしめ、祖母のことを思い自身を奮い立たせる。
――そして祖母に言われた言葉を思い出していた。
『――龍族に酷いことをされそうになったら、それでぶっ刺しておやり!』
(――……さすがに刺せないけど……)
「これあげるからっ!」
春鈴は紫釉のそばにしゃがみ込むと、自分の頭からかんざしを引き抜き、鋭い爪が伸びはじめている紫釉の手にそのかんざしを握らせた。
「ぐうっ……あっ……――あっ、ぁ……? 私の月……?」
かんざしを握りしめ、少しだけ自我を取り戻した紫釉に春鈴は再び声をかける。
「月でも星でも何でもいいからしゃんとしてっ! 爆発してる場合じゃないの!」
「――月の君……私の月光。 ――ここにいたんだね?」
紫釉はうっとりとした声を上げて、かんざしにほおずりしながら大きく息をついた。
(――私はずっとここにいたんですけどねー⁉︎)
思わずジロリと紫釉を睨みつけた春鈴だったが、両手で握りしめたかんざしを大切そうに胸に抱きしめる姿に毒気を抜かれた。
次の瞬間――
紫釉が抱きしめたかんざしが、ぽぅ……っと輝きはじめ紫釉の周りにふわりふわり……と蛍のような光がいくつも舞い上がり始める。
「え……蛍……?」
なぜそんなことが起こったのか分からず、少しな間呆然とその光景を見つめていると、その無数の光に包まれじわじわと元の色に変ってゆく紫釉がいた。
そして――
大切そうに抱きしめているその胸元のかんざしがより一層強く光り輝いていた。
なぜ……? と疑問に思っているとかんざしの組紐飾りがシュルリ……と解け、その中から黄緑色に光り輝くとても大きな石が姿を現したのだった――
「――え……?」
(なんで? なんでその石がかんざしに……? ……え、でもこの石って龍族呪っちゃう人たちが持ってる石なんでしょ? ……あの大臣そんなこと言ってたじゃん! この石持ってたら全員仲間だって……――え、どういう事なの⁉︎)
「し……紫釉様! 良かった……本当にっ!」
混乱する春鈴の隣を駆け抜け紫釉に縋りついた帆は、その目に涙を浮かべながら紫釉の色が元に戻ったことを喜んでいた。
「――心配を……かけたな?」
少し咳き込みながらも、身を起こし笑顔を浮かべている紫釉。
(――待って? この帆って人は石宝村の関係者。 だって石を持ってるから。 ――でも完全に龍族で……いや、でも石を持ってるなら……石宝村の人……? ――ってことはやっぱり……)
「……人間?」
春鈴は頭の周りに疑問符をたくさん飛ばしながら、どう見ても龍族にしか見えない帆を見つめながら首を傾げる。
「――春鈴様は、だいぶ考え違いをなさっているようで……」
帆は涙をふきながら、困ったように苦笑いを浮かべながら言った。
「……帆は私の遠縁の者でね。 まだ若いがなかなかに優秀な子なんだよ?」
「え、親戚……?」
「ああ。頼りになる子なんだ」
(――つまりは正真正銘の龍族で……?)
「――春鈴、このかんざしは……本当に貰って構わないのだろうか……?」
「え、あー……うん。いいよ」
(あげるから爆発しないでって言ったのは私だし……――ちょっと惜しいけど……ここで爆発されるより全然マシ、だよね……?)
「――ありがとう……これがあれば、もう暴走なんて起こさない気がするよ」
そう言った紫釉が再びかんざしを撫でると、ポウ……とかんざしが蛍色の光を出現させる。
「――そういえばなんであのかんざし……?」
(……――あれはばっちゃがくれたお守りなんだから、その石だってばっちゃが用意したもので……つまりは――ばっちゃまでもが、石宝村の……⁉︎)
混乱する春鈴の耳に紫釉の感心したような声が届く。
「ああ……このかんざしにも星雫石が使われていたのか……――なるほど、正真正銘の春鈴のお守りだったのだな……」
(えっ……? じゃあ危ない時に使えって、石宝村の人たちに殺されそうになったら、これを見せてアピールしなさいねってこと⁉︎ わかりにくいにもほどがある⁉︎ 私半分くらい本気で刺して使うもんだと思ってたよ! これ本当に刺してたら「本気にするやつがいるかい!」っ怒られるやつじゃん……!)
「――新しいものはすぐに用意するゆえ、少し待っていておくれ?」
「あ、はい……――紫釉様も宝石商から買えるんです……?」
(……この帆って人と親族で、すぐに用意できるってことは……――やっぱりあの大臣と話してた宝石商に用意してもらうってことだよね……? 特別な人にしか売らない石だって聞いてますけど⁉︎)
「いや……この石はもう売られてはいまい……――取り尽くしてしまったからなぁ……」
聞こえてきた言葉に春鈴の動きがピタリと止まる。
「……え?」
『龍族のせいで村を取り上げられた一族がいる――』
(――そうだよ……その村の石を欲しがってたのは龍族で……――つまり、取り尽くしたほうの人だあぁぁっ!)
