【完】婚約破棄までの1週間はテンプレ三昧。私も幸せになりたい!in 異世界。

桜 鴬

文字の大きさ
89 / 89
【幸福よ世界へ届け編。フィナーレ。】

※未来を紡ぐ私達・婚約破棄は穏便に。(完結)

しおりを挟む

〓〓〓〓〓〓

オマケ。
これにて完全完結となります。
お読み戴き、有り難うございました。
今回聖女リョウはモブになります。
○○人目の娘(姫様)のお話。

〓〓〓〓〓〓

とある国での舞踏会。

突如高らかと響く声。皆は何事かと踊りの足を止め、声のする方へ顔を向ける。皆の注目の中、小脇に美少女を抱えたこの国の王子が、声も高らかに何事かを叫んで居る。

〈私は聖女との婚約を破棄する!弱き者を虐げる様な女と結婚など出来ない!貴様はか弱きルルベルを、嫉妬と身分を嵩にかけ虐めたそうだな!私はこのルルベルと結婚する!真実の愛だ。聖女など要らん!我が国から出て行け!〉

 は?聖女って私の事?大声で怒鳴り指を指す何て品が無いわね。しかも聖女はお母様よ?隣の母を見る。首を傾げるお母様。しかし王子の指は確かに私を指している。この王子は何を言ってるの?横でプルプル震えるお母様。

「お母様?」

《あーやだ。笑っちゃう。これってテンプレな婚約破棄物じゃ無い。要らぬ脚色が多いけど、私が地球から聖女召喚された後と同じ。お城から逃げ出す為に演じた舞台みたい。でも断罪されてるのは私じゃ無いわね。何時の間に王子にくら替えしたの?貴女は悪役令嬢役みたいよ。ざまぁされるの?それともするの?でもあの王子は無いわー。我が子ながら趣味を疑うわ。顔なの?正直随分悪趣味ね。》

「お母様!冗談では有りませんわ!」

私は周囲を見渡す。あ!王様ー!宰相様ー!ブンブン手を振る。お二人の間の場所が空いてるじゃ無い。雛壇だし目立つしあそこにしよう。私はスタスタと王様達の間に行く。そして王様に許可を取り、私を指差す王子に話し出す。

 「すみません。指を指し叫ばれてますが、王子は私に婚約破棄を叫んで居らっしゃるのでしょうか?然しながら私に婚約者は居りませんし、当然ながら聖女でも有りません。因みに聖女はお母様です。またルルベルさんと言われる方とは、顔見知りでもございません。私は見も知らぬ方の不幸を望んでも居りませんし、勿論婚約者でもない王子への嫉妬など微塵も有り得ませんわ。」

〈何を言うか!貴様が私に懸想しとるのは知っとる。聖女だからと、我が国へ無理矢理婚約を捻り込んでる事もな!だからこそのルルベルへの嫉妬で有ろう。知らぬ存ぜぬとしらを切るのは、厚顔無恥も甚だしい。さっさと国へ帰れ!この国から消え失せろ!〉

これは無いわー。聖女でも無いし婚約もしてないと、娘はキチンと説明してるじゃ無い。なのに国外追放ですか?聖女に対してなら尚更ダメダメだよ。しかし何処から来るのよあの自己陶酔。ナルシーとか気持ち悪すぎ。でもあら?かなり強い暗示?瞳の奥に固定してる?暗示の力は弱いけど、心の隙にでも入り込まれたのね。お約束の有れかしら?

〈貴方は頑張ってる。でもそんなに頑張る必要は無いじゃ無い。無理はしないで。私は貴方が心配なの。〉ってテンプレ?

はぁ?もしかしなくても本当にコレなの?君だけが僕を心配してくれるって?王子としてで無く、一人の男として見てくれるって?

この甘ちゃんが!

