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2 違和感
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自分に前世の記憶があると気が付いたのは、まだ小さな子供の時のことだ。
この世界には魔法があって、みんな簡単な生活魔法が使える。
相手を見ながら目を凝らすと、相手のごくごく基本的な情報が見える“鑑定“もそのひとつで、これは習うまでもなく気が付いたら使えていた能力のひとつだ。
そこでは家がいくつも固まってコミュニティ(共同体)を作り、みんなが互いに出来る事を提供し合いながら暮らしていた。
近所のお兄さんが釣ってきた魚や、おじいさんが畑で作ったお米や麦、どこかのお姉さんが摘んできてくれた山菜なんかをみんなで調理して食べてた。
綿から細く紡いだ糸を持っていくと、服と交換してくれたり。
畑仕事を手伝うと、野菜を分けてもらえたり。
そんなコミュニティがいくつも集まって、より大きなコミュニティである“街が“形成されていた。
私が住む街は、“ファロヴェスト”と呼ばれている。
街にはギルド(“仕事斡旋所“兼“役所“兼“銀行“兼・・・、言ってしまえばなんでもアリの“何でも屋“だ)の支店があり、そこに売り物や不要になった物を持ち込むと、ポイントと交換してくれてIDカードに付与してくれる。このポイントが、この世界での通貨だった。
子供もみんなで育てる。
みんな住むのは基本的に母親と一緒だけれど、でも、ついぞ父さんらしき人を見かけたことがない。
鏡で自分を鑑定したときに父さんの名前を確認出来たけど、どうやら近所には住んでいないらしい。
不思議に思って母さんに「父さんはどこにいるの?」と聞いてみた。
「彼はねー、私の発情期の時期にたまたまこの街に立ち寄ってた冒険者だったから、今頃一体どこに居るかも分かんないんだよね」
ニカっと笑いながら答える母さんを見ながら、私は自分の中にある物凄い違和感に気がついた。
家庭にはお父さんとお母さんがいて子供がいる、のが当たり前だと思ってた自分。
発情期ってナンダ と思ってる自分。
そんなとき、年に2回ほど泊まりに行くサーシャおばあちゃんの家で、まるで物語のようなおばあちゃんの前世のお話(私の記憶とはこれまた違った世界観だった)を聞く機会があり、どうやら私の中にもほんの少し、前世とやらの記憶があるらしいと気が付いたのだった。
この世界には魔法があって、みんな簡単な生活魔法が使える。
相手を見ながら目を凝らすと、相手のごくごく基本的な情報が見える“鑑定“もそのひとつで、これは習うまでもなく気が付いたら使えていた能力のひとつだ。
そこでは家がいくつも固まってコミュニティ(共同体)を作り、みんなが互いに出来る事を提供し合いながら暮らしていた。
近所のお兄さんが釣ってきた魚や、おじいさんが畑で作ったお米や麦、どこかのお姉さんが摘んできてくれた山菜なんかをみんなで調理して食べてた。
綿から細く紡いだ糸を持っていくと、服と交換してくれたり。
畑仕事を手伝うと、野菜を分けてもらえたり。
そんなコミュニティがいくつも集まって、より大きなコミュニティである“街が“形成されていた。
私が住む街は、“ファロヴェスト”と呼ばれている。
街にはギルド(“仕事斡旋所“兼“役所“兼“銀行“兼・・・、言ってしまえばなんでもアリの“何でも屋“だ)の支店があり、そこに売り物や不要になった物を持ち込むと、ポイントと交換してくれてIDカードに付与してくれる。このポイントが、この世界での通貨だった。
子供もみんなで育てる。
みんな住むのは基本的に母親と一緒だけれど、でも、ついぞ父さんらしき人を見かけたことがない。
鏡で自分を鑑定したときに父さんの名前を確認出来たけど、どうやら近所には住んでいないらしい。
不思議に思って母さんに「父さんはどこにいるの?」と聞いてみた。
「彼はねー、私の発情期の時期にたまたまこの街に立ち寄ってた冒険者だったから、今頃一体どこに居るかも分かんないんだよね」
ニカっと笑いながら答える母さんを見ながら、私は自分の中にある物凄い違和感に気がついた。
家庭にはお父さんとお母さんがいて子供がいる、のが当たり前だと思ってた自分。
発情期ってナンダ と思ってる自分。
そんなとき、年に2回ほど泊まりに行くサーシャおばあちゃんの家で、まるで物語のようなおばあちゃんの前世のお話(私の記憶とはこれまた違った世界観だった)を聞く機会があり、どうやら私の中にもほんの少し、前世とやらの記憶があるらしいと気が付いたのだった。
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