13番目の神様

きついマン

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二期 三章

結末

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血咲花ブラッドフラワー

 呟き、アリサはクレイスへと一直線に踏み込んだ。
 踏み込んだ地面は抉れ、壁は反動で所々崩れている。
 さらに、高速で動く剣先からは、かまいたちのような風が吹き荒れている。その風は洞窟内に傷をつけて行った。

 クレイスはアリサの姿が見えていなかった。

 気づいた時にはすでに…

 腹部に冷たい感覚が走っていた。

 時間で言えば一秒未満。数メートル離れていた彼女が消えて、次の瞬間。荒れる洞窟とともに彼女が目の前に現れていた。

「カハッ…」

 血反吐を吐き、腹部から吹き出すように血が大量に流れでる。

 まるで、体に咲いた一輪の花のように、血は舞う。

「貴方の血で、この枯れた洞窟に花を。」

「貴様…!実力を…隠して…いたのか…!」

 クレイスが血を吐きながらアリサに聞く。

「隠してないわ。貴方が、私をこうしたのよ。」

 アリサはそう答える。

 アリサの目の色は元に戻っていた。
 つまり、クレイスに、致命的なダメージを与えたというわけになる。

「終わりにするわ。」

 アリサが剣を引き抜こうとした時、後ろから声が聞こえた。

「クレイス!!!」

 叫び声の主は綺麗な女性だった。

「シルキー…来ちゃ、だめだ!!」

 クレイスは忠告するが、シルキーは問答無用で迫ってくる。

「誰だか知らないけど、離れて!!」

 ものすごい剣幕で迫るシルキーに気圧され、剣を離して離れた。

 クレイスに駆け寄るシルキー。
 どうやら治癒魔法が使えるようで、剣を少しずつ引き抜きながら魔法を使っている。

「どうして…こんなこと…」

 シルキーは涙を流しながら聞く。

「彼は私の大切な人に同じことをしたのよ。」

 シルキーは少し無言の後、クレイスに「本当?」と聞いた。

 クレイスは静かに頷いた。

「なぜそんなことを…!」

「お前を…なんとしても…助けたかった…。そのためには悪魔の…やつの肩を…持つしかなかった…。」

 クレイスは続ける。

「現に、奴は魔法陣完成のために…他の奴らを皆、すでに生贄に捧げていた…」

「…次はおそらく…ダインか、お前だったんだろう?」

 話を聞いていたアリサは反応の少なさの意味がわかった。
 すでに贄にされていたのだ。

「そうだけど…貴方が手を汚す必要は…!」

「時間がなかった…だろ…?がはっげほっ!」

 血反吐を吐きながら離し続けるクレイス。

「それでこんなことになって…恨みを買って……、貴方って私が絡むと本当にだめなんだから…」

「それよりも…逃げろ…、お前じゃあいつには敵わない…俺もおそらく…死ぬ。」

 クレイスは治癒魔法をかけ続けるシルキーに逃げるよう促した。

「そんな…そんなこと…!」

 その一部始終を見ていたアリサが割って入る。

「死にはしないわよ。殺しちゃったら仕返しになってないもの。」

 そう、アリサはクレイスを殺す気は無かった。

「死ねだのなんだの言ったけど、本当に殺すほど狂っちゃいないわよ。ただ、貴方は殺す気でアレクを切ったでしょ?その仕返しよ。」

 シルキーは困惑している。
 死なない?クレイスの傷を見るがどう見ても致命傷だ。

「でもこのままじゃ死んじゃうじゃない!!」

「治癒魔法をかけ続けて。ダインとかいう人も連れて街に戻るわ。」

「戻ったからって…!」

「私の仲間に治癒魔法が得意なやつがいるの。」 

 アリサはクレイスに向き直る。
 
「そいつのおかげであんたを殺さなくて済んだのよ、感謝しなさい。」

 アリサはまだ怒りが収まっていなかったが、なんとか噛み砕いてそう言った。

「どういう…ことだ…?」

「…アレクが生きてるから、あんたを殺さなかったのよ。」


 つまり、アリサは最初から殺す気などなかった。
 もちろん殺したいほど憎んではいたが、アレクは事実死には至っていない。
 これで恨みのまま殺して仕舞えば、さらなる恨みを生むことを理解していた。
 
 人を呪わば穴二つ。

 そうなることはわかっていた。


 さらに、クレイスを戦闘不能にした事のさらなる意味もあった。

「貴方、悪魔に魂を売ったでしょう?」

「よくわかったな…、どうしてだ…?」

のよ、ステータスを…」

 アリサは洞窟で最初に剣を交えた時、心眼でクレイスを見た。
 クレイスのステータスが見れた。

 攻撃力、防御力、体力…そして…

!!」



 クレイスは悪魔の加護を受けていた。
 それも、ベリアルではなく、アリサの仇であるアザゼルの加護を…

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