そして帆はその首飾りを手に取るとブチリと引きちぎりながら紫釉へと近づいていく。
細い鎖を手に巻き付ける帆の表情は春鈴には見えなくなってしまったが、その背中が紫釉を全力で警戒していることぐらいは分かった。
そんな帆の後ろ姿を見つめていた春鈴は、昨夜のガボクとの会話を思い出していた――
『……そういえば、石宝族って覚えてるか? 龍族に村潰されたってうわさの……』
『ああ、呪いで人王様を病気にしたっていう……』
『――ここにも何人か入り込んでるみたいだぞ』
『……襲撃仲間の中にいたってこと?』
『いや働いてるっぽかったな』
『……ほんとぉ? なんで分かったの?』
『本当だって! 実はあいつらを見分けるのにコツがあるって教えてもらったんだよ』
『――コツ?』
『全員、蛍色に光る石ぶら下げてんだとよ。 あ、普段は白っぽい石なんだけどな?』
(――蛍色に光る石ー⁉︎)
「――やめてっ!」
春鈴は後ろから帆に体当たりをするように押しのけると、そのまま紫釉との間にその身体を割り込ませた。
「っ春鈴様……?」
戸惑うような声を上げた帆を睨みつけながら、春鈴は混乱する頭を必死に回転させていた。
(……えっ⁉︎ この人はなに⁉︎ 凛風みたいに龍族のふりしてる人間なの⁉︎)
「っちょっと! ぶっ倒れてる場合じゃ無いんだけど! 起きてっ!」
春鈴は印を結びながら紫釉に向かって大声を出す。
(蒼嵐……! 助けて!)
そして一匹の桃色の蝶の形をした式を出現させると、短い伝言を持たせてすぐさま飛び立たせた。
帆はそれを怪訝そうな顔で見つめていたが、すぐに興味をなくしたように倒れ伏した紫釉に視線を向けた。
春鈴はその視線を遮るように身体を移動させると、ゴクリとつばを飲み込んで帆を見据えた。
眉をひそめた帆と目が合いビクリと肩を震わせる春鈴だったがグッと力をこめてその場に踏みとどまる。
「――ぅあ……」
その時、床に崩れ落ちている紫釉の口からうめき声がもれ、ギシギシと音を立てながら身体を起こしているのが分かった。
「起きた⁉︎ 起きたのね⁉︎ ならここから逃げるわよ!」
「なっ⁉︎ お待ちください危険です! その姿は暴走の兆し! 早くこちらを‼︎」
春鈴の言葉に慌てた少年はそう言いながら、紫釉に向かって手を差し伸べながら懇願するように言う。
(もっともらしいこと言いやがって……)
その手をジッと睨みつける春鈴。
良く分からなかったが、帆が手に持つ石を紫釉に近づけようとするならば、それをさせてはいけないんだろうと考えていた。
「どいてください! ――貴女を傷つけてしまったら紫釉様は戻れなくなるっ!」
紫釉に近づくのを阻止しようと動く春鈴に焦った帆は、春鈴を捕まえようとその腕に手を伸ばした。
「――殺そうとしたくせにっ!」
春鈴は後ずさりながらもその手を払いのけ、怒鳴るように言い返した。
「……はぁ⁉︎ 何を馬鹿なことをっ! 暴走龍の恐ろしさを知らないのですか⁉︎」
(暴走龍の恐ろしさ――……やば……大爆発するんじゃなかった⁉︎ ――でもどうしよう、どいたら紫釉様殺されちゃう……いや、ここで殺したら私まで口封じされるんじゃ――⁉︎)
「――ちょっと聞いてる、そこの変態龍!」
「へ――っ⁉︎」
背後から衝撃を受けたような紫釉の声が聞こえてきた。
「あんた私の目が好きなのよね⁉︎ 私の目が欲しいんでしょ⁉︎」
「あ、ああ……?」
「あんたが爆発したら木っ端微塵だからね! あんたの月バッラバラのひき肉状態だからねっ!」
「ば……ばらばら……?」
「それが嫌だったら気合い入れて暴走すんじゃないわよ⁉︎」
「ああ……」
「――ついさっき、私を守るって言ったよね⁉︎ だったら気合入れてしゃんとしなさいよ⁉︎」
「――……月光? ――っあ、あぐぅっ……あああああっ!」
背後から聞こえる、紫釉の苦しそうな唸り声がどんどん大きくなっていく。
「――早く逃げてください⁉︎」
帆は顔色を悪くしながらも春鈴に向かって必死に言うが、紫釉の様子に暴走の危険を感じてそれ以上近づけないようだった。
(――ばっちゃ……!)