でもここで解いたら混乱させちゃうわね。可愛そうだけど、1度反対に?ざまぁされて貰いましょう。王様も悪い様にはしない筈。上に立たねばならぬ者の言葉は重い。これが理解出来ねば、王子の未来は無いわ。暗示は素地が無ければ無効なのなから。今の彼は残念ながら、恋に溺れるマリオネット。何を言っても無駄。情けなさ過ぎるわ。

お母様?心の声が駄々もれですよ?王子は暗示にかかってるの?でもそれは心が弱いせいよ。王族なら、ましては時期王になるつもりだったなら尚のこと。今は暗示を避ける魔道具も有る。無茶を戒めてくれる側近は居なかったの?やはり全ては己の責任なのよ。

ザワザワとざわめく会場。王子の言葉に青褪めきる人々。突如会場を威圧する様に、玉座から王の声が響き渡る。

〈厚顔無恥はお前だ!黙れ!〉

〈父上何故!?〉

やはりここで止められる意味が解らないのね。

私が今回この国へ来たのは、聖女たる母の付き添いだ。父は母が一人で他国に親善に行くのを嫌がる。特に今回は国交の無い新規の国だ。しかも突然親書が届き、この王子に誰でも良いから姫を婚約者にくれとの事。我が国は政略結婚はしない。させない。これは聖女たる母が決定した事。聖女たる母は未来の使徒天使様。ラピス神様と同等だ。ラピス神様は、聖女の幸せがこの世界の幸せだと豪語している。約束を違えたなら、間違いなくこの世界は滅びるだろう。母の言葉は神の言葉に等しいのだ。

1度目は優しく警告。2度目は怒りの警告。3度目はブラックリスト入り。これが母の信条。この国は直ぐにブラックリスト入りした。

なので私が留学と言う形で、この国に潜り込んでたの。調べたら親書は、クーデターを狙う王の腹違いの兄が出してたのよ。しかもこのバカ王子っては、その兄の子供らしい。王様は薬盛られて一夜を過ごした女性に子が出来た。慌てて側室にと言う流れ。因みにこのバカ王子は15才。王様は25才。10才の時の子供だよ?王は既に子供の出来る体だったし、閨の教育も済んでいた。でも幾らなんでも怪しすぎるじゃ無い。キチンと調べないこの国ってどうなの?

父王が突如亡くなり、正室の子だからと10才で王に即位させられた。現在の宰相が片腕となるまでの約8年、腹違いの兄に良いように操られてたそうだ。宰相のお陰で王は王らしくなり、逆に兄の立場は弱くなる。兄は焦っていた。

実は王は今だに正妃を迎えて居ない。正妃を迎え子が出来たら、王子の王位継承権の順位は落ちる。己の立場が弱体化している今、息子たる王子の立場が下がるのは戴けない。ならば先に王子に正妃を迎え、後継ぎを産ませる。その正妃の身分が侮れない程ならば、その子は王位にと望まれ近付く筈。何て甘い考えで居たのよ。それに我が国はうってつけだった訳。現在一番勢いの有る大国。しかも聖女の血筋から迎えた王家の姫。この姫が産んだ子を蔑ろには出来ない。次期王にしろとの声は大きくなる筈。

しかも子が出来たら、バカ王子の出自がバレる前に王を暗殺するつもりだった。実売王の食事に微量な毒が盛られてたの。この毒は死にはしない。だから毒味係をもすり抜けた。でも体に毒がなじみ抗体が出来ると、この毒で作る毒消しポーションが効かず、反対に劇薬になってしまう。毒で弱った頃にこのポーションを使えば…。

〈全て聖女様と王女様が調べて下さったんだ。因みに私の体内の毒も、聖女様が全て取り去って下さった。当たり前だが、お前との婚約等は有り得ない。可愛そうだがお前の出自も聖獣様に調べて戴いた。お前は私の子では無く、間違いなく兄の子だ。聖獣様方には魔力の質と流れ、そして魔力気配で解るそうだぞ。〉

〈そんな…。〉

〈確かにお前も被害者だ。だが考えが甘すぎる。正しい判断が出来て居ない。何故この様な公の場でわざわざ見せ付ける様に婚約破棄をした?相手に恥をかかせ、一生の傷を負わせるつもりだったのか?婚約は契約だ。私に直接談判すれば良かったであろう。通常ならそれが当たり前だ。さすれば私の口から真実を聞けたであろう。何故穏便に事を運べなかった?お前にしなだれかかるその娘も、この場へ連れてくる必要は無かったであろう。〉

