魔王と呼ばれた勇者、或いは勇者と呼ばれた魔王 〜最強の魔剣で自由に生きる! 金も女も、国さえも思いのまま!! …でも何かが違うみたいです

ちありや

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第24話 お別れ会

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 今回のミッションで無事に仕事を終えた俺達は、侯爵から来賓用の宿屋を用意された。
 一応『1人1部屋』で個室を与えられたのだが、これが物書き用の机とシングルベッドだけというなんとも息苦しい物だった。
 
 その為、侯爵の娘であるティリティアが現地の使用人に無理を言って10畳程の会議室を『雑魚寝部屋』に改良させたのだ。
 
 勘当された身ではあるが、やはり使用人達からしてみれば『可愛いティリティアお嬢様』である事に変わりは無いのだろう。テーブルに山盛りの料理とふかふかの布団を4人前あっという間に用意してくれた。

 明日になれば、ベルモは森に帰って正式に「傭兵団」としての仕事に就く事になる。様々な手続きもあるが、何よりも今まで野放図に暴れていた盗賊達を仕切って『兵隊』として機能させなくてはならない。ベルモ以外では彼らを抑えるのは不可能だろう。

 俺とティリティアは更なる冒険を求めて王都へ行こうという話になった。王都まで行けば冒険者を監督保護する匠合ギルドがあって、より確実な(『簡単』という意味では無く『依頼主から裏切られない』という意味)仕事が出来るらしい。
 そこで新たな仲間を見つけて、依頼をガンガンこなして成り上がろう、という計画だ。

 一方クロニアは、なかなか去就を決められないでいた……。

 本来であれば彼女の叔父さんの指揮する幕営地に戻って兵士の仕事に戻らなくてはならないのだが、戻る決心がなかなかつかない様子だった。
 そこにティリティアが助け舟を出してくれた。

「ね、クロニア。貴女にはわたくしの護衛をお願いしたいのだけれども良いかしら? 勇者様はお強くていらっしゃるけど、やはり1人では限界があると思うの…」

 確かに俺1人では『攻撃』と『防御』を同時にこなすのは出来なくは無いが容易ではない。現にこの間の廃坑では隙を突かれてティリティアが拐われた。
 劣等とされるゴブリン相手でもこれなのだ。更に知力の高い相手が出てくる所で、クロニアがティリティアを専属で守ってくれれば、俺もかなり動きやすくなる。

「しかし… 私はそれで一度失敗しております。その結果ティリティア様を危険な目に…」

 誘いを断るべくクロニアは口を開くが、ティリティアは最後まで反論させなかった。
 
「『赦します』 …だから一緒に行きましょう、クロニア」

「……ティリティア様… ハイ! 次はしくじりません。この命を賭してでもお守りいたします! 早速叔父にふみを書きます!」
 
 ティリティアの聖女の微笑みにクロニアは涙を流して感謝していた。

 ☆
 
「話は済んだかい? そんじゃアタイと大将は『お別れ会』をするから、小娘達は出てってくれるかい? それとも一緒に楽しむかい?」

 各々の『これから』を話し合っている間に、ベルモが料理と飲み物を頬張っていた。
 その『お別れ会』ってのは俺も初耳なんだけど、料理を飲み込んだベルモが俺の背中に抱きついてその大きな胸を押し付けてきた所で意味を察した。

 背中に胸を押し付けてくるだけならまだしも、そのまま手を俺の股間に伸ばして擦り始めたら、俺の体も反応してしまう。
 そしてベルモはその様子をクロニアやティリティアに見せつけて挑発的な視線で楽しそうにしている。

「あら、ベルモさんたらはしたないですわ。淑女が率先して殿方のそんな所に手を出すなんて…」

 なんて事を言いつつもティリティアはおもむろに服を脱ぎ始める。慌てたのはクロニアだ。

「てぃ、ティリティア様? 一体何を?!」

「なにって… 『ベルモさんのお別れ会』でしょ? 『愛の宴』で楽しく送り出してあげるのが仲間の嗜みではなくて…?」

 ティリティアは『何を当たり前な事を』的な口調で平然としているが、俺が助けたティリティアの貞操にわずかでも希望を持っていたのか、目を白黒させたクロニアは俺を睨みつけてきた。

「お、お前、見損なったぞ! し、信じていたのに… 敬虔可憐なティリティア様を毒牙に掛けるなんて…」

「およしなさいクロニア。わたくしは自分の意志で勇者様と関係を持ちました。既にゴブリンに穢されたこの身を勇者様に清めて頂いたからこそ、わたくしは今笑っていられるのですよ…」

 俺に当たってきたクロニアをたしなめるティリティア。確かにあの時、変な倫理感でティリティアを拒否していたら、彼女は絶望のあまりその場で自死していたかもしれない。それこそイメッタの様に……。

「しかし……」

「それに勇者様このかたには『神の加護』の様な不思議な力があります。古今無双の戦闘力に加えて、女性にょしょうに対してまた特別な影響力がある。彼に触れた時に感じる下腹したはらが締め付けられる様な感覚、同じ『女』である貴女なら理解わかるでしょう、クロニア…?」

 ティリティアの問い掛けにも、クロニアは下を向いて答えない。顔を真っ赤に紅潮させて微かに震えている。
 そして数秒後、やがてクロニアも意を決した様に服を脱ぎだした。

「とても… とてもよく、分かります… 私もご一緒してもよろしいですか…?」

 クロニアは潤んだ瞳でティリティアを見つめ、ティリティアはその視線をベルモに受け流す。
 ベルモはにっかりと顔をほころばせ、「じゃあ皆で気持ち良くなろうぜ!」と締めくくった。

 俺に意見を述べる機会が与えられなかったのは些か不満ではあるが、まぁ女達が楽しそうなら口を挟まない方が良いだろうな。
 ティリティアは俺の秘密にかなり近い所まで勘付いているようだ。まぁ別に隠さなくてはならない事でも無いんだが、やはり不正チートな能力だと知れるとイメージ下がるかも知れないから当分黙っておく方が良いな……。

 ☆

「アンタ達と離れるのは寂しくなるねぇ。何かあったらすぐに駆け付けるから、いつでも呼んでおくれよ?」

 『4人の』でしこたま食って飲んで乱れたパーティも終わった翌朝、俺達は旅支度を終えたベルモを見送りに来ていた。

「…あ、そうだベルモ。森に居るお前の仲間に罠探知とか鍵開けとか盗賊シーフ系技能の得意な奴は居ないか?」

 今回の反省から俺は探索系や隠密系技能の持ち主を一党パーティに加入させようと決心していた。
 王都の冒険者組合ギルドとやらで紹介して貰っても良いのだが、初対面の『盗賊』をいきなり信用出来ない。悪い奴ばかりではないとは思うが、『良い奴』の割合は他の冒険者に比べて落ちるだろう。

 それならば満更知らない仲でも無い『ベルモ盗賊団』の中から相応しい奴を拾った方が安全性が高いという物だ。
 それにベルモもメンツにかけて変な奴は紹介して来ないだろうしな。

 ベルモはしばらく記憶を巡らせる動作をした後、はたと手を打った。

「それなら適任がいるよ。明日の朝一くらいにラモグの宿屋に行くように手配しておくから、待ち合わせて連れて行ってやってくれ」

 ベルモの目には安心感のある佇みと、不安を掻き立てる怪しい光が共に宿っていた。
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