13番目の神様

きついマン

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二期 一章

アジト

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「……」

 アジトに着いた俺たちは絶句していた。先ほどの薬屋よりも更に悪趣味な装飾。見ているだけで気持ち悪くなってくる。

 壁は全面的に金色。門には晒し首のオブジェ。庭には墓。柵からは血が垂れているかのような装飾。

 いや、悪趣味すぎる。

「どういう感性でこんなデザインにしたんだ?」

「わからないわ、全く。」

 各々感想を述べているなか、セリスが異変に気付いた。

「中にいるのって、こないだの悪魔みたいな奴なんですよねぇ?」

「あんまり気持ち悪くないですぅ。」

 どういうことだ?セリスの抵抗力が上がったのか?

 どうやら裏がありそうだ。

「とりあえずサンの付き添いって言う体でお邪魔するか。」

「サン、頼む。」

 コクリと頷いたサンは、門を開けて敷地内へと入って行った。俺たちはそれに着いって行った。

 趣味の悪い扉をサンがノックすると、すぐに開き中からこれまた趣味の悪い服を着た女性が出て来た。

「サンか、入れ。む?そいつらは?」

「今回のブツの回収の為の連れだよ。」

「ふむ、お前たち、変な気は起こすなよ。マモーン様に殺されたくなければな。」

 どうやらマモーンの強さがここでの信頼のようで、俺たちのような部外者を入れても、何か起こせば殺せる。とでも思っているようだ。
 こちらとしても都合がいい。

「お邪魔するぜ。」

 趣味悪女に着いて来いと言われたのでまっすぐ廊下を歩いて着いて行く。

 小声でセリスに尋ねた。

「気分はどうだ…?」

「大丈夫ですぅ、それどころか何も感じません…」

 何も感じないと言うことは、もしかしたらベルゼ・ブブより高位の使い手で、自分の魔力を隠すことぐらい容易くできてしまう奴なのでは…

 悪い予想が頭の中を駆け巡る。

 当たらなければいいが…

「着いたぞ。」

 目の前には割とふつうのドアが1つある。なぜここだけふつうなんだよ!と心の中でツッコミを入れたくなるほどふつうだ。

 趣味悪女が扉を開けると、目の前のソファに踏ん反り返ってる男がいた。

「どうしたレアンド、そいつらは?」

「サンと、今回のブツ回収協力者とのことです。」

 説明を聞いたマモーンらしき男がこちらをジロジロとみて、笑顔になった。

「おぉ、やっと来たか!サン!待っていたぞ!!まさかおなごたちまで連れて帰るとはな!褒美はたんまりやろう!」

「ん?男も紛れているな、そいつはなんだ?」

「俺も連れ添いです。」

「おなご以外はいらんぞ、牢屋につめとけ。」

 え?急に?!

 一瞬にして趣味悪女の軍団に囲まれてしまった。おそらく二十人ほどだ。

「おいおい!聞いてないぞ、いきなりバトルスタートか?!」

「捕まえなさい。」

 マモーンだと思われる男の号令で、一斉に趣味悪女が飛びかかって来た。

「いやいやいやいや!問答無用すぎない?!」

「結局こうなるのね…」

「アレクさん大丈夫ですかぁ!?」

 突然襲いかかられてビックリしたが、まったくもってピンチではない。普通の人間には俺はおそらく負けないし、何人束になろうと関係ない。二人に心配かけるのも嫌だし、さっさと気絶させるか。

「女性に手を挙げるのは嫌なんだがなぁ…」

 手始めに目の前から走ってくる女性の首に手刀を落とし、気絶させる。後続からふたり走ってきているので、一度上に飛んでかわす。

「捕まるかよ!」

 数人が俺に反応して同じ高さまで飛んでいる。後ろの一人を手を伸ばして掴み、前に放り投げもう一人にあてる。投げた反動で少し後ろに移動し、そのまま着地。着地してすぐ目の前の三人の首に手刀を落とし、気絶させる。

 俺の動きを見て、女達がたじろぎ始めた。

「お前、何だその動きは?うちのメイド達はかなりの使い手なんだぞ?」

 この趣味悪い服、メイド服だったのか…普通のやつのがいいな…

「まぁ、そこそこ強くてですね…」

「そんなことより、子供を使って自分のゲスな欲求を満たすのはやめたらどうだ?マモーンさん?」

「その通りよ!!」(ですぅ!)