王子は何か言いたそうに顔を歪めるだけ。反論はしたいが、流石に言葉にならぬのだろう。

〈しかし元凶は兄と騙され言いなりだった私に有る。お前には兄の処分後、空いた兄の公爵位を与える。その娘と結婚するが良い。しかしその娘。かなり派手に遊んどるそわ。先日は町医者で堕胎しとるそうだ。お前の子なのか?お前は堕胎させる程甲斐性が無いのか?この先は自身で調べ考えろ。〉

さあアクションスタート!神々しく大袈裟に締めるわよ!お母様!いえ聖女様宜しくね!
 
 《皆様!只今神様より神託が御座いました。神はユーリ王とミリー姫の結婚を祝福するそうです。互いの気持ちは揃いの腕輪で見届けた。その証しとして、我からは祝福を授ける。婚約にどとのんびりせず、早々に結婚し仲睦まじく添い遂げよとの事です!王子に関しては、臣籍降下により反省の余地有りとの事。結婚に関しては、勿論聖女で有り母で有る私も祝福致します。我が君も認めております。ユーリ王よ。娘を宜しくお願い致します。》

聖女たる母の言葉を合図に、一斉に会場内の電源が落ち周囲は暗闇に包まれる。頭上でパチパチと光が跳ねる。皆が見上げると電気が付いた。ヒラヒラと舞い落ちる花びらと白い羽。この結婚は神の意思だと、会場内が祝福ムードに包まれた。

〈皆のもの!騒がして済まなかった。私はあやつらに感謝せねばならぬな。こんなに素晴らしい正妃を迎える事が出来る。ミリーよ。真実を暴いてくれて感謝する。そして私の愛に答えてくれて有り難う。もう1度皆の前で問おう。私は貴女を愛してる。だが年の差も有る。側室も居た。過去も有る。こんな私でも良いのか?〉

「当たり前ですわ。私は貴方が何方だろうと平気です。犯罪者ならば更正させます。平民ならば毎日料理に洗濯をし、働きながら貴方を支えますわ。王子を息子として育て直すのなら、私も母譲りの教育マニュアルで、微力ながら躾を頑張りますわ。我が国は聖女たる母の言葉が第一です。母は政略結婚を望みません。故に幼い頃からの婚約は有り得ないのです。私達は家事も仕事も育児も出来るんですよ。私は貴方が王で無くともついて行きます。」

〈有り難う。ミリー愛している。〉

 「ユーリ。私も愛して居ます。」

とある国での婚約破棄。母と似た体験をした娘。しかし聖女たる母の協力にて一件落着。

異母兄は離縁された側室と共に、2度と出ることは敵わない監禁塔に幽閉された。国王暗殺未遂に王子の身分詐称だ。本来なら死刑確定事案だが、国王結婚による恩赦で刑が軽減した。

婚約破棄を叫んだ王子は、やはりルルベルに魅了の魔法をかけられていた。聖女により魔法を解かれた王子は、自身の意思を取り戻しルルベルと別れた。己の弱き心に漬け込まれたのだと反省し、落ちぶれていた公爵領を切り盛りし、徐々に堅実に発展させてゆく。王子は自分は楽な道へと逃げて居たと己の過ちを悔いた。生涯独身を誓い仕事に打ちこみ、民の為に命を捧げると誓う。しかし人生何が起きるか解らない…。

だからこそ救いがあるのだろう。

謝罪の為に訪れたストレチア国で、ライドとリョウの○○人目の姫に捕獲されたとかしないとか…。

〈私が付いてるわ!また楽な道に逃げそうになったら、私が捕まえて軌道修正してあげる。私に甘えてよ。私も貴方に甘えたいの。私は魔法も得意よ。精神支配なんてチョロいわ。倍返しよ!ううん。100倍にして返してあげる。任せて!〉

リョウの娘達は、押せ押せタイプが多い様だ。

*****

    
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

聖女の、その後

六つ花えいこ
ファンタジー
私は五年前、この世界に“召喚”された。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...