【完】婚約破棄までの1週間はテンプレ三昧。私も幸せになりたい!in 異世界。

桜 鴬

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【城下町編。アカンサス国への旅】

★城下町3日目。スライムちゃんとオセロ。

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 やはり厄介な事になってしまいました。トホホ。レインとラスの呆れた視線が背中に刺さる。だから何で後ろに控えてるのよ!座る所はいっぱい有るじゃ無い。主の安全確保って、話し合い中に背後から襲われたりしないわよ・・・。

 *****

 私達は只今ギルドに居ます。私の左側にはギルマス。その正面に隣国の第2王子。その後ろには強面の護衛の騎士とやらが2名控えてる。コイツら王子ほっぽって、今まで何処に居たんだよ。

 そうなんです。あの小生意気な侵入者さんは、何と隣国の第2王子様でしたよ。侵入者さんは意地を張ってか名乗らない。みかねて私はギルドまで引き摺って来た。そして解った身分に驚愕!良い所のボンボンだとは思ったが、まさか王子様だとは思わなかったよ。護衛の騎士が慌てて捜索してたらしい。

 《シスル王子?私はリョウ。シスルと呼ばせて貰うわ。貴方もリョウで良いわよ。それで貴方はどうしたいの?儀式がインチキだと知っても是松茸を持って凱旋したいの?レインに調べて貰ったけど、毎年試練を受ける前に、半数以上の子が死んでる。しかも教会が販売する栄養食が買えなくてよ。栄養失調になりこっそりお肉を食べさせたのがバレたら、一族郎党が死刑。栄養食が1本金貨1枚って頭可笑しいんじゃ無い?しかも最終試練だけど、ドラゴンの目玉や大蛇の牙何て無茶過ぎよ。貴方の是松茸は探すのは大変だけど死にはしない。王子だから簡単な試練みたいね。死んだら困るからね。》

 隣国の儀式と言うのは、所謂宗教の傘を被った悪徳商法だ。幸福を呼ぶ高額な壺を買わされたりするあれね。しかも隣国はそれを国王自体が信じ、国民に強制して居る。まあ国王が信者側なのが少しは救いかしら。でも栄養失調による死亡により、年々高魔力持ちの子達の数が減ってる。これが余計に聖獣達が離れる原因になってる。ラスが言うには、卒業試験の際の国は本人達が選ぶ。しかし近年、隣国を選んだ聖獣は居ない。更にはもう何世紀も聖獣との契約者は顕れて居ない。

 〈本当に皆嘘だったのか?僕のしてた事は無意味だったのか?僕は国王になる兄上や、魔物に怯える民達の為に頑張ったのだ。聖獣の契約者になれば役に立てると思った。しかし修行さえ依怙贔屓の賜物だったとは…。〉

 隣国では10才の誕生日を迎えると、身分に関係無く教会に召集される。そこで魔力量の検査をされ、一定水準を越えると聖獣の儀式に入る。これは強制的だ。10才~18才まで魔力浄化の為にと、食事より肉を抜く潔斎を行う。肉以外は可能だが、丁度成長期の子供達だ。肉抜きでは体の発育にも影響を与える。それを補助するのが、教会専売の栄養食と言う名を冠したシリアルバー。カロリー〇〇〇みたいな物だろう。しかし高額すぎて庶民には中々手が届かない。しかも毎食何本も食べてたシスル王子がこの状態だ。栄養食自体も怪しいものだ。潔斎に生き残った子供達は最後の試練を受ける。試練を終えて凱旋した者のみ、聖獣を呼び出す儀式を受ける事が出来る。しかしその儀式で、今だ聖獣と契約した者は居ない。

 《ねえ?何故18才なの?理由が有るの?聖獣は呼び出せるの?》

 〈魔力の質が決まり、流れが落ち着くのが18才位なのです。聖獣を呼び出せるのは契約者のみです。まれに高位の聖獣様は、気紛れに顔を出したりする事も有る様です。しかし気に入った者がその場に居なければ大変な事になりますよ。下手したらその場の魔力を根こそぎ奪い皆殺しです。〉

 こっ怖いわね。まあ気紛れなら大丈夫よね?

 《シスル王子?そうね。無意味だったわね。でも皆の為の頑張りは本物なんでしょ?是松茸はズルしようとしたけどね。ねぇ?ズルし無いで自分で探しましょう。私も付き合うわよ。ギルマスさん?私は暫しゆっくりして良いんでしょ。》

 〈構わんが…。儀式がインチキと判明したのに、探す必要は有るのか?〉

 《だって茸が無くちゃ国に帰れないんでしょ?私があげても良いけど、ついでに魔物退治したりしながら隣国へ凱旋しましょうよ。シスルは魔力が多いんでしょ?なら魔法も使えるんじゃ無い?習って無いのよね?後ろの護衛さん達に道中教えて貰いなさいな。魔物と一緒に大神官を退治したりしたら笑えるわね。大掃除兼ねて隣国へ行こう!私はスライムちゃんとまた遊びたいのです!》

 *****

  ギルマスは渋々頷いた。シスルは大乗り気だ。シスルの護衛の騎士達は駄目だの一点張り。でも護衛サボって酒場に入り浸ってたらしい。シスルにそこを突かれて、此方も渋々頷いた。

 シスルと護衛の2人は、旅の準備をすると買い出しに行った。お金は金貨 5枚有るとの事。是松茸の依頼分には、自分が餓えても手を付けなかったんだね。意外に根性有るじゃん。

