13番目の神様

きついマン

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一章

道中

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   俺は街に向けて森の中を歩いていた。

   この世界に来てわかったことは、今のところ3つ。

   1つ目、植物は全部見たことのないもの。
   2つ目、生物も全部見たことのない生物。
   
   そして
   3つ目、今その生物に襲われそうになってるってことだ。

   前方50m先で興奮している生物は、見た目は熊のような生物だ。ただ、熊とは決定的に違うところがある。ツノが生えている。そのツノには電気のようなものが帯びている。
 
   俺はそんな生物(魔物?)にでくわして、恐怖に怯えているというわけだ。

「さて…どうやって逃げたものか…、ってか逃げきれんのかこれ…」

   俺はしがない地球人。こんな魔物みたいなやつに勝てるわけがない。だが、生き返ったばかりで死ぬ気もない。

「とりあえず、目を離さずに逃げてみるか…」

   地球で聞いた熊の対処法が通じるとは思わないが、やってみるほかない。

   少しの希望を乗せ、俺は動いた。

  

  

   …が、無駄に終わった。

  俺が動いた瞬間、魔物がこちらに向かって走って来た。

「マジかっ!!!」

  回れ右して全力疾走だ!!三十六計逃げるに如かず!!!

  全力で走っているが、距離がぐんぐんと縮められていく。
 
「くそッ、魔物の方が速い、追いつかれちまう!!」

「グガァァァァァァァアアア!!!」

  魔物の爪が俺に伸びて来た。終わりだ。新しい人生もここで終了か…

「んなわけあるかっ!!!」

  俺はかわすために姿勢を低くし、横に飛んだ。

  瞬間。

  俺は驚愕した。

  かわした後、魔物の爪は地面に接触した。爆音とともに、その接触した場所にはありえない大きさの穴が空いていた。

「え?」

  もし当たっていたら、100パーセント死んでいただろう。

「シャレになってねえよ…」

  そう呟いたとき、突然魔物に矢が刺さった。

「グギャアアアアア!!!」 

  魔物は痛さで叫ぶ。

「なんだ!?どこから矢が?」

「君!!離れて!!!」

  声が聞こえた方に向くと、森の中、そこには可憐な女性が弓を構えて立っていた。

「君は…一体?」

「話は後!!!早く隠れて!」

「わ、わかった!」

  俺は素直に横の草むらに隠れた。死にたくないからな。そこ、情けないって言わない。

「いい判断よ。そこで見てなさい!!」

  そういうと彼女は、目にも留まらぬスピードで矢を数本射った。

「ガァァァァ!!」

「弾いた?!」

   すでに体制を整えていた魔物は矢を弾き返し、彼女の方へ向かって走る。そしてそいつは力強く腕を振った。

   あたる!!

   そう思った瞬間

「やっぱりダメね、しょうがないわ。」

  そういうと彼女は弓を捨て、剣を抜き、跳びかかる。
 
   彼女は魔物の大きく振った鉤爪を跳躍で華麗にかわし、そのままの体制で剣を振り下ろした。

  魔物は首から両断された。

「え?!」

  俺は驚愕した。本当に一瞬で、熊の魔物が両断されたのだ。

  着地した彼女は剣を振り、血を払いながら呟いた。

「矢はやっぱり弾かれるわね…」

    俺は草むらからおそるおそる出て、彼女にお礼を言った。

「た、助けてくれてありがとうございます。」

「私もあいつの討伐に来たのだから、お礼なんて大丈夫よ。それにしても、こんなところで何をしていたの?」

「この先にあるって聞いた街に向かっていた途中で、あの魔物に襲われてしまいまして…」

「街っていうと、コレーかしら?」

「名前はわからないんですが、おそらくそこだと思います!」

「この先の街って言ったらコレーくらいだし、そこのはずよ。あと丁寧に喋らなくてもいいわよ。多分同い年くらいだし、かしこまってムズムズするわ。」

「あ、あぁ、わかった。」

「ところで、どうしてコレーに?」

「俺はとある人にその街に行けば何をすればいいかわかると聞いたんだ。だから向かってる。」

「ふーん…、まあ深い内容は知らないけど、コレーなら案内してあげるわ!私もコレーに行かなきゃならないからね!」

「本当か!それは助かるよ!1人だと命がいくつあっても足りないからな!」

「ふふっ確かに途中で死んじゃいそうね…、こっちよ!付いて来て!」
    
    彼女は少し微笑み歩き出した。その笑顔はとても美しく、可憐であった。

「まってくれ!!」

   そうして俺は、強く美しい女性についていくことになった。
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