13番目の神様

きついマン

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二期 一章

船旅

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「おい、アリサどうしたんだよ。」

 俺たちはサンに譲り受けた船を見に、港へ来ていた。
 港に着く頃には、アリサの様子が変わりはてていた。

「い、いや、なんでもないわ…」

 …なにかが、おかしい。いつもは強気とまでは行かないまでも、こんなにか弱くはないはずだ。
 今のアリサは虫一匹すら殺せなさそうな、そんな風に見える。

「まさかお前…」

「違うわ。」

 俺が言い終える前に遮られてしまった。もしかしてこいつ…

「船、弱いのか?」

「違うわ!!そんなかよわくないわよ!」

 顔を赤くしてアリサが叫んだ。
 …やっぱり船酔いか…

「…酔い止めとかないのか?」

「なにそれ…ていうか、違うし!!」

 いやいや、バレバレですよ~?アリサさん。

「そういえばアリサ、船にめちゃくちゃ弱いの忘れてましたぁ…」

「セリス、なんかいい魔法ないのか?」

「う~ん、酔いをなくす魔法はないですう…」

「違うってばぁ!!」

 もう負けを認めるべきでは…

 アリサと酔う、酔わない論争を繰り広げつつ、港を歩いていた。
 この海の町エノシガは、見るからに海の男の町。住宅街は煉瓦造りの家々だったが、港は一変して船のドックで溢れている。
 市場も開かれており、とれたての新鮮な魚介類をたくさん売っている。

「しかし、あの海の上の家、本当にどうやって浮いてるんだ?」

「あれは確か、下の建材に浮遊の魔法がかかってるんですよぅ、海だから微量の魔力で浮くんですぅ。」

「なるほどなぁ、アリサ行ってみようぜ。」

「無理。ごめんなさい。酔います。」

 あっさりと認めたな。少し申し訳なくなる。

「大丈夫か…この後の船…」

「まずいわ…」

「あれっぽいですよぅ!」

 セリスが指をさした方を見たら、サンの説明通りの船があった。
 船首は長く、赤目の木材で出来ており、帆には剣の紋章。

「おぉ…これは…カッコいい…」

 他の船と比べて小さいサイズだが、幼い頃に封印した中二心がくすぐられる。いいデザインの船だ。

「さて、乗り込むか!」

「うう…不安…」

 乗り込もうとした時、後ろからサンが走ってきた。

「おーい!にいちゃん達~、伝え忘れてたことがあるんだ!」

 サンは全力で走ってこちらへ向かっている。あんなに急ぐってことは、重要な話なのだろう。

「どうしたんだ?」

「いや、大したことじゃないんだけど…」

 次の瞬間サンが驚愕の一言を発した。

「誰が船操縦するの?」

「「「あ。」」」

 完全に失念していた。ていうか誰かが操縦するもんだと勝手に…

「まじだわ、どうしようこれ…」

「僕が操縦しようか?」

「それは嬉しいけど、お母さんは?」

「薬を飲んで1時間。もうピンピンしてるさ。昔、男に負けないたくましさを持ってたママだよ。」

 この世界の薬、効力がやばい。魔法の類いだろうか?

「だ、大丈夫なんだな?」

「うん!ママがにいちゃん達について行けって、迷惑かけたんならちゃんと返しなさいと。」

 先程のサンの母親のイメージに当てはまらないほどたくましい女性だ。病気でふさぎ込んでいたのか…

「だからついていく!」

「…危険な旅だぞ?」

「にいちゃん達がいたら怖いものなんてないし、それに僕はそれなりに強いんだ!にいちゃん達が強すぎるだけさ!」

「私達も評価されてるみたいね…」(プレッシャー)

「何もしてないんですけどねぇ…」(プレッシャー)

「それじゃ、お願いするぜ、サン!」

 任せてください!とサンは息巻いて船に乗り込んだ。続いて俺たちも乗り込み、サンの指示通り動いた。

 帆を張り、荷物を確認し…

 全ての準備が終わったところでサンが聞いてきた。

「どこに行きますか!」

「闘技の町、アルケイデスへ!!」

「了解しました!!碇をあげて!!」

「「「出発!!」」」

 こうして、俺たちは来るべき戦闘に備えるため、闘技の町へと向かった。






「いや私船無理なんだってばぁぁぁぁぁぁぁ!!」
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