 私達はギルマスと隣国へのルートをマップに起こす。先ずは昨日の山の麓へ飛ぶ。そこで是松茸探し。これは明日1日で済むだろう。麓で1泊し、次ぎは山越えになる。なるべく平坦な迂回ルートで丸1日。しかし私はここでズルをする。頂上近くの展望台から、隣国に近く城を見渡せる灯台の有る海岸が見えるそうだ。その海岸を目指して瞬間移動。少し歩くとわりと近くに小さな漁村が有る。商店も有るので、物資の補給が必要なら村による。その後海岸をひたすら歩くと灯台が見えてくる。その灯台の上から隣国のお城が見えるそうだ。そこからお城を目指して瞬間移動。多分誤差が出るのでそこは調整。

 瞬間移動は様子を見ながら使う。今回は私も冒険者として鍛えたい。なるべく歩き体力をつけよう。マップを脳内検索マップにインプット。ピコンと音がなる。良いルートの様だ。検索と鑑定が一緒になったこのマップは便利だ。検索マップを起動すると、常時鑑定も発動する。マップに危険は赤いマーク。お得情報には青マークが点滅する。赤所とか敵の場所ね。青はお宝とか村とかね。

 さてギルマスとの相談は終わったよ。まあ遅くても2週間。早ければ1週間ほどで戻れるだろう。ギルマスにお家の管理を任せ、私達はおばちゃまの息子さんのお店に買い出しだよ。取り敢えず調味料を一式購入して、元に戻~る巾着袋に入れる。野営用の調理器具セット2組と別売りのバーベキューコンロも購入。テーブルとイスも必要だね。後は大きめな丈夫なテント。残念ながら布団はこの世界には無いらしい。代わりにベッド用のマットレスを購入。枕に布団と毛布とシーツもね。またまたかなりオマケして貰ったよ。おばちゃまのお陰だね!息子さん毎回ゴメンね。でも有り難う~。

 最後は市場で食料の買い出しだよ。お肉は今日また貰ったから沢山有る。買うのはお野菜と果物ね。まだ炊いた事は無いんだけど、お米も売ってた。白米では食べなくて、スープ等の浮身風に使うそうだ。リゾットだよね。白米炊いてみようかな?大鍋で炊くと美味しいよね。最後に頼んで置いたやきたてパンをどっさり買い込み終了~。勿論全てインベントリの中ですよ。あ!シスル達もう来てるよ!

 わたしの肩に小鳥姿のレインとラスがちょこんと止まる。シスルと護衛 2人が手を繋ぎ、私がシスルの肩に両手をかける。さあ出発だ~!

 しかしこの格好、面倒くさいわね。レインだって瞬間移動出来るのに、男性と手を繋ぐの嫌だって拒否するのよ。瞬間移動で他人を運ぶ際は、体の一部の接触とバランスが必要。てな訳での体勢だ。

 くるりと視界が変わり開ける。さあシスル達は是松茸探しにレッツゴー!見た目は松茸そのものだけど、生育場所は違うのよ。大きな岩や石の下に生えてるの。岩や石の下から、無理矢理カサだけ出してる感じ。だから採取する時も優しく掘らないと折れちゃうわよ。あの岩場の方に有りそうよ。さあ頑張ってねー!レインとラスは聖獣姿になり飛び出して行った。

 *****
 
 私はお昼の準備をしている。今日のメニューは作りおきしてたコロッケを揚げ、パンに野菜を挟んだコロッケパン。ゆで卵をマヨネーズで和えた玉子サンド。どちらも丸パンに挟んだからボリューム満点。スープはワイバーンのお肉と玉葱とコーンで中華風にしてみた。ワイバーンは鳥のササミみたいだから棒々鶏みたいにしても美味しそう。デザートはフルーツポンチだよ。カットしたフルーツに、甘くした炭酸水をかけだだけ。砂糖は勿論、戻~る巾着ね。
 
 さてシスル達が戻るまで、スライムちゃん達と遊ぼう。お料理してたら、いつの間にか周囲にスライムちゃん達がいっぱい!しかし今日は白黒のスライムちゃんばかり。白黒って目立たない?鑑定してみたら、白黒ちゃんが普通のスライムみたいだよ。リバーシブルスライム。特に害は無い。沢山居ると邪魔なだけだって。これが通常色って出てるよ。昨日のスライムは、ブルーとイエローだったけど種類が違うのかな?でもこのスライムちゃん達見てるとウズウズするわ~。

 《あ!走り回ってるとこ悪いけど、人型に戻ってオセロ付き合ってよ。挟んでひっくり返すだけ!私得意何だよね。》

 ラスとスライムオセロで遊んでたら、レインも参戦して来た。レインは中々強い。私は得意な筈が1回しか勝てなかった。ラスには全勝したよ。そろそろシスル達を、一端呼ばなくちゃね。ん?あ~!

 《昨日のスライムちゃん達がこっち見てる!何で今日は来ないの?遊ぼうよ。》

 〈我らが居るからだな。〉

 〈そうですね。躊躇してるのでしょう。しかしいつの間にリョウに近付いてたのでしょう。〉

 《ほ~ら来い。こっち来い~。》

《見てみて手乗りスライムちゃん~。》

 掌にちょこんと乗る可愛いスライムちゃん。レインとラスと見つめ合ってる。そろそろと私の体を伝い、下に降りて背後に隠れるスライムちゃんず。

 《もしかして虐めたの?》

 〈虐めて〈無いわ!〉ません!〉

 なら何で怯えてるのよ…。

 *****
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