13番目の神様

きついマン

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四章

内部

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 洞窟についた途端に、セリスが顔色を悪くした。

「大丈夫?セリス…」

 アリサが心配そうな表情でセリスを見ている。

「大丈夫ですけど…魔素の質が…悪いです…」

 どうやら魔法を使う分、魔素に対してかなり敏感なようだ。魔法の使い方も知らない俺ですら、かなり気持ちが悪い感じがする。

「無理してついてこなくても大丈夫よ?」

「いきますぅ…」

 すでにフラフラだが、大丈夫だろうか…



ー内部

「暗すぎるな。」

 中はかなりの暗さで、セリスの光魔法がなければ1メートル先も見えないだろう。
 魔物同士が争ったようで、そこらに死体が転がっている。腐敗臭もかなりしており、単純に気分が悪い。

「思ったより中は静かね…この洞窟に来るまではかなりの魔物がいたのに…」

 アリサの言う通り、中は死体ばかりで生きた魔物は今のところ見えない。

「とりあえず奥へ進もう。」

 内部構造は鍾乳洞のように入り組んでおり、おそらくレイムブルグの人達が歩いていたであろうところにだけ、目印がある状態だ。俺達はそれに従って歩いている。

 気を張って歩いていると、セリスが急に立ち止まった。

「なにか、いる…」

「…?何も見えないぞ?」

「あっち…」

 そう言ったセリスの指をさした方を向いたが、何もいない。

「…壁画?」

 そこにはかなり大きな壁画があった。
 壁画の内容は良く見えない。

 その時、壁画の方から声が聞こえた。

「その昔、我々の王であるルシファー様は神を喰らい、この地へ降り立った。」

「誰だ!!」

「本来、神を喰らうことは勿論神と同格かそれ以上でないと成し得ない。」

 暗闇から声の主が少しずつ姿を現す。アザゼルではないようだ。

「ルシファー様は格下であるにもかかわらず、格上の神を食らった。」

 暗闇からセリスの光の届くところへ声の主が姿を完全に現した。

 身長は高く、気品のある紫髮の男性だ。

「だが、おいたわしいことに、その時深傷をおってしまった。」

「その傷を癒すために、この世界へ来たのだ。」

「しかし!!」

 紫髮の男性の表情が一気にこわばり、何かを感じ取ったセリスが短い悲鳴をあげた。

「この世界のグズ、ゴミ虫どもは、軍を組み、ルシファー様を脅かした!!!」

「ただの、ゴミ風情が!!高貴なるルシファー様を脅かしたのだ…!!」

「…ルシファーって奴はこの世界に何かしでかしたんじゃないのか?」

 俺は素直に、疑問に思ったことを聞いた。

 返答は
「ルシファー様はこの世界を喰らい、糧とすることで復活を望んだ。いくらこの世界を喰らっても、ゴミどもは関係ないだろう。むしろ魔王であるルシファー様の糧となることに感謝するべきだ!!」
 だった。

「勝手な都合で一つの世界壊しにかかるとかどういう教育してるんですかぁ?だいたい、憎まれはすれど、感謝なんてされるわけないだろうが!!」

 紫髮は無視して続ける。

「軍だけなら良かったんだ…クソ神どもめ…あんなものをこの世界へよこしやがって…」

 そう言い切った瞬間、姿が消えた。
 
 ー途端に、左の手のひらに痛みを感じた。

 いや、これは痛みなどという生易しいものではない。

 穴が、開いていた。

「っがぁぁぁぁ!!?」

「アレク!!」

 なんだなんだなんだなんだ!?何が起こった!?あいつは?それより…

「アリサ!離れろ!」

「アリサ、とか言ったね?」

 紫髮はすでにアリサの後ろに回っていた。

「アザゼルはみたいですけど、君、あの忌まわしい勇者の子孫だね?」

「ー!?」

「どうして、って顔をしてるようだね。教えてあげよう。アザゼルはんです。理由は、アザゼルは監視専門で、結界にはめっぽう弱いんですよ。」

「…昔からね。」

「私はその点、結界なんて意味がない。」

 そう言いながらまた消える。

 そして左手の痛みに苦しむ俺の目の前に急に姿を現し、口裂け女のように口を開いて、喋る。
  

「私は、大罪を持つ悪魔の1人。【喰らう者】暴食のベルゼ・ブブだ。以後お見知りおきを…忌まわしき神の殿。」
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