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◇
ーー蓮歌山。
スーチが住む洞窟近くの木の根元に座り込んだ春鈴と蒼嵐。
春鈴は糸の巻取りを、そして蒼嵐はそんな春鈴が糸に色をつけてしまわないよう監視していた。
「そういえば……どうしてるのかなぁ……」
糸を巻き取りながら、ぽそりと呟いた春鈴に蒼嵐が首を傾げた。
「なにがだ?」
「私の初めての友達! ここで会ったんだよねー」
ヘラリ……と笑いながらもどこか悲しそうに見える春鈴。
「……どんなやつだった?」
「んー……真っ白で綺麗で 優しくてあったかくて……ーーちょっと無口! 元気にしてるかなぁ……」
「……案外近くにいるかもしれないぞ」
どこか落ち着かなそうに鼻をいじりながら答える蒼嵐。
「えっ……?」
蒼嵐の言葉に春鈴が小さく呟き、その手をゆっくりと止めた。
そして見つめ合う二人の間を、暖かな春風が吹き抜けていき、二人の髪や服を舞い上げていったーー
ーーそして……
「あの時のーー……」
「あははっ! だったら流石に分かるってー!」
蒼嵐が話し始めた瞬間、春鈴の笑い声があたりに響き渡った。
「ーー……分かる、のか?」
「分かるよー。 だって最初の友達真っ白なフェイロンだもん」
そう言いながら再び元気に糸を巻き取り始める春鈴。
「フェーー⁉︎」
「フェイロン。 まだ子供の……イーミンたちより小っちゃかったかなぁ? 子供の私が膝に乗せられたくらいだし……」
思い出すように話している春鈴に、顔をひきつらせた蒼嵐が問いかける。
「――その……見間違い、ということは無いのか? 子供のフェイロンが迷子という話は……はあまり……」
「そうなんだよねぇ? なんであの子迷子になってたんだろう……ーー無事に親と合流できたかなぁ……?」
「……よく思い出せ? 本当にフェイロンだったのか? ーーその、例えば……子供の龍ーー」
そこまで言った蒼嵐だったが、ムッと顔をしかめた春鈴がギロリと蒼嵐を睨みつけながら口を開いた。
「ちょっと! 私がどれだけの時間、うちの子たちと暮らしてると思うの⁉︎ あれは絶対フェイロン! 間違いないね‼︎」
胸を張ってそう言い切った春鈴に思い切り顔をしかめ、ごくごく小さな声で不満を漏らす蒼嵐。
「……間違いだらけだ馬鹿者が……」
「え、なんて?」
「……なんでも無い」
ブスリと顔をしかめた蒼嵐は、面白くなさそうに頬杖をつきながらそっぽを向いた。
「……そ? ……あーあ……元気かな? もう一回会いたいなぁ……」
その寂しそうな声色に、再び春鈴のほうを見つめる。
「春鈴……そのーー」
「すっごく綺麗だったの! ……あわよくばイーミンかミンミンの相手に……」
「――もう二度と会えないだろうな」
「なんでそんなヒドイこと言うの⁉︎」
「きっとお前のことも友達だなんて思ってないぞ」
「そんなことないもん!」
「あるな」
「絶対ないもん‼︎」
そう言い合う二人は、その刺々しい言葉や空気とは裏腹に、決して離れることなくずっと寄り添い合っていたのだった――
ーー蓮歌山。
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糸を巻き取りながら、ぽそりと呟いた春鈴に蒼嵐が首を傾げた。
「なにがだ?」
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そして見つめ合う二人の間を、暖かな春風が吹き抜けていき、二人の髪や服を舞い上げていったーー
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蒼嵐が話し始めた瞬間、春鈴の笑い声があたりに響き渡った。
「ーー……分かる、のか?」
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そう言いながら再び元気に糸を巻き取り始める春鈴。
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思い出すように話している春鈴に、顔をひきつらせた蒼嵐が問いかける。
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「そうなんだよねぇ? なんであの子迷子になってたんだろう……ーー無事に親と合流できたかなぁ……?」
「……よく思い出せ? 本当にフェイロンだったのか? ーーその、例えば……子供の龍ーー」
そこまで言った蒼嵐だったが、ムッと顔をしかめた春鈴がギロリと蒼嵐を睨みつけながら口を開いた。
「ちょっと! 私がどれだけの時間、うちの子たちと暮らしてると思うの⁉︎ あれは絶対フェイロン! 間違いないね‼︎」
胸を張ってそう言い切った春鈴に思い切り顔をしかめ、ごくごく小さな声で不満を漏らす蒼嵐。
「……間違いだらけだ馬鹿者が……」
「え、なんて?」
「……なんでも無い」
ブスリと顔をしかめた蒼嵐は、面白くなさそうに頬杖をつきながらそっぽを向いた。
「……そ? ……あーあ……元気かな? もう一回会いたいなぁ……」
その寂しそうな声色に、再び春鈴のほうを見つめる。
「春鈴……そのーー」
「すっごく綺麗だったの! ……あわよくばイーミンかミンミンの相手に……」
「――もう二度と会えないだろうな」
「なんでそんなヒドイこと言うの⁉︎」
「きっとお前のことも友達だなんて思ってないぞ」
「そんなことないもん!」
「あるな」
「絶対ないもん‼︎」
そう言い合う二人は、その刺々しい言葉や空気とは裏腹に、決して離れることなくずっと寄り添い合っていたのだった――
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