13番目の神様

きついマン

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二期 四章

仲間

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「…?夢の中か?」

 アレクは気づくと暗闇にいた。
 
「違いますよ。また私が呼んだのです。」

 声が聞こえた方を見るとペルセポネが立っていた。

「ん?ということはここは、ペライベートルームか。」

「…まあ、間違ってはいませんが…。」

 額を抑えるペルセポネ。

「まあ、いいでしょう。それより、わたし、あなたに謝らなければならないのです。」

「謝る?何を?」

「実は…貴方のお仲間であるセリスさん。あの方の魔力が強く…貴方はもうじき起き上がるでしょう。」

「本当か!!」

 これは嬉しい誤算だ!

「はい。これからすぐに目覚めます…。」

「神でも間違えることってあるんだな。全知全能じゃないのか?」
 
 俺が少し煽るとペルセポネは美しい顔を赤くしてしまった。

「全知全能はわたしの夫の弟様であるゼウス様だけですよ、私達はそこまでの力はありません。」

 なるほど、神の世界も色々あるんだな。

 

「もう慢心はしないように、貴方の慢心は周りの人を傷つけます。」

 そう言ってペルセポネは俺の頭を少し指先で押した。

「それでは…。」

「うおっ!」

 その瞬間俺は暗闇に落ちるような感覚に襲われた。

 真っ直ぐに落ちる感覚。

「うわぁぁぁ!!!」

 暗闇に包まれ、俺はこの世界で気を失った。
 



「はっ!!」

 目覚めるとベッドの上だった。おそらく宿屋であることは周りを見渡せばわかった。

 アリサ達は寝ていた。

 外は真っ暗で、深夜だということがわかった。

「本当に、戻ってこれた…。」

 二度死んだと思ったが、こうして生きてまた戻ってこれた。
 治療をしてくれたみんなには感謝しかないな…

「チートスキルによる慢心か…。」
 俺はストレージバッグから取り出したステータスプレートを眺めながら、ペルセポネに言われたことを思い出していた。

 前の人生では努力を怠らない人間だった。報われることがなかったから、その反動なのかもしれないな。

「もう、慢心はしない。」

 口に出してもう一度胸に刻んだ。

「…んん…」

 その声に気づいたようでアリサが目を覚ました。

「起こしちゃった?」

 俺が声をかけるとアリサは目に大粒の涙を浮かべた。

「ア…アレク…なの?」

「ああ、おかげさまで無事に帰ってこれたよ。」

 その言葉を聞いた途端、アリサが跳ね起き俺に抱きついた。

「うおっ、どうした?!」

 柔らかい感覚が体を包み込む。これは嬉しい。

「わたし貴方がもう二度と目を覚まさないんじゃないかと思って…」

 俺は静かにアリサの頭を撫でる。
 
「ごめんな、心配かけて…。」

「ううん…私達貴方に頼りすぎてたみたい…。迷い人でこの世界に来てまだ数ヶ月の貴方に…」

「たしかに俺はこの世界に来てまだ日も浅い。だからと言って困っている人をほっとく訳にはならないだろ?それがこの世界全部だとしても、俺に出来ることならやるよ。」

 昔のことを思い出す。
 正義感が人一倍強かった自分はよく揉め事に首を突っ込んではボロボロになっていた。

「…無茶ね…。でもそんな貴方が…「アレクさん!!!」

 アリサが何かを言おうとした瞬間、セリスが飛び起きた。

「起きてたんですか!?ていうか起き上がれたんですか?!」

 驚いた顔で問い詰めてくる。

「セリスのおかげだよ。ありがとう。」

「いえ…、それより…今の状況の説明をお願いしますぅ…。」

 俺はハッとして腕の中で泣いているアリサを見た。
 アリサと目が合う。
 
「いや!違う!これは違うぞ!」

 なんとも言えない言い訳をしながらアリサと離れる。これは恥ずかしい。

「違うって何がですか?お二人ってもうそういう関係だったんですか?前々から怪しいとは思ってましたが、まさかこんなに早くゴールインするなんて…」

 次から次にまくし立てるセリスをアリサが制する。

「いや本当に違うから!!待ってセリス!!」

 …それはそれで傷つく。

 セリスをなだめるアリサの騒がしさでサンも起き上がってしまった。

「兄ちゃん!起きたんだ!」

「サンもすまなかったな…迷惑かけた。」

「迷惑だなんて!僕は借りを返しただけさ!ところでこの状況は何?」

 サンがアリサとセリスを見て聞いてくるが、なんと説明したものだろうか…
 
「そうだな…、アリサに聞いたらどうだろう?」

 思いつかなかったからアリサに全部任せることにした。

「ははっ…楽しいなぁ…」

 みんなでワイワイ会話している今の状況を見て俺の目にも涙がこみ上げて来た。

 前の世界も、こっちの世界も責任というものが自分に重くのしかかっていて、もう何年も落ち着いた日々は味わってなかった。

 もちろんこの世界の問題が解決したわけではないけど、ペルセポネに言われた一言とみんなの反応を見て少し気が楽になった。

 慢心している。たしかに俺にしかできないと思っていた。自分がやらなければと…
 だが間違っていた。仲間を信頼して頼っていいんだ。こっちの世界では一人ではないんだと思い知った。

 そう考えると、前の世界で全ての仕事を一人でこなし、一人きりで死んだ自分がやっと報われた気がして涙が止まらなくなった。

「大丈夫アレク!?」

 そのことに気づいたアリサが駆け寄る。

「大丈夫、みんなありがとう。」

 俺はもう一度、みんなに感謝を伝えた。
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