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二期 三章
新旧勇者
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小さく光る松明の火しかない部屋で、金属の擦れる音が響き渡る。時折火花が散り、一瞬部屋を照らし出す。
カン、またカン、今度はガン。
いびつな音が響くーー。
「俺はシルキーを守り抜くと婚約時に誓った。私は忠義を示す職、騎士であり婚約者だ。どんな手を使ってでも、彼女を守…る!!」
クレイスからの重い一撃をうまくガードし、パリィする。
目にも留まらぬ速さで攻防を続けつつ、アリサとクレイスは会話していた。
「騎士なら人々を守ることも!その職務じゃないの!?」
アリサは足元の砂をクレイスの目めがけて蹴り上げる。
「小癪な!!」
クレイスはとっさに目を閉じるが、少し目に入ってしまい、激痛が走る。
「くっ…!」
その隙を見逃さずに、アリサは重装備のクレイスの横腹に向かって思い切り鞘を振る。
「がはっ…!!」
クレイスは耐えきれず血を吐く。
均衡していた状態がアリサの一撃で崩れる。
「重装備だからね、鞘じゃないと剣が折れちゃうわ。」
『奴を見ろ!!まだまだ終わりじゃない!!』
一撃お見舞いし、少し気を抜いてしまったアリサに目の見えないはずのクレイスの何十もの突きが襲いかかる。
アレク・サンダーの声のおかげで間一髪のところで躱す。が、手数が多いため心眼と今の身体能力を使っても数発かすめる程度だが、当たってしまった。
「…っ!」
右腕二箇所、左腕一箇所、右足一箇所から血が出る。切れていた。
「やっと目が慣れてきたが、どうやら当たったようだな。」
目を開けれるようになったクレイスが、アリサを見てそういった。
「なぜ貴方は目を閉じた状態で私を…!」
「お前に教える義理はない。」
クレイスは手傷を負ったアリサにさらに追撃を加えようと剣を振りかぶった。
「バカにするのも、大概にしたらどうかしら?」
アリサは真っ黒になった目をクレイスに向けた。
クレイスは何かを察したのか、振りかぶった剣を下ろし距離を取る。
「あら、どうしたの?人類最強ともあろう貴方が距離を取るなんて。」
アリサにはさらに新たなスキルが発動していた。
スキル:狂気
効果:自らの気がすむまで相手をいたぶる。目を見た相手は恐怖状態になる。
彼女の固有スキルだ。
アリサは愛する人を傷つけられた恨みで、このスキルが発生していた。
「フィアーか…!」
アリサの目を見たクレイスがそう呟く。
フィアーとは精神魔法の一つで、相手を恐怖に陥れるという効果がある。
クレイスは魔法だと勘違いしていた。
たじろぐクレイスにアリサが猛々しく斬りかかる。
「うらぁぁぁぁぁ!!」
狂気による恐怖の効果はその魔法よりも強い効果を示し、クレイスのような高位の使い手であろうとすぐには逃れることができなかった。
そして、
「ガハッ…!」
正面からアリサの攻撃を受けた。
胸元に思い切り斬り付けられた剣は、鎧を切り裂きクレイスの体に大きな傷をつけた。
血が大量に出る。本来ならまだ動けること自体がおかしいほどの出血状態で、クレイスは…
また、高速で動き始めた。
「しぶといやつね!!」
同じように金属音と閃光だけが洞窟内に広がる。
剣がぶつかるたびにクレイスの胸元から血が飛び散る。
アリサもかわし切れず体に生傷が増えて行った。
気づけばどちらが先に倒れるかの闘いになっていた。
斬り付け、かわし、打ち込み斬り付け…
「はぁぁぁぁあ!!」
「おらぁぁ!!」
気づけば二人は雄叫びをあげていた。
『アリサ!一度引け!能力が拮抗している!!このままじゃ相打ちがせいぜいだ!』
一部始終を見ていたアレク・サンダーは何かに気づき忠告をアリサにしたが、聞いてはいなかった。
もはや狂気に飲まれ、クレイスを殺すことだけを考えていた。
『アレクは死んでないんだろう?!そこまで自分を追い込むな!!』
雄叫びをあげ続けるアリサに声は届かない。
『このままじゃスキルの力に飲まれる…!』
アリサのスキルに発生した固有スキル狂気は、アリサを取り込もうとしていた。
クレイスを殺すまで、アリサは止まらない。
しかしこのままではアリサが…
アレク・サンダーがどう止めるかと思考している最中、アリサは最大の攻撃の準備をしていた。
「次で決めるわ。殺してあげる。」
狂気はアリサを変えてしまっていた。
「剣尖一の型。」
