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二期 四章
安堵
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「アリサ姉ちゃん!?」
サンの声でセリスは気づき、目に涙を浮かべながらおかえりと一言。
宿屋へと戻ってきたアリサとクレイス、それにシルキーとダイン。
アリサはセリスに事の経緯をはなし、治癒魔法をクレイスに施すよう頼んだ。
「アリサが無事でよかった…!!」
「心配かけたわね。ところで、アレクは?」
アレクの隣のベットに腰掛けながらアリサが聞く。
「まだ目を覚まさないですが、寝息を立てて眠ってますよ!このままいけば完全回復するはずです!」
クレイスに治癒魔法を施しながらニコっと笑う。その目にはクマが浮かんでいた。
「…ごめんね、ずっと働かせちゃって…。」
「アリサに比べたらたやすい事ですよぅ!」
おそらく彼女は一日中寝ずにアレクの治療をしていたのだろう。そこにさらにクレイスも、とお願いしてしまったのだ。本当に申し訳ない。
「……申し訳ない…。」
クレイスが謝罪する。
「あなた自身はすぐには許さないけど…、一番許せないのはアザゼルよ。」
「な、な、何のことですかぁ?」
「何で悪魔の名前が出てくるんだ?」
事情を知らない二人が聞いてくる。反応からしてシルキーとダインは知っているようだった。
「俺が…話そう…。」ゴホッゴホッ
クレイスがゆっくりと話し始める。その口から血が流れている。
「ダメですよ!!安静にしてくださぁい!」
「わたしから話すわ。」
シルキーが治癒魔法をクレイスに施しながら話し始めようとした。
「あなたも!魔法に集中してくださぁい!!」
この場において一番の権力者はセリスであった。
こうなると自然に目線が一人の男性に向けられる。
「…俺!?」
ダインが突然期待の眼差しで見られ、ドギマギする。
「あなた以外誰がいるのよ。頼むわダイン。」
シルキーがお願いねと念を押す。
「まだ一言も発してなかったんだが…まさか自己紹介よりも先にクレイスの話をする事になるとは…。」
渋々といった感じでダインが昔話を始めた。
アルケイデスが魔物に襲われた話、クレイスがおかしくなった話、クレイスのプロポーズ(言わなくていい!!)、その後語ってくれた悪魔の加護の話。
全て聞いた。
「俺たちはあの時、多くの仲間を失った。毎日うなされたよ。」
アリサは自分の過去を思い出していた。
村の皆が殺され、父と母が殺されたあの日…
重い空気が流れ、静寂が訪れた。
その静寂を切り裂くようにサンが口を開く。
「…なんでクレイスさんは今、無事なの?」
「なんで、とは?」
「作戦が失敗して放置するなんて、考えられなくて…。」
つまり、サンが言いたいことというのは、こうだった。
悪魔の加護という強大な力を手に入れた脅威となりうる存在を何故放置しているのか。
アザゼルで手に負えないにしても、他の悪魔を寄越すのが普通なのではないか、と。
「確かに、私も同意見よ。」
アリサにも身に覚えのあることだった。
勇者の末裔である自分も、この瞬間生かされている。
今となっては対抗するすべもあるかもしれないが、少なくともコレーやレイムブルグでの一件の時はなかった。
しかし、殺されなかった。
「何か…裏がありそうだな。」
クレイスのその言葉とともに、部屋に静寂が訪れた。
この時、この場にいる全員が限界に達していた。
アリサ達はロクに寝ておらず、クレイスは力に飲まれアリサによって戦闘不能状態に。
ダイン、シルキーに関してはつい先ほどまで生贄としてベリアルという悪魔に囚われていた。
疲れ切った部屋の中、静かに治癒魔法の音だけが響く。
これ以降皆は口を開かなかった。
しばらくしてクレイスの処置は終わり、クレイス、シルキー、ダインは自らの寮へと帰って言った。
「…君たちの仲間を危険な目に合わせた…。すまなかった…。治癒、感謝する。本当にありがとう。また、後日、君たちを伺うよ。」
クレイスは深く頭を下げ部屋を出ていった。
三人を見送った後すぐに気絶するようにセリスは眠ってしまった。魔力も底をついたようで、限界がきたようだ。
サンも一日中アレクの看護をしていたため、セリスの後を追うように眠ってしまった。
「…私も疲れたわ…。」
アリサは二人をベッドに運び布団をかけて自らもベッドに入った。
(この後どうしようか…、起きてから…決めよう…。)