 いつのまにかサンを連れて俺のところへ戻ってきていた二人もすでに構えており、口を揃えて言う。

「うぐぐぐ…貴様らぁ、俺を『強欲』のマモーンと知っての行動か!?」

「どうせ俺はその悪魔達と戦わなければいけない運命なんだ。今更ひかねえよ!」

「ふん!!命を大事にしないやつだ。いいだろう、お前ら!下がれ!」

 マモーンの号令とともにメイド達は後ろへ下がる。

「かかってくるがいい!!」

 マモーンが前に出てきて、武道の構えをとった。

「三人ともさがってて、俺がやるよ。」

 三人を後ろへ下げて、一騎打ちに持っていく。
 …しかし、おかしい、マモーンからあまり覇気を感じない。構えはたしかにしっかりとしたものだし、スキもない。武術の達人は間違いないだろう。だが、悪魔のような怖さ、圧倒的感をまったく感じない。

 …罠かもしれない。本気で…

 周りは固唾を飲んで見守っている。

 静寂の中、俺が小さく息を漏らす。

「ハッ!!」

 俺は全力で地面を蹴った。地面が割れ、真っ直ぐに飛ぶ。右手に軽く力を入れ、マモーンの顔面に振り下ろす。牽制を放って相手の出方を見る作戦だ。

 だがマモーン、どうやら牽制に気づいているようだ。動く気配がない。おそらくギリギリで交わして反撃が来る!これは一発もらうか?いや待て?この距離流石にかわせなくない?動かないのか?

 …………拳がマモーンの顔面にぶち当たった。

「ぷぎゃあああああんあんあうああああああああんああ!?!?」

 瞬間もんの凄い勢いで飛んでいくマモーン。

「えぇっ!?!」

 あまりの吹っ飛び方に驚いてしまったが、ここまでが罠だったら…と思い、追撃に行く。油断せずに速攻作戦に変更だ!

「ずる賢いな!いくぞ!」

「いいいやまてまてまて!!止まれ!嘘だ、マモーンじゃない全部俺が悪かった許せ待て!!」

 すでにマモーンの元に近づこうとしていた俺は、全力でブレーキをかけて、土下座しているマモーンの前で止まった。

「え??何?何事?」

「申し訳ございません。私、マモーンなんて、嘘をついておりました。」

 あぁ!なるほど!嘘か!だからこんなになにも感じないのか、納得納得。

 って

「嘘ぉ!?」

「はい、私、少し強いだけのただの格闘家でして…」

「ど、どうしたのアレク!!」

 後ろから異変を感じたアリサが近寄って来ていた。
 セリスは魔法詠唱に入っている。

「セリス!アリサ!大丈夫だぞ、このおっさん、ただのおっさんだ。」

「「「え?」」」

 サンも含めた三人が驚愕の顔をしている。

「なにかおかしいと思ったんだ、全く力を感じないし、セリスも反応しないし…」

 と俺が二人に説明していると、背後から殺気を感じた。

「ははぁ!背を見せるとはおろか!これでも私のステータスはたかぶへぁ!!!」

 おっさんが飛びかかってきたので、ものすごく力を抜いて腹を蹴った。

 おっさんはその場でうずくまり、恨めしそうにこっちへ向いた。

「ぐ…そ、そんな…私のステータスはオール500近いのだぞ!?なぜ手も足も出せないのだ!!」

「500!?相当な使い手じゃない!」

 アリサが仰天の顔を浮かべてそういった。

「私まだ200付近よ…ランクで言えばCほどもあるじゃない…初めて見たわ…」

「私も初めて見ましたぁ…Cなんて軍事国家にしかいないようなレベル…そんな人を軽くあしらうなんて…今アレクはどんなステータス何ですか?」

 あいつそんなに強い奴だったのか…悪目立ちしちゃったかもな…

「ん~、それより、おっさんは洗いざらいした事を吐くんだな。」

 俺はその場を切り抜けるべく尋問にはいった。
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