春鈴は胸元のお守りをギュッと握りしめ、祖母のことを思い自身を奮い立たせる。
――そして祖母に言われた言葉を思い出していた。
『――龍族に酷いことをされそうになったら、それでぶっ刺しておやり!』
(――……さすがに刺せないけど……)
「これあげるからっ!」
春鈴は紫釉のそばにしゃがみ込むと、自分の頭からかんざしを引き抜き、鋭い爪が伸びはじめている紫釉の手にそのかんざしを握らせた。
「ぐうっ……あっ……――あっ、ぁ……? 私の月……?」
かんざしを握りしめ、少しだけ自我を取り戻した紫釉に春鈴は再び声をかける。
「月でも星でも何でもいいからしゃんとしてっ! 爆発してる場合じゃないの!」
「――月の君……私の月光。 ――ここにいたんだね?」
紫釉はうっとりとした声を上げて、かんざしにほおずりしながら大きく息をついた。
(――私はずっとここにいたんですけどねー⁉︎)
思わずジロリと紫釉を睨みつけた春鈴だったが、両手で握りしめたかんざしを大切そうに胸に抱きしめる姿に毒気を抜かれた。
次の瞬間――
紫釉が抱きしめたかんざしが、ぽぅ……っと輝きはじめ紫釉の周りにふわりふわり……と蛍のような光がいくつも舞い上がり始める。
「え……蛍……?」
なぜそんなことが起こったのか分からず、少しな間呆然とその光景を見つめていると、その無数の光に包まれじわじわと元の色に変ってゆく紫釉がいた。
そして――
大切そうに抱きしめているその胸元のかんざしがより一層強く光り輝いていた。
なぜ……? と疑問に思っているとかんざしの組紐飾りがシュルリ……と解け、その中から黄緑色に光り輝くとても大きな石が姿を現したのだった――
「――え……?」
(なんで? なんでその石がかんざしに……? ……え、でもこの石って龍族呪っちゃう人たちが持ってる石なんでしょ? ……あの大臣そんなこと言ってたじゃん! この石持ってたら全員仲間だって……――え、どういう事なの⁉︎)
「し……紫釉様! 良かった……本当にっ!」
混乱する春鈴の隣を駆け抜け紫釉に縋りついた帆は、その目に涙を浮かべながら紫釉の色が元に戻ったことを喜んでいた。
「――心配を……かけたな?」
少し咳き込みながらも、身を起こし笑顔を浮かべている紫釉。
(――待って? この帆って人は石宝村の関係者。 だって石を持ってるから。 ――でも完全に龍族で……いや、でも石を持ってるなら……石宝村の人……? ――ってことはやっぱり……)
「……人間?」
春鈴は頭の周りに疑問符をたくさん飛ばしながら、どう見ても龍族にしか見えない帆を見つめながら首を傾げる。
「――春鈴様は、だいぶ考え違いをなさっているようで……」
帆は涙をふきながら、困ったように苦笑いを浮かべながら言った。
「……帆は私の遠縁の者でね。 まだ若いがなかなかに優秀な子なんだよ?」
「え、親戚……?」
「ああ。頼りになる子なんだ」
(――つまりは正真正銘の龍族で……?)
「――春鈴、このかんざしは……本当に貰って構わないのだろうか……?」
「え、あー……うん。いいよ」
(あげるから爆発しないでって言ったのは私だし……――ちょっと惜しいけど……ここで爆発されるより全然マシ、だよね……?)
「――ありがとう……これがあれば、もう暴走なんて起こさない気がするよ」
そう言った紫釉が再びかんざしを撫でると、ポウ……とかんざしが蛍色の光を出現させる。
「――そういえばなんであのかんざし……?」
(……――あれはばっちゃがくれたお守りなんだから、その石だってばっちゃが用意したもので……つまりは――ばっちゃまでもが、石宝村の……⁉︎)
混乱する春鈴の耳に紫釉の感心したような声が届く。
「ああ……このかんざしにも星雫石が使われていたのか……――なるほど、正真正銘の春鈴のお守りだったのだな……」
(えっ……? じゃあ危ない時に使えって、石宝村の人たちに殺されそうになったら、これを見せてアピールしなさいねってこと⁉︎ わかりにくいにもほどがある⁉︎ 私半分くらい本気で刺して使うもんだと思ってたよ! これ本当に刺してたら「本気にするやつがいるかい!」っ怒られるやつじゃん……!)
「――新しいものはすぐに用意するゆえ、少し待っていておくれ?」
「あ、はい……――紫釉様も宝石商から買えるんです……?」
(……この帆って人と親族で、すぐに用意できるってことは……――やっぱりあの大臣と話してた宝石商に用意してもらうってことだよね……? 特別な人にしか売らない石だって聞いてますけど⁉︎)
「いや……この石はもう売られてはいまい……――取り尽くしてしまったからなぁ……」
聞こえてきた言葉に春鈴の動きがピタリと止まる。
「……え?」
『龍族のせいで村を取り上げられた一族がいる――』
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