ベッドに入ってすぐアリサも寝てしまった。
すでに朝方になっていた。
サンの声でセリスは気づき、目に涙を浮かべながらおかえりと一言。
宿屋へと戻ってきたアリサとクレイス、それにシルキーとダイン。
アリサはセリスに事の経緯をはなし、治癒魔法をクレイスに施すよう頼んだ。
「アリサが無事でよかった…!!」
「心配かけたわね。ところで、アレクは?」
アレクの隣のベットに腰掛けながらアリサが聞く。
「まだ目を覚まさないですが、寝息を立てて眠ってますよ!このままいけば完全回復するはずです!」
クレイスに治癒魔法を施しながらニコっと笑う。その目にはクマが浮かんでいた。
「…ごめんね、ずっと働かせちゃって…。」
「アリサに比べたらたやすい事ですよぅ!」
おそらく彼女は一日中寝ずにアレクの治療をしていたのだろう。そこにさらにクレイスも、とお願いしてしまったのだ。本当に申し訳ない。
「……申し訳ない…。」
クレイスが謝罪する。
「あなた自身はすぐには許さないけど…、一番許せないのはアザゼルよ。」
「な、な、何のことですかぁ?」
「何で悪魔の名前が出てくるんだ?」
事情を知らない二人が聞いてくる。反応からしてシルキーとダインは知っているようだった。
「俺が…話そう…。」ゴホッゴホッ
クレイスがゆっくりと話し始める。その口から血が流れている。
「ダメですよ!!安静にしてくださぁい!」
「わたしから話すわ。」
シルキーが治癒魔法をクレイスに施しながら話し始めようとした。
「あなたも!魔法に集中してくださぁい!!」
この場において一番の権力者はセリスであった。
こうなると自然に目線が一人の男性に向けられる。
「…俺!?」
ダインが突然期待の眼差しで見られ、ドギマギする。
「あなた以外誰がいるのよ。頼むわダイン。」
シルキーがお願いねと念を押す。
「まだ一言も発してなかったんだが…まさか自己紹介よりも先にクレイスの話をする事になるとは…。」
渋々といった感じでダインが昔話を始めた。
アルケイデスが魔物に襲われた話、クレイスがおかしくなった話、クレイスのプロポーズ(言わなくていい!!)、その後語ってくれた悪魔の加護の話。
全て聞いた。
「俺たちはあの時、多くの仲間を失った。毎日うなされたよ。」
アリサは自分の過去を思い出していた。
村の皆が殺され、父と母が殺されたあの日…
重い空気が流れ、静寂が訪れた。
その静寂を切り裂くようにサンが口を開く。
「…なんでクレイスさんは今、無事なの?」
「なんで、とは?」
「作戦が失敗して放置するなんて、考えられなくて…。」
つまり、サンが言いたいことというのは、こうだった。
悪魔の加護という強大な力を手に入れた脅威となりうる存在を何故放置しているのか。
アザゼルで手に負えないにしても、他の悪魔を寄越すのが普通なのではないか、と。
「確かに、私も同意見よ。」
アリサにも身に覚えのあることだった。
勇者の末裔である自分も、この瞬間生かされている。
今となっては対抗するすべもあるかもしれないが、少なくともコレーやレイムブルグでの一件の時はなかった。
しかし、殺されなかった。
「何か…裏がありそうだな。」
クレイスのその言葉とともに、部屋に静寂が訪れた。
この時、この場にいる全員が限界に達していた。
アリサ達はロクに寝ておらず、クレイスは力に飲まれアリサによって戦闘不能状態に。
ダイン、シルキーに関してはつい先ほどまで生贄としてベリアルという悪魔に囚われていた。
疲れ切った部屋の中、静かに治癒魔法の音だけが響く。
これ以降皆は口を開かなかった。
しばらくしてクレイスの処置は終わり、クレイス、シルキー、ダインは自らの寮へと帰って言った。
「…君たちの仲間を危険な目に合わせた…。すまなかった…。治癒、感謝する。本当にありがとう。また、後日、君たちを伺うよ。」
クレイスは深く頭を下げ部屋を出ていった。
三人を見送った後すぐに気絶するようにセリスは眠ってしまった。魔力も底をついたようで、限界がきたようだ。
サンも一日中アレクの看護をしていたため、セリスの後を追うように眠ってしまった。
「…私も疲れたわ…。」
アリサは二人をベッドに運び布団をかけて自らもベッドに入った。
(この後どうしようか…、起きてから…決めよう…。)
ベッドに入ってすぐアリサも寝てしまった。
すでに朝方になっていた。
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