13番目の神様

四章

洞窟

「魔物だぁぁぁ！！」

　寝ていた俺達を起こしたのはけたたましい狂騒だった。
　窓の外を見ると、村人達が大量の魔物に襲われていた。

「何があったんだ…！？」

　急いで外に出ようとすると、ドアが勢いよく開いた。

「アレク無事！？」

　ものすごい剣幕のアリサが立っていた。後ろにはセリスも見える。

「そっちは2人とも無事みたいだな。怪我もないか？」

「こっちは大丈夫よ、それより早く助けに行かないと！」

「そうだな、話は後だ！！」

　俺たちは急いで外に出た。

「お前ら！無事だったか！！」

　そこには多数の熊型の魔物と戦っている村長とサントがいた。

「まさか村の中にこんなに入って来やがるとは、想定外だったぜ…！」

「アレクさん達がご無事でなによりです！」

「ここは俺たちが食い止めるから、お前達は村の中心へ向かってくれ！」

「わかった！！行くぞ2人とも！」

「「そのつもりよ(ですぅ)！！」」

　俺達は後ろを村長達に任せて村の中心へと走った。昨夜訪れた時の、色鮮やかで華やかな飾りは見るも無残なものになっている。
　ところどころ火の手が上がっており、あたり中から狂騒が鳴り響く。

　走ってまもなく、中心部へ到着した。周囲の状況は、魔物と戦っている人が数人。倒れている人が多数だ。どう見ても劣勢だろう。

「ぎゃああああ！やられる…助けてくれぇえ！」

　叫び声が響いた。

　そちらの方を向くと、今まさに村人を引き千切ろうとしている熊型の魔物がいた。

「助けるぞ！！」

　俺がそう叫ぶと同時に、俺とアリサは跳躍した。 
　距離数十メートル。1秒もかからずに俺は到達し、村人を掴んでいる腕をへし折った。その表紙に抜け出した村人は驚愕と安堵の表情を交互にしている。
　そしてすぐに間をおかずに腹部をぶん殴った。魔物の腹部に風穴が空き、倒れた。

「大丈夫か！」

「…あ、あぁ…助かったよ…ありがとう…」

　よかった、間一髪間に合ったようだ。

「セリス！怪我人に治療を！」

「もうやってますよ！！」

　セリスはすでに深傷の者たちから治療に当たっていた。

　ズウウゥン…

　大きな音が響いたのでそちらを向くと、アリサが魔物を切り倒していた。向こうも無事なようだ。

「この辺の魔物は狩ったわね。」



「おい大丈夫か！！兄弟！！」

　村長達が戦闘を終えてこちらへ向かって来ていた。
　
「こっちは無事だ！そっちは！」

「こっちも無事ダァ！！あんなもんで死ぬかよ！」

　どうやらこの村の人達はそれなりに強いようで、負傷者はかなりいるみたいだが、死者はまだ出ていないようだ。

「兄弟、お前さん達に頼みがある！！」

「頼み！？」

　まだまだ大量にいるモンスターを蹴散らしながら話す。

「ああ！この村は村長の名にかけて俺が守り抜くから、お前たちには洞窟にいって元をたってほしい！」

「そういうことならもともと行くつもりだったからな！任せろ！」

「すまねえ、村のことを客人に任せるなんてな…」

「気にすんなよ！」

「ありがてえ…、洞窟は村の中心部からさらに北へまっすぐ行くと見えるはずだ、道は開ける。任せたぞ！！」

　村長はそう言って、正面にいる敵を蹴散らした。
　大きく開いた隙をみて俺たちは一気に駆け抜けた。セリスは足が速くないため、俺がお姫様抱っこで連れて行く。決してやましい気持ちはない。

　俺達は洞窟に急いだ。