【完】真実をお届け♪※彷徨うインベントリ※~ミラクルマスターは、真実を伝えたい~

桜 鴬

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【よん・Ⅳ】

乙女ゲーム・第二王子様が!転生者編④

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 ちょっと難しい話になるんだけど、キングス公爵家がとり潰しになり、我国には現在公爵家は二つしか存在しない。本来は四つの公爵家が王家を支えていたの。しかし三家になり永くを経て、更にはキングスがとり潰しに……
 だから公爵家の数が少ないの。政治的なバランスの為にも、王家以外の権力が二家に集中するのは駄目。特に現在残存する二つの公爵家は、バッチリと権力が分断しているの。王妃様を支持する派閥と、王様に側室を侍らしたい派閥ね。このままだときっと、王子たちの内の二人位が、次期王弟として公爵位を拝命することになるでしょう。
 時期王はほぼ長子たる第一王子様で確定。他の四人の王子たちは第一王子様の補佐をしながら、ゆくゆくは婿に出るか公爵位を賜り独立する。現在兄弟仲はよく王太子様を含み、既に皆で助け合いながら政治を回している。
 現王が情けないからね!なのにこの情けない王に側室を侍らせ、己たちが利を得ようとする派閥がいるから……
 ここで私が出て来ちゃう訳よ。私は取り潰されたキングス公爵家の血筋でもあるけれど、犯罪にはいっさい荷担していないし、完璧なるとり潰しの被害者。しかも現在ミラクルマスターとして、ダイヤのクイーンの地位を得ている。一応女伯爵位も有るのよ。領地を持たない宮廷での役職としての貴族の名。いわゆる宮廷貴族ってやつ。これはお城からお給料を貰うための、名前だけの地位なの。
 だけど!余計な権威力を欲しがる奴には格好な獲物な訳。小賢しい子悪党たちは、男爵家は自称ヒロインに継がせ、兄を担ぎ出し公爵位を狙おうともしていたようだけど……さすがに今回の事件でそれはもう無理だと感じたでしょう。騙されていたとしても犯罪に手を貸してしまった兄に、王家と密接な関係と血縁関係が必要になる公爵位は与えられない……するとますます私の立場が……
 私がさらに功績をあげれば、私個人のみでキングス公爵家を復興出来る。しかしこの場合は、私が女公爵になるの。母の時と同様よ。新たに立ち上げるよりは、復興の方が色々と便利だし楽チンよ。特にキングスは王家の血が濃いし、私には先祖帰りの瞳もあるからね。つまり独自でも公爵位を狙える。だけど私は要らないわ。
 しかし私と婚姻すれば、自力で爵位を得る実力のある男性ならば、己の功績を底上げできるの。
 つまり私の伴侶になれば、爵位持ちの男性は、手っ取り早く公爵位を得れる訳よ。しかも通常の女公爵の伴侶という付属の肩書きではなく、己自身が新しい公爵家の主となれる。
 やはり丸っきり王家の血を引かぬものが、独自で公爵位を得るのは難しい。良くて伯爵どまり。正直侯爵も厳しいわ。だから確実に上を目指すなら、自力の頂点+私の血筋と功労で底上げって訳。
 でも私の見かけが子供だったからね……王子たちの公爵位拝命が一番有力視されていたわけ。その王子の誰かと私が結婚すれば、私は権力争いに巻き込まれずに済む。そのための保護されたばかりのころの、第二王子様との偽装婚約。そして今回の偽婚約者って訳よ。
 子供姿でも良いからとシツコイのはいたし……そして今現在私と結婚して、一番自力で公爵位に近いのが……

 「フローラ!  私の愛しき人! 素晴らしい! 私のために成長してくれたんだね。君の美しさに乾杯だ! 眩しくて目が眩んでしまうよ。もちろん今までの君も愛しているよ。 ミラクルマスターとしてだけではなく、是非私生活でも私の隣に来て欲しい……」

 …………出た……ダイヤのキング……。キングは既に自力で伯爵位を得ているの。さらに今日は先月仲間のミラクルハンターたちが探しだし、手繰り寄せたインベントリを開いて、魔王と相討ちした古の勇者の遺産を手に入れた受勲がある。膨大なマスのインベントリを開いたミラクルマスターが、このダイヤのキングなの。
 キザったらしくてヘラヘラしていて、正直私は苦手なタイプなんだけど……実力だけは有るからね。三桁こえるマスを一人で開いたそうだし、中身はかなりのお宝に歴史的に価値のある品ばかりだったから、今回かなりの報奨が与えられるはず。これが私だったならキングス……公爵家の復興を示唆されたでしょう。
 しかしキングにはまるっきり王家の血が入っていないから、爵位を褒美に願うのならギリギリ侯爵位かしらね。ここで今の王に姫様がいれは、降嫁して伯爵から公爵になれる訳なんだけど。私からしたら、侯爵も公爵も変わらないと思うけど?なにも無理して私に色目使うこと無いのに……

 「ほらほら。胡散臭いキングはどいてください。これはまた美しくなりましたね。フローラ嬢。これではますますライバルが増えてしまいそうです。おや?威嚇されてしまいましたか?……可愛らしい毛並みが逆立ってしまいますよ。それでは私は払われぬ内に退散します。後ほどダンスを是非……」

 …………手の甲にチューするな!ダイヤのエース!

