13番目の神様

序章

彩人転生

   ………ん？

俺は…死んだのか？ここは？なぜ意識がある？死後の世界ってやつなのか？

   …体の感覚がある。

   とりあえず落ち着いて目を開けよう。それから考えよう。知らない天井ならあのセリフを呟こう。うん、そうしよう。

   晴天の青空、ふわふわの草々。広がる木々。

   目を開けるとそんな景色が広がっていた。

「俺がベッドだと思ってたのは、この草か…、いったいここはどこなんだ？知らない天井どころじゃないぞ？」

『起きましたね』

   頭に鳴り響く

「っ！？誰だ！？どこから話してるんだ！？」

『落ち着いてください、危害は加えませんから。私は12番目の神、ペルセポネ。冥界の王妃でございます。私は冥界にてあなたの脳に直接語りかけています。』

「脳に直接？神？ついていけないんだが…、とりあえずここはどこなんだ、教えてくれないか？」

『ここは、あなたがいた世界とは別の世界です。』

  「え？」と言わざるを得ない、全く意味がわからない。

『あなたが
いっそ、知らない世界にでも行きたいなぁ。
っておっしゃったのではないんですか？』

   確かに言った。だが、さすがにびっくりするだろうこの状況。

「とりあえず説明してくれ、話を聞くよ。今のままじゃ何が何だかわからない。」

『わかりました。では…』


   

   …それで、ペルセポネが言うにはこういうことらしい。

   あなたは、刺されて死にました。死ぬ前にちょうどいいことを言っていたのと、精神が極限まで強かったので異世界転生者に選びました。あなたにはここで、世界を救ってもらいます。よろしくね！

らしい。

「いやいや、まてよ、世界を救うってなにすりゃいいんだ俺は。」

『この世界で、魔王ルシファーが目覚めようとしています。ルシファーが目覚めてしまうと、この世界が完全な崩壊を迎えてしまいます。』

『しかし神は手を出せません、出してはならない決まりなのです。』

『なのであなたのような転生者を用意して、抵抗をするのです。』

   勝手なことばかりする神だ。

「俺にそんなことができるとでも？」

『できます。その証拠は、この先の街へ向かえばわかります。』

「…とりあえず、このままじゃどうしようもないし、街に向かうよ。」

『ありがとうございます。私ももう時間のようです。これ以上は関与できない決まりですので…また、どこかで』

「ああ、またな。何にせよ、もらった命だ。お願いくらい聞いてやるさ。」

『ありがとうございます。その、精神力は、類稀なるものですので。大切になさってください。それでは。』


   こうして彩人は、異世界で新しい命をもらい、新しい人生を歩み始めたのだった。