アリサは腰を深く下ろし、足を屈伸の形に曲げ、剣を地面と平行にまっすぐクレイスに向けて構えた。
「血咲花」
アリサの姿がクレイスの視界から消えた。
カン、またカン、今度はガン。
いびつな音が響くーー。
「俺はシルキーを守り抜くと婚約時に誓った。私は忠義を示す職、騎士であり婚約者だ。どんな手を使ってでも、彼女を守…る!!」
クレイスからの重い一撃をうまくガードし、パリィする。
目にも留まらぬ速さで攻防を続けつつ、アリサとクレイスは会話していた。
「騎士なら人々を守ることも!その職務じゃないの!?」
アリサは足元の砂をクレイスの目めがけて蹴り上げる。
「小癪な!!」
クレイスはとっさに目を閉じるが、少し目に入ってしまい、激痛が走る。
「くっ…!」
その隙を見逃さずに、アリサは重装備のクレイスの横腹に向かって思い切り鞘を振る。
「がはっ…!!」
クレイスは耐えきれず血を吐く。
均衡していた状態がアリサの一撃で崩れる。
「重装備だからね、鞘じゃないと剣が折れちゃうわ。」
『奴を見ろ!!まだまだ終わりじゃない!!』
一撃お見舞いし、少し気を抜いてしまったアリサに目の見えないはずのクレイスの何十もの突きが襲いかかる。
アレク・サンダーの声のおかげで間一髪のところで躱す。が、手数が多いため心眼と今の身体能力を使っても数発かすめる程度だが、当たってしまった。
「…っ!」
右腕二箇所、左腕一箇所、右足一箇所から血が出る。切れていた。
「やっと目が慣れてきたが、どうやら当たったようだな。」
目を開けれるようになったクレイスが、アリサを見てそういった。
「なぜ貴方は目を閉じた状態で私を…!」
「お前に教える義理はない。」
クレイスは手傷を負ったアリサにさらに追撃を加えようと剣を振りかぶった。
「バカにするのも、大概にしたらどうかしら?」
アリサは真っ黒になった目をクレイスに向けた。
クレイスは何かを察したのか、振りかぶった剣を下ろし距離を取る。
「あら、どうしたの?人類最強ともあろう貴方が距離を取るなんて。」
アリサにはさらに新たなスキルが発動していた。
スキル:狂気
効果:自らの気がすむまで相手をいたぶる。目を見た相手は恐怖状態になる。
彼女の固有スキルだ。
アリサは愛する人を傷つけられた恨みで、このスキルが発生していた。
「フィアーか…!」
アリサの目を見たクレイスがそう呟く。
フィアーとは精神魔法の一つで、相手を恐怖に陥れるという効果がある。
クレイスは魔法だと勘違いしていた。
たじろぐクレイスにアリサが猛々しく斬りかかる。
「うらぁぁぁぁぁ!!」
狂気による恐怖の効果はその魔法よりも強い効果を示し、クレイスのような高位の使い手であろうとすぐには逃れることができなかった。
そして、
「ガハッ…!」
正面からアリサの攻撃を受けた。
胸元に思い切り斬り付けられた剣は、鎧を切り裂きクレイスの体に大きな傷をつけた。
血が大量に出る。本来ならまだ動けること自体がおかしいほどの出血状態で、クレイスは…
また、高速で動き始めた。
「しぶといやつね!!」
同じように金属音と閃光だけが洞窟内に広がる。
剣がぶつかるたびにクレイスの胸元から血が飛び散る。
アリサもかわし切れず体に生傷が増えて行った。
気づけばどちらが先に倒れるかの闘いになっていた。
斬り付け、かわし、打ち込み斬り付け…
「はぁぁぁぁあ!!」
「おらぁぁ!!」
気づけば二人は雄叫びをあげていた。
『アリサ!一度引け!能力が拮抗している!!このままじゃ相打ちがせいぜいだ!』
一部始終を見ていたアレク・サンダーは何かに気づき忠告をアリサにしたが、聞いてはいなかった。
もはや狂気に飲まれ、クレイスを殺すことだけを考えていた。
『アレクは死んでないんだろう?!そこまで自分を追い込むな!!』
雄叫びをあげ続けるアリサに声は届かない。
『このままじゃスキルの力に飲まれる…!』
アリサのスキルに発生した固有スキル狂気は、アリサを取り込もうとしていた。
クレイスを殺すまで、アリサは止まらない。
しかしこのままではアリサが…
アレク・サンダーがどう止めるかと思考している最中、アリサは最大の攻撃の準備をしていた。
「次で決めるわ。殺してあげる。」
狂気はアリサを変えてしまっていた。
「剣尖一の型。」
アリサは腰を深く下ろし、足を屈伸の形に曲げ、剣を地面と平行にまっすぐクレイスに向けて構えた。
「血咲花」
アリサの姿がクレイスの視界から消えた。
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