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二期 一章
薬
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「それで?薬の買い占めも、全部お前がやったというわけだな?」
「ああ、そうだ。」
おっさんの先程の元気はどこかへ消え失せ、どこか虚ろな目で質疑応答している。
「パンツは趣味か?」
「最高。」
「きかんでよろしいいわ!!」
アリサからちょこちょこツッコミをもらいつつ、続ける。
「何でサンに目をつけた?」
「それはだな、家庭環境やサンのスキルを見て付け入りやすいと思ったからだ。」
「スキル?」
「サンから聞いてないのか?盗賊スキル持ちだ。」
「なんでお前がそれを知れたんだよ。」
「俺のスキルが『スキルライブラ』だからだよ。」
おっさんの説明を聞いたと同時に、脳内に音声が響いた。
『スキルライブラ、相手のスキルが分かるようになる。レベル次第で見える範囲が増加。』
「なるほどな、俺のスキルは見なかったのか?」
「見たさ、アウトドアだろ?」
どうやら神化の方はバレていなかったらしい。おそらく相手のスキルレベルが足りなかったのだろう。
「まあ、半分正解だ。…ということは、スキルライブラで適当に見て回り、盗賊スキル持ちの、さらに付け入りやすいやつを狙った犯行だった。というわけか。」
用意周到というか、回りくどいというか…悪魔どころか完全に人間の悪どいやり方じゃないか…
「ていうか、お前そもそも強いんだろ?何で自分でしないんだよ。」
「そ、それは…女性を傷つけたくないからだよ…」
変なところで紳士的ぃ…
「変態紳士…」
セリスがボソッと呟いたのとはべつに、また脳内に声が響いた。
『スキル:勇気発動。派生スキル発生。スキル:ラーニング発動。スキルライブラを覚えますか?』
…これは、相手の力をコピーができる技って認識でいいのか?
答えはもちろん、はい、だが、チート性能すぎないか?
「まあ、そんな変態紳士さんには、薬を渡してもらいましょうかね。」
「は、はい…」
おっさんはストレージバッグの中から薬を取り出して、サンに渡した。
「サン、それでお母さん治りそうか?」
「うん!!ありがとう!」
サンは満面の笑みで答えた。いい返事だ。
薬を渡して、一息つくとおっさんが口を開けた。
「俺は、変態に成り下がっても自分の強さには自信があった。この後裁かれる身だ。土産にお前のステータスを教えてくれないか?」
正直、言ったって別に構わないのだが、変態に教えるのはなぁ…
まあ、土産としてだし、教えてやるか。
「少しだけならいいが、それでいいか?」
「構わない。」
「力が7000、精神が10000ほどだよ。」
そう言った途端、聞いていた全ての人が、各々飛びのいたり手に持っていたものを落としたり、色々な反応を見せた。
「だから言いたくなかったんだよ…」
「アレク、あああああなた、精神がS、災害?え?本当に人?!」
「はわわわわ…ありえないですぅ…」
いや、お前ら二人まで驚いちゃうと話が混み合っちゃうだろ…
俺がため息をつくと、おっさんが大きく笑い始めた。
「はっはぁっはっはっ!!そんだけ強けりゃ俺なんか虫ケラ、いや、埃のようなもんか!!完敗だ!甘んじて罪を償うよ。いい土産をありがとう。このままギルドに連れて行ってくれ。」
「お、おう。わかった。」
このおっさん変態じゃなかったらいい奴だったのになぁ。
心の中でそんなことを思いながら、おっさんをギルドまで連行した。
ギルドでは悪人の引き取りも行なっており、指名手配でなくとも、犯した罪の重さ次第で牢屋行きが決まる。
引き渡した後の仕事はギルド側の仕事だ。とセリスが言うので、引き渡したあとはすぐにサンの家に向かうことができた。
サンの家では今にも息を引き取りそうなほど衰弱している女性が一人寝ていた。
「ママ!薬だ!このにいちゃん達が独占してる奴から取り返してくれたんだ!」
帰り着くやいなや、サンは母親の元に走り出した。
「あらあら…はしゃいで…ありがとう……旅のお方達…?…ありがとうございました…助かります…」
今にも消え入りそうな声でお礼を言う女性。
「お礼はいいから早く薬を!!」
女性は静かに頷き、薬を飲んだ。
「これで絶対に治るさ!ママ!」
「…なんか目がうるうるするな…」
「そうね、私はもう号泣よ。」
「助かりぞうでよがっだでずぅ…」
泣きながら母親を寝かしつけるサンの姿は、たくましく男そのものだ。歳をとってから涙脆くなったか、涙が出てきた。
落ち着いた後、サンは俺たちにお礼を言った。
「ありがとう、お兄ちゃん達のお陰で助かったよ。お姉ちゃんも盗んじゃってごめんなさい。盗んじゃったお詫びに、うちの船をあげるよ。好きに使っていいよ!」
「いいのか?!たすかるよ!」
「いいよ!長い間使ってはなかったけど、僕が定期的に整備してたから使えるはずさ!」
願っても無い。
「有り難く使わさせていただくよ!」
話がひと段落して、1つ俺は思い出していた。
…そういえばさっきさらっと流した、ラーニング。サンにも使ってみるか…
『スキル:ラーニング発動。盗賊スキルを検知、覚えますか?』
はい…っと
『ラーニング完了。スキル:盗賊を覚えました。』
いや、チートすぎん?
