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二期 三・五章
闇の奥
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「俺は、この場所を…知っているが、知らない。」
変わり果てたキルドの森を見渡して呟く。もはや視界には暗闇以外写っていない。
「くそ…俺の索敵スキルはそんなに熟練されたものではないが…、使うほかない…。今まで索敵スキルの修練を怠ってきたツケが回ってきたな…」
過去の己を悔やみつつ、スキルを発動する。
多少視界は良くなり、周辺の生命体の位置も少しわかるようになった。
確認できたものは、走ってきたであろう方向に無数の反応。ここからわかることは、そんなに離れていなかったと言うことだ。自らの索敵範囲は熟知しているため、それはすぐにわかった。
ただ、予想していた反応が無い。
「ボアの群れが何かしらから逃げてきたのだとすると、その者の反応があるはずだが…、まだ遠く離れた状態であれほどの群れを動かしたのでも言うのか?」
ボア自体は鈍感な生き物で、基本どれだけ上手の相手にも突っ込んでいく。さらに逃げる場合も「今頃逃げたって遅いだろ…」と言ってしまうぐらいの近距離になってやっと外敵から逃げ始めるのだ。
つまり索敵範囲にもう一つの反応が無いとなると…
「故意的に魔物を操っていると言うことか…!」
と言う結論に至った。。
「とりあえず、あのボアたちをなんとかせねばな。」
黒幕よりも、目先の敵。あの群れが本当に操られているとしたら、街まで被害が及ぶかもしれない。
俺はそう考え、元の場所へと戻っていった。
普通の冒険者なら、自ら敵の群れ…ましてはボアアークなどの上位種がいるところへ戻ると言う行動は愚策である。一度街へ帰還し、人数を増やすことをお勧めする。
しかし、クレイスは違った。クレイスは基本、どんなクエストにも単騎で挑み、単騎で解決してきた。
もはや、人間の強さでは無かった。
「よし、この辺でいいか。」
俺はボアの群れから少し離れたところまで近づいて、二つのスキルを発動させた。
「爆砕、小。付与、剣。」
短く呟いたあと、剣に魔力を流した。
「準備完了。行くぜ!」
クレイスは一番近くのボアめがけて踏み込み、剣を降った。斬撃を食らったボアは真っ二つになりながら群れの中心へと跳ね、飛んで行った。
そして、次の瞬間。
ドガァァァァン!
ボアの真っ二つになった死体が爆発した。
爆発と同時に群れの中心部のボアが十数体爆風に巻き込まれ粉々になった。
「グルルゥ!?」
ボアはまだかなりの数いるが、突然の攻撃に驚いてたじろいでおり、まだクレイスに気づいていない。
「つぎ行くぞ!」
クレイスはさらに近くのボアを同じように切り飛ばし、ボアが多く集まっているところへと落として行く。
「オラオラオラオラ!」
真っ暗な森の中で、時折走る閃光はボアを多く吹き飛ばし、蹴散らしていった。
目に見えて数が減ってきた頃、クレイスは何かにきずいた。
「やはりおかしい。こんなに力量の差があって逃げないボアなんて見たことがない。…狂っているな。」
ボア群が本当に逃げないのだ。
それどころか俺を見ていない。全く別の方向を見ている。
正確に言えば、俺に気づき攻撃はしてくるが、目はこちらに向いていないような感じだ。
「先に何があるんだ…?」
索敵を広げるが何も引っかからない。圧倒的にスキルレベルが足りないようだ。
「くそ、こんなことなら鍛えておけばよかった…。」
俺が索敵スキルを鍛えてなかったことを後悔してすぐ、爆音が耳を劈いた。
クレイスは気づいていなかった。
ボアたちが向いている方向に何があるのかに。
変わり果てたキルドの森を見渡して呟く。もはや視界には暗闇以外写っていない。
「くそ…俺の索敵スキルはそんなに熟練されたものではないが…、使うほかない…。今まで索敵スキルの修練を怠ってきたツケが回ってきたな…」
過去の己を悔やみつつ、スキルを発動する。
多少視界は良くなり、周辺の生命体の位置も少しわかるようになった。
確認できたものは、走ってきたであろう方向に無数の反応。ここからわかることは、そんなに離れていなかったと言うことだ。自らの索敵範囲は熟知しているため、それはすぐにわかった。
ただ、予想していた反応が無い。
「ボアの群れが何かしらから逃げてきたのだとすると、その者の反応があるはずだが…、まだ遠く離れた状態であれほどの群れを動かしたのでも言うのか?」
ボア自体は鈍感な生き物で、基本どれだけ上手の相手にも突っ込んでいく。さらに逃げる場合も「今頃逃げたって遅いだろ…」と言ってしまうぐらいの近距離になってやっと外敵から逃げ始めるのだ。
つまり索敵範囲にもう一つの反応が無いとなると…
「故意的に魔物を操っていると言うことか…!」
と言う結論に至った。。
「とりあえず、あのボアたちをなんとかせねばな。」
黒幕よりも、目先の敵。あの群れが本当に操られているとしたら、街まで被害が及ぶかもしれない。
俺はそう考え、元の場所へと戻っていった。
普通の冒険者なら、自ら敵の群れ…ましてはボアアークなどの上位種がいるところへ戻ると言う行動は愚策である。一度街へ帰還し、人数を増やすことをお勧めする。
しかし、クレイスは違った。クレイスは基本、どんなクエストにも単騎で挑み、単騎で解決してきた。
もはや、人間の強さでは無かった。
「よし、この辺でいいか。」
俺はボアの群れから少し離れたところまで近づいて、二つのスキルを発動させた。
「爆砕、小。付与、剣。」
短く呟いたあと、剣に魔力を流した。
「準備完了。行くぜ!」
クレイスは一番近くのボアめがけて踏み込み、剣を降った。斬撃を食らったボアは真っ二つになりながら群れの中心へと跳ね、飛んで行った。
そして、次の瞬間。
ドガァァァァン!
ボアの真っ二つになった死体が爆発した。
爆発と同時に群れの中心部のボアが十数体爆風に巻き込まれ粉々になった。
「グルルゥ!?」
ボアはまだかなりの数いるが、突然の攻撃に驚いてたじろいでおり、まだクレイスに気づいていない。
「つぎ行くぞ!」
クレイスはさらに近くのボアを同じように切り飛ばし、ボアが多く集まっているところへと落として行く。
「オラオラオラオラ!」
真っ暗な森の中で、時折走る閃光はボアを多く吹き飛ばし、蹴散らしていった。
目に見えて数が減ってきた頃、クレイスは何かにきずいた。
「やはりおかしい。こんなに力量の差があって逃げないボアなんて見たことがない。…狂っているな。」
ボア群が本当に逃げないのだ。
それどころか俺を見ていない。全く別の方向を見ている。
正確に言えば、俺に気づき攻撃はしてくるが、目はこちらに向いていないような感じだ。
「先に何があるんだ…?」
索敵を広げるが何も引っかからない。圧倒的にスキルレベルが足りないようだ。
「くそ、こんなことなら鍛えておけばよかった…。」
俺が索敵スキルを鍛えてなかったことを後悔してすぐ、爆音が耳を劈いた。
クレイスは気づいていなかった。
ボアたちが向いている方向に何があるのかに。
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