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【幸福よ世界へ届け編。フィナーレ。】
※未来を紡ぐ私達・婚約破棄は穏便に。(完結)
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オマケ。
これにて完全完結となります。
お読み戴き、有り難うございました。
今回聖女リョウはモブになります。
○○人目の娘(姫様)のお話。
〓〓〓〓〓〓
とある国での舞踏会。
突如高らかと響く声。皆は何事かと踊りの足を止め、声のする方へ顔を向ける。皆の注目の中、小脇に美少女を抱えたこの国の王子が、声も高らかに何事かを叫んで居る。
〈私は聖女との婚約を破棄する!弱き者を虐げる様な女と結婚など出来ない!貴様はか弱きルルベルを、嫉妬と身分を嵩にかけ虐めたそうだな!私はこのルルベルと結婚する!真実の愛だ。聖女など要らん!我が国から出て行け!〉
は?聖女って私の事?大声で怒鳴り指を指す何て品が無いわね。しかも聖女はお母様よ?隣の母を見る。首を傾げるお母様。しかし王子の指は確かに私を指している。この王子は何を言ってるの?横でプルプル震えるお母様。
「お母様?」
《あーやだ。笑っちゃう。これってテンプレな婚約破棄物じゃ無い。要らぬ脚色が多いけど、私が地球から聖女召喚された後と同じ。お城から逃げ出す為に演じた舞台みたい。でも断罪されてるのは私じゃ無いわね。何時の間に王子にくら替えしたの?貴女は悪役令嬢役みたいよ。ざまぁされるの?それともするの?でもあの王子は無いわー。我が子ながら趣味を疑うわ。顔なの?正直随分悪趣味ね。》
「お母様!冗談では有りませんわ!」
私は周囲を見渡す。あ!王様ー!宰相様ー!ブンブン手を振る。お二人の間の場所が空いてるじゃ無い。雛壇だし目立つしあそこにしよう。私はスタスタと王様達の間に行く。そして王様に許可を取り、私を指差す王子に話し出す。
「すみません。指を指し叫ばれてますが、王子は私に婚約破棄を叫んで居らっしゃるのでしょうか?然しながら私に婚約者は居りませんし、当然ながら聖女でも有りません。因みに聖女はお母様です。またルルベルさんと言われる方とは、顔見知りでもございません。私は見も知らぬ方の不幸を望んでも居りませんし、勿論婚約者でもない王子への嫉妬など微塵も有り得ませんわ。」
〈何を言うか!貴様が私に懸想しとるのは知っとる。聖女だからと、我が国へ無理矢理婚約を捻り込んでる事もな!だからこそのルルベルへの嫉妬で有ろう。知らぬ存ぜぬとしらを切るのは、厚顔無恥も甚だしい。さっさと国へ帰れ!この国から消え失せろ!〉
これは無いわー。聖女でも無いし婚約もしてないと、娘はキチンと説明してるじゃ無い。なのに国外追放ですか?聖女に対してなら尚更ダメダメだよ。しかし何処から来るのよあの自己陶酔。ナルシーとか気持ち悪すぎ。でもあら?かなり強い暗示?瞳の奥に固定してる?暗示の力は弱いけど、心の隙にでも入り込まれたのね。お約束の有れかしら?
〈貴方は頑張ってる。でもそんなに頑張る必要は無いじゃ無い。無理はしないで。私は貴方が心配なの。〉ってテンプレ?
はぁ?もしかしなくても本当にコレなの?君だけが僕を心配してくれるって?王子としてで無く、一人の男として見てくれるって?
この甘ちゃんが!