 ミラクルマスターの組織図は、トップに【ダイヤのキングとダイヤのクイーン】これは男女別のトップね。その下に【ダイヤ、ハート、スペード、クローバー、四種のエース】が控えるの。キングとクイーンはダイヤのみ。

 エースの四人は男女は関係なし。そのの中でのトップがダイヤのエース。現在は実力と男女比の関係で、エースは四人とも男性よ。ミラクルマスターの組織内部では、ダイヤを名乗る三人が実力ではトップとされる。

 ダイヤのキングとクイーンの実力は……男女別でのトップだから、差がある場合も多い。やはり女性は体力面でも劣るし、数も少ないからね。でも私はエースには負けないわよ。流石にキングには負けてたけど……あれは子供だから体が追い付かなかったの!これだけ成長したし!今なら勝てるかも!絶対に追い抜いてやるんだから!

 でも成長したから……危険がふえたのよね。でも私にはモフ白ちゃんがいるから大丈夫!

 ……この方はまったく役に立っていませんけど?

 呆れて隣の座席を見ると、ポカンとしている第二王子様。……貴方は私の虫除けのために、エスコートしてくれてるのではなくて?なんのための偽装婚約なの?モフ白ちゃんが威嚇してくれてるのに!思いきり太ももをつねってみる。
 「うわぁぁーっと!あ……イタタタタァ ……。お……お二人とも……私という婚約者のいる前で、愛しきフローラを口説いて欲しくないな」
 「「では後ほどいない場所で」」
 二人が去ってゆく……
 「王子は役に立たないにゃん!」
 本当だよ。舐められちゃってるし!王子ってばダメダメじゃん!!なんのための虫よけなのよ!もう……

 ちなみに私たちミラクルマスターが貴族街を徒歩で歩くのは、ミラクルマスターの顔を貴族たちに周知させるためだそう。顔をしっかり覚えて間違いは起こすな!との王家からのお達しらしい。しかも顔出しで歩いていれば、足取りがしっかりわかるから、誘拐等の心配が減るそうで……

 はあ?なら馬車で護衛をつければ良いじゃない!しかも貴族街で誘拐ってなによ!一人で歩いてて、屋敷に引きずり込まれたりしたら危ないじゃない!

 ……えっ……王家の隠密が隠れてるの?バカな貴族を炙り出してるの?

 ミラクルマスターの資質は遺伝しないけど、魔力持ちは確かに貴重だ。魔力の有り無しは遺伝しやすいし、さらには私たちは総じて魔力量が多い。

 なるほど。だから狙われるの……狙うのは貴族ばかりだから、ついでに狙うのね。

 「まあでも、それだけではないよ。城詰めのミラクルマスターたちは、総じて外に出ることが少なくなるからね。だから体を動かす意味もあるんだよ。フローラはまだまだ太っても大丈夫。ここはかなり育ったけと……この辺りにも、あっここにも、もう少しお肉が欲しいな。マシュマロの様に、きっと抱き心地が良くなりそう……」

 「…………」

 私の胸元を覗き込み、ペタペタさわらないでー!お尻も撫でるな!

 「そうですね。腰にはもう少しお肉が必要でしょう。女性は安産型が一番です。未来の可愛い子供たちのためにも、フローラ嬢には健康でいて貰わねばなりません。彼女の体調にも響きますからね。今日は沢山踊り、沢山食べましょう。料理長が張り切ってスイーツを考えていましたよ」

 「…………」

 「もう! 二人ともいなくなったんじゃなかったの? 戻ってきていたの? わざわざ妙な説明はいりません! キングも真面目な顔して、胸元のレースを摘まみながら覗くな! エースもしれっと安産型とか言わないで!この変態ーー」

 「「変態上等ですよ。男は好意のある女性には、グイグイ行きます。ヘタレもいますが……しかし貴女とこのような話が出きるようになるとは……私たちも感無量です……」」

 「フローラ……愛しているよ」

 「フローラ嬢……愛しています」

 私には愛がどうとかがわからない……

 「ヘタレとはなんだ! 私こそフローラを一番愛しているんだ! 二次元の頃からな!貴様らは去れ! 婚約者は私だ! 飛び回る浮気な喋々は、喜んで香りを撒き散らす香りだけの花の方へゆけ。若者同士の邪魔をするな」

 「へえー。王子も女性を花に例えるとは雅ですね……つまりフローラ嬢はこれから満開の花で、私たちが日々喋々として引き寄せられる花たちとは違うと……それは素敵な比喩ですが、普段の花たちは仕事ですよ。すべて社交辞令でのお付き合いですよ」

 ……キングはけっこう楽しんでいるようにも見えるけど?

 「そうです。香水と化粧で香りと見映えを誤魔化している花ほど、見苦しいものは有りませんね。しかし社交は国からの命令です。我々には断れません」

 エース……そうよね。私だって社交も仕事だからと、パーティーにも出てるしダンスだって踊るわ。

 「花の命は短いのです。人は見映えばかりでは有りません。人間性と心です。それらには気品や高貴さが付随します。フローラ嬢は、そのすべてを満たしているのです」

 …………エース!それはさすがにほめすぎよ!

 「…………ぐぬぬぬぬ……私も確かに化粧と香水臭いのは好かん。しかしフローラは渡さない!」

 …………王子ってば!ヘタレと言われたのがそんなに悔しかったの?だからって無理して張り合わなくても良いのにね?

 *****
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