「ああ、そうだ。」
おっさんの先程の元気はどこかへ消え失せ、どこか虚ろな目で質疑応答している。
「パンツは趣味か?」
「最高。」
「きかんでよろしいいわ!!」
アリサからちょこちょこツッコミをもらいつつ、続ける。
「何でサンに目をつけた?」
「それはだな、家庭環境やサンのスキルを見て付け入りやすいと思ったからだ。」
「スキル?」
「サンから聞いてないのか?盗賊スキル持ちだ。」
「なんでお前がそれを知れたんだよ。」
「俺のスキルが『スキルライブラ』だからだよ。」
おっさんの説明を聞いたと同時に、脳内に音声が響いた。
『スキルライブラ、相手のスキルが分かるようになる。レベル次第で見える範囲が増加。』
「なるほどな、俺のスキルは見なかったのか?」
「見たさ、アウトドアだろ?」
どうやら神化の方はバレていなかったらしい。おそらく相手のスキルレベルが足りなかったのだろう。
「まあ、半分正解だ。…ということは、スキルライブラで適当に見て回り、盗賊スキル持ちの、さらに付け入りやすいやつを狙った犯行だった。というわけか。」
用意周到というか、回りくどいというか…悪魔どころか完全に人間の悪どいやり方じゃないか…
「ていうか、お前そもそも強いんだろ?何で自分でしないんだよ。」
「そ、それは…女性を傷つけたくないからだよ…」
変なところで紳士的ぃ…
「変態紳士…」
セリスがボソッと呟いたのとはべつに、また脳内に声が響いた。
『スキル:勇気発動。派生スキル発生。スキル:ラーニング発動。スキルライブラを覚えますか?』
…これは、相手の力をコピーができる技って認識でいいのか?
答えはもちろん、はい、だが、チート性能すぎないか?
「まあ、そんな変態紳士さんには、薬を渡してもらいましょうかね。」
「は、はい…」
おっさんはストレージバッグの中から薬を取り出して、サンに渡した。
「サン、それでお母さん治りそうか?」
「うん!!ありがとう!」
サンは満面の笑みで答えた。いい返事だ。
薬を渡して、一息つくとおっさんが口を開けた。
「俺は、変態に成り下がっても自分の強さには自信があった。この後裁かれる身だ。土産にお前のステータスを教えてくれないか?」
正直、言ったって別に構わないのだが、変態に教えるのはなぁ…
まあ、土産としてだし、教えてやるか。
「少しだけならいいが、それでいいか?」
「構わない。」
「力が7000、精神が10000ほどだよ。」
そう言った途端、聞いていた全ての人が、各々飛びのいたり手に持っていたものを落としたり、色々な反応を見せた。
「だから言いたくなかったんだよ…」
「アレク、あああああなた、精神がS、災害?え?本当に人?!」
「はわわわわ…ありえないですぅ…」
いや、お前ら二人まで驚いちゃうと話が混み合っちゃうだろ…
俺がため息をつくと、おっさんが大きく笑い始めた。
「はっはぁっはっはっ!!そんだけ強けりゃ俺なんか虫ケラ、いや、埃のようなもんか!!完敗だ!甘んじて罪を償うよ。いい土産をありがとう。このままギルドに連れて行ってくれ。」
「お、おう。わかった。」
このおっさん変態じゃなかったらいい奴だったのになぁ。
心の中でそんなことを思いながら、おっさんをギルドまで連行した。
ギルドでは悪人の引き取りも行なっており、指名手配でなくとも、犯した罪の重さ次第で牢屋行きが決まる。
引き渡した後の仕事はギルド側の仕事だ。とセリスが言うので、引き渡したあとはすぐにサンの家に向かうことができた。
サンの家では今にも息を引き取りそうなほど衰弱している女性が一人寝ていた。
「ママ!薬だ!このにいちゃん達が独占してる奴から取り返してくれたんだ!」
帰り着くやいなや、サンは母親の元に走り出した。
「あらあら…はしゃいで…ありがとう……旅のお方達…?…ありがとうございました…助かります…」
今にも消え入りそうな声でお礼を言う女性。
「お礼はいいから早く薬を!!」
女性は静かに頷き、薬を飲んだ。
「これで絶対に治るさ!ママ!」
「…なんか目がうるうるするな…」
「そうね、私はもう号泣よ。」
「助かりぞうでよがっだでずぅ…」
泣きながら母親を寝かしつけるサンの姿は、たくましく男そのものだ。歳をとってから涙脆くなったか、涙が出てきた。
落ち着いた後、サンは俺たちにお礼を言った。
「ありがとう、お兄ちゃん達のお陰で助かったよ。お姉ちゃんも盗んじゃってごめんなさい。盗んじゃったお詫びに、うちの船をあげるよ。好きに使っていいよ!」
「いいのか?!たすかるよ!」
「いいよ!長い間使ってはなかったけど、僕が定期的に整備してたから使えるはずさ!」
願っても無い。
「有り難く使わさせていただくよ!」
話がひと段落して、1つ俺は思い出していた。
…そういえばさっきさらっと流した、ラーニング。サンにも使ってみるか…
『スキル:ラーニング発動。盗賊スキルを検知、覚えますか?』
はい…っと
『ラーニング完了。スキル:盗賊を覚えました。』
いや、チートすぎん?
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