でもここで解いたら混乱させちゃうわね。可愛そうだけど、1度反対に?ざまぁされて貰いましょう。王様も悪い様にはしない筈。上に立たねばならぬ者の言葉は重い。これが理解出来ねば、王子の未来は無いわ。暗示は素地が無ければ無効なのなから。今の彼は残念ながら、恋に溺れるマリオネット。何を言っても無駄。情けなさ過ぎるわ。
お母様?心の声が駄々もれですよ?王子は暗示にかかってるの?でもそれは心が弱いせいよ。王族なら、ましては時期王になるつもりだったなら尚のこと。今は暗示を避ける魔道具も有る。無茶を戒めてくれる側近は居なかったの?やはり全ては己の責任なのよ。
ザワザワとざわめく会場。王子の言葉に青褪めきる人々。突如会場を威圧する様に、玉座から王の声が響き渡る。
〈厚顔無恥はお前だ!黙れ!〉
〈父上何故!?〉
やはりここで止められる意味が解らないのね。
私が今回この国へ来たのは、聖女たる母の付き添いだ。父は母が一人で他国に親善に行くのを嫌がる。特に今回は国交の無い新規の国だ。しかも突然親書が届き、この王子に誰でも良いから姫を婚約者にくれとの事。我が国は政略結婚はしない。させない。これは聖女たる母が決定した事。聖女たる母は未来の使徒天使様。ラピス神様と同等だ。ラピス神様は、聖女の幸せがこの世界の幸せだと豪語している。約束を違えたなら、間違いなくこの世界は滅びるだろう。母の言葉は神の言葉に等しいのだ。
1度目は優しく警告。2度目は怒りの警告。3度目はブラックリスト入り。これが母の信条。この国は直ぐにブラックリスト入りした。
なので私が留学と言う形で、この国に潜り込んでたの。調べたら親書は、クーデターを狙う王の腹違いの兄が出してたのよ。しかもこのバカ王子っては、その兄の子供らしい。王様は薬盛られて一夜を過ごした女性に子が出来た。慌てて側室にと言う流れ。因みにこのバカ王子は15才。王様は25才。10才の時の子供だよ?王は既に子供の出来る体だったし、閨の教育も済んでいた。でも幾らなんでも怪しすぎるじゃ無い。キチンと調べないこの国ってどうなの?
父王が突如亡くなり、正室の子だからと10才で王に即位させられた。現在の宰相が片腕となるまでの約8年、腹違いの兄に良いように操られてたそうだ。宰相のお陰で王は王らしくなり、逆に兄の立場は弱くなる。兄は焦っていた。
実は王は今だに正妃を迎えて居ない。正妃を迎え子が出来たら、王子の王位継承権の順位は落ちる。己の立場が弱体化している今、息子たる王子の立場が下がるのは戴けない。ならば先に王子に正妃を迎え、後継ぎを産ませる。その正妃の身分が侮れない程ならば、その子は王位にと望まれ近付く筈。何て甘い考えで居たのよ。それに我が国はうってつけだった訳。現在一番勢いの有る大国。しかも聖女の血筋から迎えた王家の姫。この姫が産んだ子を蔑ろには出来ない。次期王にしろとの声は大きくなる筈。
しかも子が出来たら、バカ王子の出自がバレる前に王を暗殺するつもりだった。実売王の食事に微量な毒が盛られてたの。この毒は死にはしない。だから毒味係をもすり抜けた。でも体に毒がなじみ抗体が出来ると、この毒で作る毒消しポーションが効かず、反対に劇薬になってしまう。毒で弱った頃にこのポーションを使えば…。
〈全て聖女様と王女様が調べて下さったんだ。因みに私の体内の毒も、聖女様が全て取り去って下さった。当たり前だが、お前との婚約等は有り得ない。可愛そうだがお前の出自も聖獣様に調べて戴いた。お前は私の子では無く、間違いなく兄の子だ。聖獣様方には魔力の質と流れ、そして魔力気配で解るそうだぞ。〉
〈そんな…。〉
〈確かにお前も被害者だ。だが考えが甘すぎる。正しい判断が出来て居ない。何故この様な公の場でわざわざ見せ付ける様に婚約破棄をした?相手に恥をかかせ、一生の傷を負わせるつもりだったのか?婚約は契約だ。私に直接談判すれば良かったであろう。通常ならそれが当たり前だ。さすれば私の口から真実を聞けたであろう。何故穏便に事を運べなかった?お前にしなだれかかるその娘も、この場へ連れてくる必要は無かったであろう。〉
王子は何か言いたそうに顔を歪めるだけ。反論はしたいが、流石に言葉にならぬのだろう。
〈しかし元凶は兄と騙され言いなりだった私に有る。お前には兄の処分後、空いた兄の公爵位を与える。その娘と結婚するが良い。しかしその娘。かなり派手に遊んどるそわ。先日は町医者で堕胎しとるそうだ。お前の子なのか?お前は堕胎させる程甲斐性が無いのか?この先は自身で調べ考えろ。〉
さあアクションスタート!神々しく大袈裟に締めるわよ!お母様!いえ聖女様宜しくね!
