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二期 三章
勇者
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キルドの森は視界が悪く、日中でも数メートル先を視認する事が困難になる。
そんな環境下の中で、さらに闇喰は姿を隠す事に長けている。
まさに鬼に金棒。
泣きっ面に蜂といったような状況にアリサは直面していた。
「どうやって先に進めば…!」
アリサは周りを強く警戒しつつ、思考を続けた。
敵の姿は視認出来ない、ギリギリのところで攻撃を躱せるか躱せないかと言ったところ…。このままではジリ貧だ…。
「また来た!」
右方向から殺気を感じ、大きくバックステップをして躱す。目の前の木が闇喰の牙に切り倒される。
「すごい切れ味ね…」
闇喰の恐ろしさはその何でも切り裂いてしまう牙にもある。その牙の切れ味は名のある鍛冶屋が丹誠込めて打った剣の様であるという。
「早く行かないと、捕まった人たちが危ない…!」
悪魔に捕まってしまった冒険者のことも考えるアリサ。ボサボサしている暇はないと、剣を構える。
「相手はA級、私がなぜ闇喰の攻撃をこんなに避けれているのかは分からない。勝てるかどうかも分からない。」
剣を左右に振り正面にまっすぐと構える動作をとる。
「けど」
「やらなきゃやられる事だけは確かね!勇者の子孫らしく、戦ってやるわ!」
アリサは思い出していた。
この世界に呼び出されて間もないアレクが、勇猛果敢に強敵と戦っているところを。勇者の子孫である私なんかよりもずっと”勇気あるもの”であったことを。
アレクが強いのはスキルの力かもしれない。それでも、突然命をかけたやりとりをするというのは並大抵の精神ではないということを理解していた。
その勇気に憧れた。勇者の子孫として。
「ガァルァァァァ!」
気合いを入れたアリサの前方、切り倒された木の方から鳴き声とともに白い牙が襲いかかる。
「私に勇気を頂戴…、アレク…!」
その瞬間アリサの体に力が漲るのがわかった。
そして、脳内に響く声。
『スキル:勇者 解放』
「な、何!?いや、先に目の前の…怪物よ!」
突然のことに驚いたアリサは一瞬気がそれるが、すぐに集中し直し、向かってくる牙に剣を当てた。
本来のステータスなら押し負けるはずの攻撃を思い切り弾き返す。
そして
剣が敵に触れた途端、耳元で声が聞こえた。
『次は今の下段に細かく剣尖をあびせるんだ。』
「だ!誰!」
『いいから早くしろ!次が来るぞ!』
何度も聞こえる声に混乱しつつも、言われた通りに先ほど剣をふった下段の位置に細かく突きを放つ。
「千刺!!」
「ギャァァァァ!!」
ザクザクザクと、見えに何かに突き刺さっていく感覚。闇喰に当たっている。
『次は後方上!右前方!真上だ!』
言われる通りに剣をふる。その全てが面白いほど綺麗にクリーンヒットしていく。
「ガゥ…ガゥ…」
聞こえてくる鳴き声もだんだん弱っていく事がわかった。
『次でトドメだ!まっすぐ前方に最大の攻撃!』
「せやぁぁぁ!!」
気合いを入れて剣を振る。
自己流 穿滝!!
アリサは自分の持つ技の中で最大の威力を誇る穿滝を放った。
ズパン
まるで大木を切った時のような感覚が両腕に走る。
「っ痛!」
そしてすぐにズシンと自分の横に真っ二つになった闇喰が落ちて来る。死してなお視認が難しいが、確かに死んでいた。
「嘘…?こんなに簡単にA級が…?」
『お疲れさん。』
耳元に声。
「きゃあ!な、何!?」
『俺?俺はお前の先祖、勇者アレク・サンダーだ。』
「え!?ご先祖様!?」
声の主は自らを勇者であると名乗った。
そんな環境下の中で、さらに闇喰は姿を隠す事に長けている。
まさに鬼に金棒。
泣きっ面に蜂といったような状況にアリサは直面していた。
「どうやって先に進めば…!」
アリサは周りを強く警戒しつつ、思考を続けた。
敵の姿は視認出来ない、ギリギリのところで攻撃を躱せるか躱せないかと言ったところ…。このままではジリ貧だ…。
「また来た!」
右方向から殺気を感じ、大きくバックステップをして躱す。目の前の木が闇喰の牙に切り倒される。
「すごい切れ味ね…」
闇喰の恐ろしさはその何でも切り裂いてしまう牙にもある。その牙の切れ味は名のある鍛冶屋が丹誠込めて打った剣の様であるという。
「早く行かないと、捕まった人たちが危ない…!」
悪魔に捕まってしまった冒険者のことも考えるアリサ。ボサボサしている暇はないと、剣を構える。
「相手はA級、私がなぜ闇喰の攻撃をこんなに避けれているのかは分からない。勝てるかどうかも分からない。」
剣を左右に振り正面にまっすぐと構える動作をとる。
「けど」
「やらなきゃやられる事だけは確かね!勇者の子孫らしく、戦ってやるわ!」
アリサは思い出していた。
この世界に呼び出されて間もないアレクが、勇猛果敢に強敵と戦っているところを。勇者の子孫である私なんかよりもずっと”勇気あるもの”であったことを。
アレクが強いのはスキルの力かもしれない。それでも、突然命をかけたやりとりをするというのは並大抵の精神ではないということを理解していた。
その勇気に憧れた。勇者の子孫として。
「ガァルァァァァ!」
気合いを入れたアリサの前方、切り倒された木の方から鳴き声とともに白い牙が襲いかかる。
「私に勇気を頂戴…、アレク…!」
その瞬間アリサの体に力が漲るのがわかった。
そして、脳内に響く声。
『スキル:勇者 解放』
「な、何!?いや、先に目の前の…怪物よ!」
突然のことに驚いたアリサは一瞬気がそれるが、すぐに集中し直し、向かってくる牙に剣を当てた。
本来のステータスなら押し負けるはずの攻撃を思い切り弾き返す。
そして
剣が敵に触れた途端、耳元で声が聞こえた。
『次は今の下段に細かく剣尖をあびせるんだ。』
「だ!誰!」
『いいから早くしろ!次が来るぞ!』
何度も聞こえる声に混乱しつつも、言われた通りに先ほど剣をふった下段の位置に細かく突きを放つ。
「千刺!!」
「ギャァァァァ!!」
ザクザクザクと、見えに何かに突き刺さっていく感覚。闇喰に当たっている。
『次は後方上!右前方!真上だ!』
言われる通りに剣をふる。その全てが面白いほど綺麗にクリーンヒットしていく。
「ガゥ…ガゥ…」
聞こえてくる鳴き声もだんだん弱っていく事がわかった。
『次でトドメだ!まっすぐ前方に最大の攻撃!』
「せやぁぁぁ!!」
気合いを入れて剣を振る。
自己流 穿滝!!
アリサは自分の持つ技の中で最大の威力を誇る穿滝を放った。
ズパン
まるで大木を切った時のような感覚が両腕に走る。
「っ痛!」
そしてすぐにズシンと自分の横に真っ二つになった闇喰が落ちて来る。死してなお視認が難しいが、確かに死んでいた。
「嘘…?こんなに簡単にA級が…?」
『お疲れさん。』
耳元に声。
「きゃあ!な、何!?」
『俺?俺はお前の先祖、勇者アレク・サンダーだ。』
「え!?ご先祖様!?」
声の主は自らを勇者であると名乗った。
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