《皆様!只今神様より神託が御座いました。神はユーリ王とミリー姫の結婚を祝福するそうです。互いの気持ちは揃いの腕輪で見届けた。その証しとして、我からは祝福を授ける。婚約にどとのんびりせず、早々に結婚し仲睦まじく添い遂げよとの事です!王子に関しては、臣籍降下により反省の余地有りとの事。結婚に関しては、勿論聖女で有り母で有る私も祝福致します。我が君も認めております。ユーリ王よ。娘を宜しくお願い致します。》
聖女たる母の言葉を合図に、一斉に会場内の電源が落ち周囲は暗闇に包まれる。頭上でパチパチと光が跳ねる。皆が見上げると電気が付いた。ヒラヒラと舞い落ちる花びらと白い羽。この結婚は神の意思だと、会場内が祝福ムードに包まれた。
〈皆のもの!騒がして済まなかった。私はあやつらに感謝せねばならぬな。こんなに素晴らしい正妃を迎える事が出来る。ミリーよ。真実を暴いてくれて感謝する。そして私の愛に答えてくれて有り難う。もう1度皆の前で問おう。私は貴女を愛してる。だが年の差も有る。側室も居た。過去も有る。こんな私でも良いのか?〉
「当たり前ですわ。私は貴方が何方だろうと平気です。犯罪者ならば更正させます。平民ならば毎日料理に洗濯をし、働きながら貴方を支えますわ。王子を息子として育て直すのなら、私も母譲りの教育マニュアルで、微力ながら躾を頑張りますわ。我が国は聖女たる母の言葉が第一です。母は政略結婚を望みません。故に幼い頃からの婚約は有り得ないのです。私達は家事も仕事も育児も出来るんですよ。私は貴方が王で無くともついて行きます。」
〈有り難う。ミリー愛している。〉
「ユーリ。私も愛して居ます。」
とある国での婚約破棄。母と似た体験をした娘。しかし聖女たる母の協力にて一件落着。
異母兄は離縁された側室と共に、2度と出ることは敵わない監禁塔に幽閉された。国王暗殺未遂に王子の身分詐称だ。本来なら死刑確定事案だが、国王結婚による恩赦で刑が軽減した。
婚約破棄を叫んだ王子は、やはりルルベルに魅了の魔法をかけられていた。聖女により魔法を解かれた王子は、自身の意思を取り戻しルルベルと別れた。己の弱き心に漬け込まれたのだと反省し、落ちぶれていた公爵領を切り盛りし、徐々に堅実に発展させてゆく。王子は自分は楽な道へと逃げて居たと己の過ちを悔いた。生涯独身を誓い仕事に打ちこみ、民の為に命を捧げると誓う。しかし人生何が起きるか解らない…。
だからこそ救いがあるのだろう。
謝罪の為に訪れたストレチア国で、ライドとリョウの○○人目の姫に捕獲されたとかしないとか…。
〈私が付いてるわ!また楽な道に逃げそうになったら、私が捕まえて軌道修正してあげる。私に甘えてよ。私も貴方に甘えたいの。私は魔法も得意よ。精神支配なんてチョロいわ。倍返しよ!ううん。100倍にして返してあげる。任せて!〉
リョウの娘達は、押せ押せタイプが多い様だ。
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